「移動」と「旅」をコンセプトに、昨年スタートした〈Tomo & Shoe & Co.〉。
120年以上に渡り、日本の靴文化を牽引してきた老舗シューメイカー〈リーガル(REGAL)〉と、モダンでユニークなセンスによりオルタナティブなシューズをつくる〈トモアンドシーオー(Tomo & Co.)〉によるコラボレーションプロジェクトです。
今回、本プロジェクトによる新作の発売をきっかけに、全国4都市のツアーが開催されます。
それに伴って撮影されたビジュアルでは、〈Tomo & Co.〉のデザイナーである小野崎朋孝氏とも旧知の仲であるという、「みんげい おくむら」の奥村忍氏がモデルとして登場。
左:小野崎朋孝氏、右:奥村忍氏
民藝や工藝の文脈から手仕事を独自の視点で伝える「みんげい おくむら」の店主が、なぜシューズブランドのビジュアル&ムービーに登場したのか。
買い付けの最中で中国・景徳鎮にいる奥村氏と日本をオンラインで繋ぎ、プロダクトの背景にある移動と職人の手仕事について語り合ってもらいました。
- Photo_Yuma Yamashita
ーお2人は古くからのご友人とお聞きしましたが、最初の出会いはどんなきっかけだったんですか?
小野崎:僕は千葉県の富津市に住んでいて、忍くん(奥村氏)は船橋市。お互いの家自体は結構離れているんですけど、千葉の津田沼に同い年の共通の知り合いが店長をやっていたセレクトショップがあって。
奥村:お互いその店の常連で、大学を出たての頃にそこで出会ったのが最初です。もう20年くらい前の話ですね。
ーこれまでにお仕事でご一緒される機会もあったんですか?
小野崎:〈トモアンドシーオー〉とは別のプロジェクトで少しだけお仕事させてもらったことはあるんですけど、こうしてシューズの方で一緒に何かするというのは初めてですね。
奥村:そうですね。だから今回、トモちゃん(小野崎氏)のブランドのビジュアルにモデルとして声をかけてもらったのは、なんだか感慨深いですね。
ー今回のビジュアル、すごく雰囲気が良かったです。モデル起用の経緯は?
トム:今回のシリーズって、「旅」や「移動」が大きなテーマになっているんですが、僕の知り合いのなかで一番旅をしている人間が忍くんだったんです。僕のなかで、勝手に自分のブランドの裏アンバサダーにしている人が二人いて。そのうちの一人が忍くんなんです(笑)。
ー今回の靴は、岩手県にある〈リーガル〉の工場で作られているそうですね。
小野崎:はい。今の靴づくりって、世界的に見ても分業化が進んでいて。裁断から縫製、仕上げまで、全ての工程において職人さんの手が加わっている。カジュアルな靴であっても、それはもう工芸品と言っていいレベルなんです。でも、ここ数年で国内の靴工場が閉鎖されたりして、技術の継承がすごく厳しくなっている現状があります。僕のなかではこの靴は、岩手の名産品のような気持ちでいます。
¥39,600
奥村:トモちゃんがスニーカーづくりでヴァルカナイズ製法(窯に入れて焼く靴づくり)の話をしていたとき、僕が扱っている陶器や磁器とすごく近いものを感じたんですよね。窯に入れて焼くプロセスもそうだし、有田焼や波佐見焼みたいに、伝統的な量産品って完全に分業制で成り立っていることも含めて。
ー職人技と量産システムが融合している点が共通しているんですね。
奥村:そうなんです。各工程のプロフェッショナルがいるからこそ、クオリティの高いものが早く多く作れる。でも、今そのシステム自体が世界中で失われつつある。〈リーガル〉のような歴史あるメーカーの背景を借りて、トモちゃんがストイックに良い靴を作ろうとしている姿を見て、僕が日常で扱っている民藝や工藝の現場と重なる部分がありました。
小野崎:〈リーガル〉さんって本当にすごくて、通常レザー製品って既存の革サンプル(スワッチ)から選んで作るのが一般的なんです。でも彼らはスワッチを持たず、全て別注でゼロから作るんです。だからやれないことがない。その規模感とクラフトマンシップの両立は、日本の靴づくりの叡智が集結していると感じますね。
ー奥村さんは今回、実際にこの靴を履かれてみていかがでしたか?
