スマホとSNSの急速な進化・発展により、ファッションの世界でも映像表現が当たり前のものになりました。
つくり手の世界観を受け手に伝える場合、情報量が限られる写真よりも、動きと音で立体的に見せられる映像が有利であることは明白です。
ビジュアル制作の手法が変化する時代のなかでも〈メゾン マルジェラ(Masion Margiela)〉の作品には驚かされました。
英国人俳優レベッカ・ホールが主役に選ばれたスリラー映画「ANONYMITY(アノニミティ)」のトレーラーです。これは2026年秋冬コレクションのキャンペーンとして制作されました。
ホールが演じるのは、自らのアイデンティティと向き合うひとりの女優。彼女は役柄の準備を進めるなかで、マスクを被る自分の分身と対峙することに。
現実に存在するのはどちらなのか? 本当の自分とは? 時間が経つにつれ、現実と虚構の境界が曖昧になるストーリーです。
この作品のキーとなるのが、つくりの異なるさまざまなマスク。これらは今年4月に上海で開かれた〈メゾン マルジェラ〉のショーのために一つひとつ制作された「アーティザナル」のものだといいます。
このメゾンにとってマスクは、モデルから注意をそらし、服そのものへと光を当てる道具のひとつ。〈メゾン マルジェラ〉を物語る色、白と同様に、アノニミティ=匿名性を示すものとして、最初のショーをはじめ、これまでさまざまな場面で使われてきました。
改めて考えると、他とは違うアプローチでファッションに魔法をかけるのが〈メゾン マルジェラ〉です。本作を観た後、店頭と公式オンラインストアに並ぶ、〈メゾン マルジェラ〉の2026年秋冬コレクションの品々に接すると新たな魅力の発見があるかもしれません。

