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【STAY HOME】お気入りの1着を教えて! ヴィンテージ古着バトン #myfavoritevintageclothing

最近、SNS上で度々目にする「#〜リレー」や「#〜チャレンジ」といった“バトン”。本や映画など、あるお題に沿ったものをポストして次の人に繋げるという、SNS上の大喜利みたいなものですが、人の趣味やセンスを覗き見しているみたいで面白いですよね。というわけで『フイナム』でもやってみました。お題はお気に入りのヴィンテージ古着を紹介してもらう「#myfavoritevintageclothing」です。

まずは『フイナム』の古着ご意見番、「ミスタークリーン」の栗原さんにバトンを託します。さてさて、どんなヴィンテージ古着が拝めるのか、そして誰にバトンが繋がって行くのか。早速いってみましょう。


BATON 01_栗原道彦 / Mr.Clean Owner
古着の奥深さを痛感した初見のスウェット。

1950-60’s AKOM SWEAT SHIRT

6、7年ほど前にアメリカで手に入れたという〈アコム(AKOM)〉のヴィンテージスウェット。過去に見たことのないディテールに惹かれたのが購入の決め手だと栗原さんは語ります。数多のヴィンテージウェアに触れてきた栗原さんにして初見と言わしめる、このスウェットの正体は果たして…。

「一見すると普通のスウェットですが、首回りにスナップボタンが付けられており、元はフードか、あるいは襟といった別体のパーツが付属していたことがわかります。一体どんなものが付いていたのかを想像するだけでも楽しい1着ですね。」

ややハイネック気味のネック周りにはスナップボタンの凸ボタンがぐるりと一周配置されています。確かに〈アコム〉を含めて、他のブランドでも見たことのないディテールですね。謎は深まるばかりです。

「気になって調べてみましたが、ネット等でも同モデルで別個体の存在は見つけられず。〈アコム〉のようなメジャーブランドでも未だ見たことのない、知らなかったものが出てくるから、古着はつくづく奥が深いなと。」

バイヤー歴20年以上の栗原さんでも、まだまだ見たことのないものが存在するんですね。ヴィンテージの世界は果てしなく広く、そして深い。さて、そんな栗原さんが次に繋げるバトンはどなたでしょうか。

「『ビームス』の中田くんにバトンを渡します。同じ歳で20年以上の付き合い。昔から古着が好きな人ですが、大手セレクトショップで長く活躍する彼が、どういうものを紹介するのか気になります。』

栗原道彦 / ミスタークリーン オーナー
1977年生まれ。2010年に「ロストヒルズ」を退社後、フリーランスの古着バイヤーとして独立。2018年に「Mr.Clean YOKOHAMA」をオープン。2020年に同店を渋谷区富ヶ谷に移転する。フイナムでは「古着サミット」のメンバーとしてもお馴染み。

BATON 02_中田慎介 / BEAMS Men’s Casual Director
憧れのスニーカーを、リスペクトする人から。

1970’s NIKE NYLON CORTEZ MADE IN JAPAN

中田さんが用意してくれたのは、栗原さんが「ロストヒルズ」時代にアメリカで買い付けてきたという「ナイロンコルテッツ」のジャパンメイド。14、5年前にデッドストックで購入した一品です。古着と出会った頃からずっと憧れていたアイテムのひとつだったとか。

「スペシャルなスニーカーを保有することがファッションステータスであった時代。特ににぼく達にとって重要なのは学校で誰も履いていないスニーカーを履くこと。その頂点にいたのが、バッシュ部門の「エアジョーダン1」と「ターミネーター」、ランニング部門の「コルテッツ」と「ワッフルトレーナー」だったんです。もちろん希少なモデルを履いて目立つというスタイルもあったように思いますが、田舎者のぼく達には分かりやすく表現できる王道アイテムがすべてであったため、この4モデルを保有することは頂点を意味していたんですね。」

その後、一念発起して「エアジョーダン1」を手に入れたものの、「コルテッツ」は満足のゆく個体に出会えず。筆記体「コルテッツ」への憧れはますます増すばかり。大学生時代も引き続き古着を買い漁る日々が続いたと語ります。

