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マーガレット・ハウエルを着るひと。中島歩と福地桃子。
The Clothing for Everyday Life

マーガレット・ハウエルを着るひと。中島歩と福地桃子。

いい素材を見つけ、そこからデザインが決まる。そうして生まれる〈マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)〉の服は、トレンドを追うファッションではなく、生活に根付くクロージング。だから、はじめて袖を通したときから肌に馴染み、着る者のひととなりを浮かび上がらせます。今回は、そんな〈マーガレット・ハウエル〉の服を纏った中島歩さんと福地桃子さん出演のショートムービーを制作。本企画の総監督兼スタイリスト、伊賀大介さんを交えたスペシャルインタビューとともにお届けします。

  • Direction&Styling_Daisuke Iga
  • Movie Direction_Yohei Haga
  • Movie&Photo_Yoko Kusano
  • Camera Assistant_Yuma Maehara
  • Lighting_Takashi Watanabe
  • Music_uri gagarn
  • Hair&Make_Minako Suzuki
  • Cast_Ayumu Nakajima, Momoko Fukuchi, Akito Inui
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Daiki Yamazaki, Soma Takeda

格好つけているように見えないのに、格好がついている。(中島歩)

左:〈マーガレット・ハウエル〉シャツ ¥38,500スカーフ ¥25,300、〈エムエイチエル.〉ショーツ ¥29,920(すべてマーガレット・ハウエル)
右:〈マーガレット・ハウエル〉シャツ ¥46,200ショーツ ¥46,200(すべてマーガレット・ハウエル)

ーデザイナーのマーガレット・ハウエル自身は、日常の中で見るものからインスピレーションを得ているそうです。それと似たような話で、伊賀さんは電車でひとを観察することが好きだと、他のインタビューで拝見しました。

中島: ぼくも伊賀さんにその話を聞いてみたかったんです。伊賀さんがスタイリングされた映画を観て、老若男女問わず、ひとのことをめっちゃ観てるなと思って。

伊賀: 人間観察は最高だよね。結局、答えはすでに世の中にあるんですよ。サラリーマンって言っても、きちんとスーツを着こなすひともいれば、「これ、たまらねえ」っていうようなしわが背中に寄っているひともいる。そういう日常のリアリティを表現するために、世の中にある服を組み替えて、いかに自然に見せるかが、おれたちの仕事ですね。だから、やってることはDJみたいなもので、すごい昔の服だろうが、最新の服だろうが、ピッチを合わせてうまくフェーダーをかければ全然繋げちゃう。観客もいまの時代のひとだから、「これっておれの話だ」と思ってほしいし。もちろん、それは作品の性質にもよりますけどね。だって、『地面師』を観て「おれの話だ」って思うやつはいないじゃないですか(笑)。

中島: そういうリアリティから考えていく伊賀さんのスタイリングは、ファッション畑のスタイリストとも、がっちり映像をやっている衣装部とも絶妙に違うんです。リアルだけど決まってる。それがいつも面白いなと思って観てます。

伊賀: ありがとうございます。いつか一緒にやりましょ。今回の撮影をウォーミングアップとしてね(笑)。

ー中島さんと福地さんは、役者という職業柄、日常の中で心がけていることはありますか?

中島: 生活していて感じたことがそのまま作品に反映されるから、表現をする上で日常はとても大事だと思っていて。自分が日々どんな気持ちになったか、どう対応したかを書き留めるようにしています。無意識のうちに人間観察していることもありますね。印象的なことがあると、後々、自分の演技に反映されることもあります。

伊賀: すごく小さな引き出しがいっぱいあるんだ。

中島: だと思います。映画もそうですが、ひとの芝居を観て、無意識にどこかしら真似していることがあったりもします。

福地: いまの日常のやり取りで思い出した話があって。以前、自分の生活圏から離れた場所を自転車で走っていたとき、タイヤの空気がなくなってしまって、町の自転車屋さんで空気入れを借りたんです。それでお店の前に自転車を停めて空気を入れようとしたら、店主さんがすごい勢いで出てきて「新車の前は勘弁してよ〜」と言ったんです。その瞬間、気づいたのですが、わたしがいた場所が、すごくきれいに並べられた新品のママチャリの前で。その店主さんの言葉がまるでスポーツカーのことを話しているように聞こえたんです。