奥村:本当に良かったです。僕の旅のスタイルってとにかく楽なものが最優先になりがちで。でも、旅先でちょっと良いレストランに行ったり、ちゃんとした場所に行くときに、あまりに快適さを追求しすぎたスニーカーだと恥ずかしいときがあるじゃないですか(笑)。
ーよくわかります。
¥39,600
奥村:僕の好きな写真家の人たちって、旅先で機材とか荷物が大量にあるのに、ファッションを絶対に“抜かない”んですよ。それがすごく格好良くて。自分の装いを楽な方だけに逃がさず、実用性と品格のバランスをどこで取るか。今回の靴は、まさにそのちょうどいいラインにハマる一足でした。
小野崎:今回のモデルは80〜90年代に〈リーガル〉が作っていたオブリークラスト(つま先が広がった足型)のウォーキングシューズがベースなんです。移動のしやすさは担保しつつ、ドレスシューズのような品がある。
ー旅のお供には最高の相棒になってくれそうですね。
ー歴史あるシューズメーカーである〈リーガル〉と、インディペンデントで自由な発想が持ち味の〈トモアンドシーオー〉。この組み合わせ自体がすごく新鮮に映ります。
小野崎:純粋に面白いですよね(笑)。〈リーガル〉さんも、自社だけでは絶対に作らないようなちょっと変なアプローチを僕らが持ち込むのを面白がってくれていて。
ー今回の撮影は、奧村さんのいつもの日常(市場で魚を買って料理する風景)をそのまま切り取る形になりました。
奧村:はい。いろいろなアイデアがあったんですけど、結局こんな感じになりました。変に気取った感じではなく、暮らしや移動のリアリティのなかに靴があるのが伝わるムービーになったと思います。
ーそもそもで、奧村さんに靴がすごくお似合いでした。
奧村:あ、よかったです。
小野崎:今回のシューズは、ゆくゆくは「みんげい おくむら」でも販売してもらおうかなと思っていて。あと、メンテナンスを全国の街の〈リーガル〉ショップで受けてくれるんです。
ーそれは素晴らしいことですね。
小野崎:街の靴屋さんでメンテナンスしながら長年連れ添えるっていうのはすごくいいことなんじゃないかなって思ってます。
対談にもありましたが、近年、国内における靴づくりを取り巻く環境は大きく変化し、一足のシューズを作り上げること自体が、決して容易ではない状況になりつつあります。
一足の靴が完成するまでには、数多くの分業による工程があり、それぞれの工程を担う職人たちの技術と経験によって、一足のシューズが形づくられています。
そのものづくりは、単なる工業製品という枠を超え、さまざまな職人の技術が重なり合って生まれる「工芸品」とも言える存在なのではないか、という思いから生まれた今回のビジュアル&ムービー。
靴作りの背景にある職人の技術やものづくり、そして旅や移動によって生まれる新たな出会いや価値観にでまで、想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
〈リーガル〉の確かなクラフトマンシップと〈トモアンドシーオー〉の独創性が調和し、クラシックとモダンが同居した、エバーグリーンなシューズとなりました。
Tomo & Shoe & Co. ポップアップツアー
Valley
期間:10月3日(土)〜10月4日(日)
住所:福岡県北九州市小倉北区馬借1丁目5−13 1F
電話:093-533-7079
THE GROUND depot.
期間:10月10日(土)~10月11日(日)
住所:大阪府大阪市西区南堀江1丁目15−5
電話:06-6563-9674
THE LIBRARY 表参道店
期間:10月17日(土)~10月18日(日)
住所:東京都渋谷区神宮前4丁目11−2
電話:03-3470-2151
JACK IN THE BOX
期間:10月31日(土)~11月1日(日)
住所:愛知県名古屋市中区大須3丁目1−65
電話:052-265-9517