「暇な大学生の唯一の楽しみは1か月のバイト代を給料日の次の日にすべて古着に充てること。その時代に出会ったのが当時津田沼に店舗を構えていた『ロストヒルズ』。気さくに接してくれた栗原さん(現Mr.Cleanオーナー)、堀江さん(現MEMO代表)からは様々教えていただきました。そして散財させていただきました(笑)。その栗原さんからのご指名であればまだまだ紹介したいものは沢山ありますが、この一品を紹介したいと、今回こちらをピックアップさせていただきました。」

大学卒業後は「ビームスプラス 原宿」のオープニングスタッフとして働きはじめた中田さん。休憩時間は必ず隣にある「ロストヒルズ原宿」に入荷をチェックしに行き、誰よりも早く良いものをゲットしていたとか。そしてそのときに購入したのが、今回の「ナイロンコルテッツ」だったというわけです。

「『ビームスプラス』の年代にはそぐわないアイテムでしたが、学生時代に憧れたあのモデルのゴールデンサイズ、しかもデッドストック。衝動を抑えられなくて、上司に隠れて休日に購入しに行きました(笑)。その後「ビームス」のディレクターになった際に、「コルテッツ」のリブランディングと原宿のリニューアルがぴったりマッチし、〈ナイキ〉さんに声をかけて頂き貴重な経験をさせてもらった思い出もあり、自分の中ではかけがえのないスニーカーになっています。」

中田さんと「コルテッツ」の間には、モノの価値以上のストーリーがあり、そしてそのストーリーこそが、この1足を特別なスニーカーたらしめるものにしています。

「やっぱぼくはモノの良し悪し以上にヒトで買い物する人間だなあと(笑)。この人から買いたいと思わせるバイヤーって本当に数少ないですから。栗原さんの古着の審美眼はピカイチで、誰よりも仕掛けるバイヤー。攻めの一手にはいつも目をハートにさせられるわけで。」

人と人の繋がりを大事にする中田さんが、次にバトンを渡すのは?

「〈キャプテンサンシャイン〉の児島さんにバトンをパスします。古着の選び方に特徴がある人。そしてその選び方にリスペクト出来る人は本当に少ない。ディテールマニア、歴史マニア、素材マニアの彼が選ぶ逸品がとっても気になります。」

中田慎介 / ビームス メンズカジュアルディレクター
1977年生まれ。2000年に「ビームス プラス 原宿」のオープニングスタッフとして入社。2012年に〈ビームス プラス〉のディレクターに就任後、〈ビームス〉のチーフバイヤーを兼任し、2015年3月より現職に。ビームスのメンズカジュアル全体を束ねるビームスの仕掛け人。

BATON 03_児島晋輔 / KAPTAIN SUNSHINE Designer
一見するとテーラード、しかし歴としたフィールドウェアなんです。

1930’s FRENCH HUNTING JACKET PERSONAL ORDER

ヴィンテージウェアのなかでも、とりわけフィールドウェアに関する造詣は業界随一。〈キャプテンサンシャイン〉のデザイナー・児島さんが紹介してくれたのは、1930年代製のフレンチ・ハンティングジャケットです。しかもパーソナルオーダーという代物。アメリカンヴィンテージにはない洗練された佇まいを見せます。

「2年ほど前に北青山の「SURR by LAILA」で購入しました。聞けばフランスの片田舎のハンティングジャケットコレクターから譲っていただいものだそうです。オレンジへと褐色した経年変化、コットンダックの質感、手仕事による構成、そのどれもが気に入りました。加えて、自分の身体に完全にフィットしていた点も購入のポイントです。ヴィンテージにも関わらず、着丈から裄丈に至るまでジャストフィットでしたから。」

ハンティングジャケットならではの粗野な一面をしっかりと残す一方で、ラペルやウエストベルト、リアのプリーツといった雅なディテールが落とし込まれます。この辺りは、よりファッション性豊かなユーロヴィンテージならではの賜物でしょうか。

「タグなどは一切ありませんが、ディテールや縫製を見る限り、おそらく1930年代のフレンチで、当時の紳士が誂えたパーソナルオーダーかと。一見するとテーラードのようにも見えますが、当時の意匠をたっぷりと残しながらもフィールドウェアに昇華している点が興味深いですよね。」

