いまでは空調服や防災グッズまで。
ー それにしても聞けば聞くほど、フェス愛に溢れてますね。

吉井: つくり手であるぼくら自身、そういうカルチャーが大好きなんです。フェスに出店していると、アーティストやお客さんを含めて繋がりが増えていくなかで、色々なひとの要望を聞いていった末に、気がついたらレインウェア以外のアイテムのラインナップも増えていきました(笑)。いまのラインナップは、レインウェアに加えて、バッグやヘッドウェア、長靴、サンダルなどを展開しています。すべてのアイテムに共通する点としてどんな天気でも自分らしく楽しめることを意識して企画しています。
そしてもうひとつ、ラインナップを増やした転換期がコロナなんです。2020年以後のコロナ禍で、フェスの動員数がほぼ0になってしまいました。フェスに向けて製品をつくっているぼくらとしては、どうしたものかと。

吉井: でも、そこでわかったのが、実際には自転車に乗るときにポンチョを着てくれるお客さんが一定数いらっしゃるということ。そこから、アウトドアフィールド以外にもポンチョを着るシーンはあると考えて、自転車やキャンプでも使えるポンチョを開発するようになりました。いまはフェスだけじゃなく、アウトドアクティビティ全般のほか、自転車や旅先でも使えるアイテムを開発しています。
七海: 私が持っているUVカットの傘もそのひとつなんですね。
吉井: いまのブランドのコンセプトは“どんな天気でも快適に、自分らしく楽しめるアイテムを提供する”ということ。いまでは雨だけでなく、晴れの日でも使えるアイテムも増えています。例えば、七海さんのおっしゃった日傘やUV対策、熱中症対策としてのアイテムを取り入れ、どんな天気でも楽しく快適に過ごせることを意識したラインナップにしています。


吉井: この空調服もそのひとつです。「雨が降った方が楽」と言われるほど、いまの夏の暑さは過酷で、熱中症対策としてフェス用の空調服をつくろうと。
七海: 空調服で迷彩柄って珍しいですね。現場作業の方のユニフォームというイメージがなかなか手を出しづらかったんですけど、これはあり。実際にフェスでも着てみたいです。


近藤: 確かに、普段着にも合わせやすそうなデザインですね。しかもフードがあるから、風で顔周りも涼しくさせられるのがまた便利。

吉井: また、レイングッズ以外のアイテムとしては防災バッグも企画しています。フェスで雨が降ることでぼくらの商売が成り立つ一方、豪雨などの災害という現実があり、そんななかで、防災に役立つアイテムをつくりたくて。いまは地震や豪雨災害がいつ起こるかわからない状況で、やっぱり「備えが大事だな」と。とはいえ、実際に準備していない方も意外と多いと思うので、そんな方に向けて、デザインや機能性を活かしたアイテムで手に取るきっかけをつくりたいと思っています。今後はさらに防災グッズのバリエーションを増やして、〈キウ〉なりに防災に向けて発信していければと考えています。