サシコギャルズ、東京初上陸。
ー 今回小沢さんは「サシコギャルズ」メンバーのご自宅で作業をご覧になっていましたが、実際に見てみてどんな印象でしたか?

小沢: 刺し子スニーカーは1足30万円ぐらい。決して安いものではないんです。実際に、「サシコギャルズ」を知らないひとたちにスニーカーを見せたときに「可愛い!」とは言ってくれるんだけど、値段を言うとシーンとなる(笑)。でも、実際に作業を見てみてその値段の理由がわかりましたし、値段と価値がイコールなんだということをちゃんと伝えるのが今度やるイベントの意味だと思っていて。
なので、イベント当日は「サシコギャルズ」の職人さんに来ていただいて、缶バッジのワークショップを開催しようと考えています。いかに刺し子が難しいかを体験してもらえれば、よりこの靴の価値がわかると思うんです。
藤原: 初めてのひとは、バッジサイズでも苦労すると思いますし、難しさがわかると思います。
小沢: そうですよね。刺し子に途方もないエネルギーと時間がかかるということが体験できたら、例えば次に刺し子スニーカーの販売があったときに、お金貯めて買いたいってひとも出てくるかもしれないし。

刺し子を施した缶バッジ。イベントではそのワークショップが体験できる。
ー「サシコギャルズ」が東京でイベントを開催するのは、「東京クリエイティブサロン」が初めてですか?
藤原: 「サシコギャルズ」としてのイベントはこれが初めてですね。
小沢: 最初はできるのかできないのか微妙でしたが、1ヶ月ぐらい調整いただいて。本当にありがとうございます。
ー実際にイベントでは、刺し子スニーカーの販売などもされるのでしょうか?
小沢: イベントは3日間あるんですけど、当初は1日1足限定で販売したかったんです。でも、いろんな事情で売ることが難しくなったので、さっき話したワークショップとスニーカーの展示を予定しています。
ー最後に、イベントの来場者の方へ向けたメッセージがあればお願いします。
小沢: 実際に大槌から来ていただいた職人さんたちと缶バッチに刺し子をして、自分で持って帰っていただけるようにしようと思っています。その体験を通して、刺し子に興味を持っていただけたらうれしいですね。11日間の期間のなかで、丸の内だけでなく都内のいくつものエリアで、まったく違う趣向の催しが行われるので、そちらにも足を運んでいただけたらと思います。
藤原: ぼくも、たくさんの人に見てもらえるのは、やっぱりうれしいです。いま、SNSをはじめ「サシコギャルズ」が盛り上がっている体感はなんとなくあるんですけど、現場でその熱を感じられるのを楽しみにしています。
ITEM Photo_Daiki Endo
小沢さんがオーダーした「AIR TRAINER I」は、取材から約2ヶ月半後に完成。「藤原さんから『初めて手を加えたモデルなので試行錯誤しながら制作した』と聞いていて、そんなプロセスが至るところに感じられます。例えば、トウ、ヒールの左右でデザインや色使いが違っているところとか。プロダクトとしての『刺し子が施されたスニーカー』ではなく、実際に岩手県大槌町に伺って、『サシコギャルズ』に会って話を聞いてという経験の先にある“モノ”なので、深みというかナラティブがあるなぁ、と感慨深いです」と小沢さん。