元来、ハンティングは紳士が嗜むスポーツ。イギリスのノーフォークジャケットに代表されるように、ヨーロッパ由来のスポーツジャケットは、タフな中にもジェントルな香りがします。しかし同じアイテムでも、アメリカとはまったく趣が異なるのは面白いですよね。

「改めて世界中の古いワークウェアに興味を向かせてくれた一着でした。というわけで次のバトンは〈オーラリー〉のデザイナーである岩井さんに託します。」

児島晋輔 / キャプテンサンシャイン デザイナー
1976年生まれ。メンズフファッション誌で編集者として活躍した後に、デザイナーとしてのキャリアをスタート。2013年SSシーズンに自身のレーベル〈キャプテンサンシャイン〉を設立。フィールドウェアとシーメンスウェアを背景にしたマンテイスト溢れる服づくりを行う。細かなディテールワークやこだわりの生地に、玄人筋からの支持も高い。

BATON 04_岩井良太 / AURALEE Designer
リアルなペンキ汚れは古着ならではの醍醐味。

1990’s DICKIES PAINTER PANTS

最後のバトンを受け取ったのは、〈オーラリー〉のデザイナー・岩井さんです。紹介してくれたのは、上京したての23歳の頃に手に入れた〈ディッキーズ〉のペインターパンツ。ペンキがハードに飛び散った唯一無二の個体です。リアルワーカーが着用していたがためにできた汚れやダメージは、正しく古着の醍醐味が詰まった1着といえます。

「約13年前に表参道の『サンタモニカ』で購入しました。こんな感じのリアルに汚れたペインターパンツが20本ほど入荷していて、その中から選んだ1本です。お店の方が選ぶのを親切に付き合ってくれたのをよく覚えています。ペインターが実際に穿いていたものですから汚れもリアル。決して古いものではありませんが、古着ならではの雰囲気が十分楽しめる1着かと。」

白ボディのペインターパンツゆえペンキ汚れが一層際立ちます。それはまるで白いキャンバスにドリップ・ペインティングを施したアートピースのよう。経年や実用による自然な変化は美しく、一点ものの古着ならではの魅力が味わえます。

「何十色ものペンキ汚れが全体に飛び散っているのもいいですし、よく見るとところどころにタタキでリペアされているのも気に入っています。それとサイズがぴったりなところもポイントですね。」

「古着は一期一会」とはよく言ったもので、好きな銘柄、気に入ったデザイン、状態の問題、そしてサイズ感。すべて満足のゆく個体に出会う機会はそうそうありません。岩井さんが20本の中からこの1本を引き抜いたのもまた、一期一会というわけです。さてお気に入りだというこのペインター、やはり頻繁に穿いているのでしょうか。

「毎年穿くというよりは、4、5年くらいの周期で穿きたい気分が訪れるといった感じです。正直、フリマに誘われる度に何度も手放そうか?と迷ったりもしましたが(笑)、そんな試練を乗り越えて、いまでも手元に残している1本です。」

岩井良太 / オーラリー デザイナー
1983年生まれ。様々なブランドでパタンナーやデザイナーの経験を積んだ後、2015 SSに〈オーラリー〉を⽴ち上げる。2017年9⽉には、南⻘⼭にブランド初めての直営店舗がOPEN。2018年には FASHION PRIZE OF TOKYO 2019 を受賞し、2019AWより、パリファッションウィークにてコレクション発表を開始。2019年には、第37回毎日ファッション大賞・新人賞・資生堂奨励賞を受賞した。


はい、というわけでヴィンテージバイヤー、セレクトショップディレクター、デザイナーと繋がっていった「#myfavoritevintageclothing」ですが、今回はここまで。各フィールドの一線で活躍する方々のお気に入り古着はどれもセンスの良いものばかりでしたし、手に入れた背景もそれぞれにストーリーがあって興味深いものでした。やはり面白いです、バトン。ぜひ皆さんも、おうち時間の息抜きに「#myfavoritevintageclothing」で遊んでみてくださいな!

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