業界全体では斜陽や不景気と言われて久しい出版業界ですが、ことZINEやアートブックのイベントではその逆風を跳ね返すほどの熱気を感じます。とくに今回10回目となる「TOKYO ART BOOK FAIR」は規模や集客も含めて、その熱さが伝わってくる人気イベントです。
2009年に日本初のアートに特化したブックフェアとしてスタートした「TOKYO ART BOOK FAIR」。節目となる今年は、この春リニューアル・オープンしたばかりの「東京都現代美術館」に会場を移します。
会場では、独創的なアートブックやZINEを制作する国内外の出版社、ギャラリー、アーティストら約300組の出展者が一堂に会し、それぞれの出版物の魅力を伝えます。
目玉の企画の一つとして、2015年からスタートした、ひとつの国や地域に焦点を当てて出版文化を紹介する企画「Guest Country」があります。今回特集するのは、世界のインディペンデント出版文化を牽引するアメリカ。アート系出版社、書店、印刷物を使った表現を試みるアーティストが数多く存在し、多様性のある豊かなアメリカの出版文化を、「Radical Pages: A Selection of American Zines」「Exhibition: 10 Years of The Thing Quarterly」の2つの展示とトークで紐解きます。
そのほか、日本人作家によるアーティストブックを作り手の声とともに紹介する「Japanese Artists’ Books: Then and Now」展や、資生堂ギャラリーがこれまでに刊行した図録を通し、その100年の活動の歩みを振り返る展示などの特別プログラム、ゲストを招いてのトークショー、作家によるサイン会などが行われます。
一般書店ではめったに遭遇できないユニークな本との出合い、作り手との直のコミュニケーション、アートブックやZINEの魅力を多角的に紐解くさまざまなプログラムなど、行けばどっぷりとブックカルチャーに浸れます。出版業界は落ち目だと嘆く前に、こんなイベントを体験してみてください。
Text_Shinri Kobayashi
TOKYO ART BOOK FAIR
プレビュー:2019年7月12日(金)15:00〜21:00
会期:2019年7月13日(土)、14日(日)、15日(月・祝) 11:00〜19:00
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
料金:入場無料
※12日のみプレビュー参加費として1,000円[税込](小学生以下無料)
※トークイベントは一部有料
https://tokyoartbookfair.com/