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FEATURE|珠玉の生地から生まれたCOMOLIとL’ECHOPPEの共作、その裏側。

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珠玉の生地から生まれたCOMOLIとL’ECHOPPEの共作、その裏側。

10年来の仲である〈コモリ(COMOLI)〉デザイナー小森啓二郎氏と、「レショップ(L’ECHOPPE)」のバイヤー金子恵治氏。二人がある生地について盛り上がったことから生まれたという両者の別注アイテムが発売になります。一見すると極めてオーセンティックなジャケットとコートに秘められた二人の思いとは? 本企画はインタビュー形式ではなく、二人の言葉のかけらを継ぎ接ぎするようなスタイルでお届けいたします。

  • Photo_Koji Honda
  • Edit_Ryo Komuta

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今回の別注は生地から始まっています。自分が昔からとても好きなイタリア人のテキスタイルデザイナーがいて、彼が作った生地なんです。すごく個性的な生地を作る方で、うまくやらないとラインナップの中から浮いてしまう。僕はこのデザイナーの生地展を見るためだけに、フランスに行きました」(小森)

〈コモリ〉の展示会で、この生地を使ったパンツを見た瞬間に「やばい!」と思い、2人で盛り上がりました。おそらく小森も僕もパッと想像したのはグルカ系の色だなということだと思います。チノというとどうしてもアメリカ系を想像することが多いですが、これは完全にヨーロピアン、ヨーロッパ系の色です」(金子)

ブリティッシュミリタリーのカーキですね。茶味の入ったベージュっぽい色味」(小森)

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この生地からは、日本の和の要素を感じることができるし、またフレンチワークっぽくもあって、さらに色ではブリティッシュミリタリーを思わせる。そして作っているのがイタリア人だからか、ちょっとした艶っぽさもある。そのミックス具合がぼくの好みドンズバなんです。各国のいいとこ取りというか」(小森)

麻が入っているのが大きな特徴だと思います」(金子)

若干起毛させているので、妙に大人っぽくて上品に見えるんです。風合いを固くするために麻を入れるわけなんですが、ドレスにも寄りすぎてないし、ゴリゴリとした粗野な感じでもない。このテキスタイルデザイナーは、いつもその間のいい感じのところに着地させる。僕が普段〈コモリ〉で作っている生地で狙っているところも、まさに“そこ”なんです」(小森)

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それぞれのアイテムにはベースとした服があります。ジャケットは40年代のイギリス軍のホスピタルジャケットです。戦争中、傷病兵が着るために作られたものですね。形としてはテーラーとユニフォームの合いの子のような。〈コモリ〉で作っている服の先祖でもあるし、デザイナーみんなにとっての教科書の存在でもありますね」(金子)

まさに元祖です。このジャケットをモチーフにしているデザイナーさんは多いですね。なので、それをベースにした服を今改めて作るのは緊張しました」(小森)

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僕たち2人が、この生地に対して反応してしまったのは、僕と金子さんの歴史があってこそなのかもしれないです。十何年前から見てきたものが似通っているので、どうしても」(小森)

似たようなものを見て、そして作り続けてきたなかで、この生地は確実に違うなと思ったんです。小森もすごく気に入った生地だったので、パンツ以外のアイテムも作りたいなという思いがあったようですが、結局インラインではパンツのみ。僕が生地に反応したことで、そこをくすぐられたようで、今回の別注は自然発生的に生まれたアイテムでした」(金子)

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ジャケット ¥54,000+TAX

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ベースとなったコートは〈バーバリー〉の50年代のチェスターフィールドコートです。スーツの上から着るようなドレッシーなものではなく、いわゆるスポーツコート的な一着です」(金子)

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今回の別注を作っていて思い出したことがあります。21歳くらいのときから金子さんには、色々服を見てもらってきました。褒めてもらうこともあったし、ダメ出しされることもあった。今回のアイテムは自発的に作ったものではなく、金子さんから頼まれて作ったものなので、どこか当時の雰囲気に似ていて、昔のことを思い出しました」(小森)

僕は小森の直属の上司ではなかったのですが、たしかにかなり細かくいろいろなことを言ってきました。そのせいなのか、今回もすごく緊張しながらサンプルを持ってきました」(金子)

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自分が一番気になる人に見てもらうという行為。試験ではないけれどやはり緊張感はありました。今の金子さんが満足するようなものが作れるのか、でも作ってみたいと」(小森)

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コート ¥88,000+TAX

変に狙ってもダメなことはわかっていたので、あまり小細工のようなことはしないでおこうと。金子さんにはそういうのをすぐに見透かされてしまうので。今回、この生地に反応してくれたのであれば、あくまで素直な気持ちで作ればいいのかな、と思いました」(小森)

僕はもともとトリッキーなことをするタイプではないんです。しかも今回はベースがあるので、バランスを整えていくことしかしていないです」(小森)

決められたデザインのなかで、さらに素材も決まっている。できることが限られているなかで、お題に対してどこまでできるのか」(小森)

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仕上がりは完璧でした。余計なことをする必要はないんだけれど、〈コモリ〉で作る以上は〈コモリ〉らしいバランスになっていないといけないわけで。サンプルを見て、着てみたときに、彼がきちんと手を入れているなというのを感じることができました。期待していた通りの絶妙な塩梅で上がってきました」(金子)

自分の服は自分が一番似合うように作ります。自分の身体のことは自分が一番よくわかっているので。正直にいうと、今回金子さんが持ってきたベースとなるアイテムは、自分としてはあまり着ない類の服の仕様でした。ただ、そうした個人的に気になる部分をいじらずに、どうやって〈コモリ〉らしくしていくのかというのが今回のポイントでした。ベースを大きくいじってないのに、自分らしさが出るというのが僕にとっては一番いいことなんです」(小森)

小森の作る服は、あくまでデザイン画ありき。自分が思い描く線、フォルムを形にしていくという作業。なので、参考にするようなアイテム、元ネタのようなものがあっても、最終的にはまったく違ったものになるのが〈コモリ〉の服。だから今回はかなり異質な作り方だったと思います」(金子)

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今回の取り組みはいわゆる普通の別注ではあるんですが、個人的な想いがたくさん詰まっているので、とても思い出深いものになりました」(小森)

そもそも復刻版を作るつもりはなかったので、作る人のなにかが込められていないと難しかったのかなと思います。普段は〈コモリ〉を着ない僕も、着たいと思える服になりました(笑)」(金子)

L’ECHOPPE(レショップ)
住所:東京都港区南青山 3-17-3
電話:03-5413-4714
営業:11:00~20:00 / 不定休
lechoppe.jp
www.instagram.com/lechoppe.jp

※8月30日(水)発売です。

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