この度のコロナ禍によって、大きな打撃を受けたファッション業界。外出が制限され、人と関わることが減ったいま、一般的におしゃれは不要不急のものと考えられています。
そうした中で服が果たせる役割とは何か。この問いに対して、ひとつの答えを提示するのが、「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」創業者の一人である栗野宏文さんの初の著書『モード後の世界』。
着ることは生きることだから。着ることは自己の確認や他者の認識、相互のコミュニケーションを深め、理解を促すものだから。着ることは人間の尊厳に関わるものだから。
(本文抜粋)
「ファッションの方向性を決定するのは社会潮流である」と話す栗野さん。その言葉通り、5つの章で構成されるこの本では、ファッションの視点から捉えた社会の変化が綴られています。
服との出合いや、「ユナイテッドアローズ」における仕事、素晴らしいデザイナー達への思いといった自伝的要素と、日本のファッションの特異性や、ポストパンデミック時代への考察といった社会学的要素を織り交ぜながら、これからファッション業界が向かうべき道を示した一冊です。
長年第一線で活躍されている栗野さんのファッションへの愛が詰まった『モード後の世界』。業界関係者はもちろんのこと、「ユナイテッドアローズ」のファンや服好きの方々にとって、必読書と言っても過言ではないでしょう。