伊賀: そのフレーズは、なかなか聞けないよね(笑)。

福地: なかなか出会えない言葉だと思って、こっそり嬉しくなって(笑)。ゆかりのない町の中でふと職人さんに出会って、そのひとの言葉から職人としてのこだわりだったり、日常の風景が想像できて、すごくいい時間でした。

左:〈マーガレット・ハウエル〉シャツブルゾン ¥60,500パンツ ¥42,900、シューズ ¥69,300、〈エムエイチエル.〉シャツ ¥25,960 (すべてマーガレット・ハウエル)
中:〈マーガレット・ハウエル〉ジャケット ¥79,200パンツ ¥57,200カットソー ¥19,250サンダル ¥126,500(すべてマーガレット・ハウエル)
右:〈マーガレット・ハウエル〉シャツ ¥41,800パンツ ¥49,500(すべてマーガレット・ハウエル)

ー今回は、〈マーガレット・ハウエル〉の服の持つ「リアリティ」を活かした撮影になったかと思います。最後に、伊賀さんから〈マーガレット・ハウエル〉の魅力を語っていただき、締めましょう。

伊賀: 〈マーガレット・ハウエル〉の服は、最初から古着みたいなフィーリングがあるのに、表現の仕方の品がいいんですよね。だから、新品でも袖を通すとすぐに馴染む感じがあるし、スタイリングもしやすい。あと、今日もおれが持ってきたデニムとか雪駄を合わせたんですけど、そういう他のものと組み合わせても違和感がないタイムレスなところも魅力ですよね。

中島: あ、ぼくからもいいですか? さっきの古着が好きっていう話のときに言いたかったことがあって。昔はお金がなかったからっていうのもあるんですけど、やっぱり「ブランドを着ている自分」が恥ずかしくて、古着を着ていたんです。かっこいいのがかっこ悪い、みたいな。いまはそんなに思わないですけど、昔はもっと自意識過剰だったから。

伊賀: 早川義夫イズムね。

中島: そう。「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」っていうのが根本にあるので。でも、〈マーガレット・ハウエル〉の服は、いい意味で格好つけているように見えないのに格好がついている。そのバランスがすごくいいなと思います。

PROFILE

中島歩

1988年、宮城県生まれ。大学在学中にモデルとして活動し、2013年に舞台『黒蜥蜴』で俳優デビュー。映画『ナミビアの砂漠』『HAPPYEND』、ドラマ『ガンニバル シーズン2』『海のはじまり』など、数々の話題作に出演。2026年1月から放送予定の大河ドラマ『豊臣兄弟!』にも出演予定。

PROFILE

福地桃子

1997年、東京都生まれ。2019年、NHK連続テレビ小説『なつぞら』に夕見子役で出演して話題に。近年の主な出演作にドラマ『鎌倉殿の13人』『消しゴムをくれた女子を好きになった。』『舞妓さんちのまかないさん』『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』『わかっていても』など。2024年に主人公・千尋役を務めた舞台『千と千尋の神隠し』は、2025年上海公演が決定している。
Instagram:@lespros_momo

PROFILE

伊賀大介

1977年、東京都生まれ。1999年にスタイリストとして独立。『ジョゼと虎と魚たち』で初めて映画の衣装を手掛ける。映画『ファーストキス 1ST KISS』『PERFECT DAYS』『モテキ』、ドラマ『地面師たち』『大豆田とわ子と三人の元夫』『宮本から君へ』をはじめとした数々の映像作品でスタイリストを務める。

INFORMATION

マーガレット・ハウエル

電話:03-5785-6445
ホームページ

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