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【FOCUS IT.】10年ぶりの復活を遂げたホワイトマウンテニアリング BLK。黒に奥行きをもたらすパターンメイキングの妙とは。

10年の時を経て、再始動が発表された〈ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)〉のハイスペックライン「BLK」。しかし、単なる復刻という形ではなく、前回とルックスも違えば、フィロソフィーも180度異なります。

本日10月28日(水)から開催されるポップアップイベントを前に、「BLK」のリブートに至った経緯や10年という月日のなかでの変化、そしてパターンメイキングに込めた想いについて、デザイナーの相澤陽介さんに話を伺いました。

PROFILE

相澤陽介
〈ホワイトマウンテニアリング〉デザイナー

1977年生まれ。多摩美術大学染織科を卒業後、2006年に〈White Mountaineering〉をスタート。これまでに〈Moncler W〉、〈BURTON THIRTEEN〉 、〈adidas Originals by White Mountaineering〉など、さまざまなブランドのデザインを手がける。2019年からは、北海道コンサドーレ札幌のディレクターに就任。また、2020年春夏より〈LARDINI by YOSUKE AIZAWA〉をスタートする。その他、多摩美術大学の客員教授を勤める。

10年の歳月で進化したBLK。

ー2009年春夏コレクションにスタートした「BLK」はどういった経緯で始められたんですか?

〈ホワイトマウンテニアリング〉(以下、ホワイト) は、いままでコンセプトを変えてなくて、アウトドアスペックをファッションに落とし込むことをずっとやってきているんです。ブランドをはじめて何年か活動していると、そういったコンセプトは認知してもらえるようになってきて。

今度はアウトドアブランドにも匹敵するようなプロスペックの服もつくれるということを知ってもらいたくなったんです。そうして生まれたのが「BLK」で。自分がバックカントリーが趣味だったこともあったし、両方できることを証明したかったというのがスタートの理由です。

ー単純に黒一色のラインというわけではなく、〈ホワイト〉とは違う世界観を表現していたのが「BLK」だったんですね。

そうですね。〈ホワイト〉のスタート時からゴアテックスと取引をさせてもらっていて、当時は共同で生地を開発させてもらっていたんです。〈ホワイト〉ではナイロンぽいものをやらず、ウールやコットンキャンバスとかをつくらせてもらっていて。反対に「BLK」ではナイロンやプロシェルをやるっていう棲み分けをしていました。

ー2011年秋冬コレクションに休止した理由はなんだったんですか?

東京コレクションでショーをやるようになって、〈ホワイト〉を世界に発信していこうというなかで、「BLK」が担っていた要素を〈ホワイト〉に統合しようと思って休止したんです。

ーそれがいまの〈ホワイト〉の土台になっているんですね。そして、今回は10年を経て再始動。もう一度「BLK」をやろうと思ったきっかけは何かあったんですか?

イタリアのピッティでも老舗のファクトリーブランドとかが、どんどんアウトドアやリアルクローズ志向になってきていて。そういう動きを間近で見ていると、自分たちがやってもおもしろいことができるんじゃないかなと思ったんです。ラペルジャケットをシワにならないテック素材でつくったり、中綿を入れたり、ソリッドに仕上げていくような。

ー10年前と今回では、同じ「BLK」という名前でも全く意味合いが違っていますね。

昔はアウトドアブランドに匹敵する洋服がつくりたかったんですけど、今回は全く逆で。日常着にターゲットを変えて、黒だけで表現したかったんです。それこそ記者会見やレセプションでも着れるような服。

ー今回新たに提示されたコンセプトが、“BLACK LAYER KNOWLEDGE(黒を重ねる知識)”。相澤さんの10年の経験のなかで黒の見方が変化したんでしょうか?

単純に最近は黒い服しか着なくなったんですよね。もともとはストライプのシャツばかり着ていて、歳を取っていくとみんな黒い服しか着なくなるというか(笑)。真鍋大度もそうだし、サカナクションの山口一郎くんもそうで、三十代を超えてくるとみんな服が黒くなってくるんですよ。

なるべく自分の目線の近いところで、自分たちの持つ技術やデザインを凝縮させて、買ってくれる人にコミュニケーションをとる流れを作りたかった。黒一色でもパターンメイキングとハイスペックな素材を融合させれば、きっと良いものが出来上がると思ってました。

コミュニケーションを生む
パターンメイキング。

ーパターンが面白いですよね。シャツ一つとっても肩がセットインでもラグランでもないセオリーに当てはまらないパターンメイキング。これは10年の経験から来たものなんですか?

僕はパタンナーじゃないけど、これまでの経験で着ていて楽な服や動きやすい服がわかってきて。それはヨーロッパのスノーボードウェアの影響が大きかったんです。日本やアメリカでいうスノーボードのウェアって、オーバーサイズが主流じゃないですか。いわゆるストリートやフリースタイルって呼ばれるもの。だけど、ヨーロッパはスキーカルチャーが強いからダボッとしてなくて、タイトなシルエットなんです。自分もバックカントリーをするときに、そういうウェアを着て何時間も歩いて北極圏まで行ったことがあったんですけど、タイトなのにすごく動きやすかったんです。それはなんなんだろうと思って見てみると、パターンの切り替えや突っ張る部分につなぎ目がないとか、そういうことに行き着いて。それが今回のパターンのベースになっていきました。

ーそれぞれのアイテムの裏地とタグには、服のパターンがプリントされていますよね。これはどういうアイデアだったんですか?

僕は長年ファッション業界にいて、これまでいろんな仕事をさせてもらってきたんですけど、販売員だけはやったことがないんです。海外で販売するようになったけど、自分でつくったものを直接お客さんに説明することはできない。だから、自分たちのつくった服を、洋服の中で説明できるようにしたんです。

ー設計図や展開図みたいで、見ているだけでも楽しめますね。

洋服には食品のような産地や原材料みたいなものがあまり書かれてないじゃないですか。食品だったら、身体に悪いものが入ってないか、裏面を見たりするのに。それと僕は車や時計が好きで一日中スペックを見てられるんですけど、洋服だとそういうものがないなと思って。なんとなくの雰囲気とトレンドの流れで服を選ぶことに違和感を覚えたんです。洋服のなかに原材料ともいえるパターンを落とし込んで、オープンにしていく。裏地とタグを見て、ショップスタッフとお客さんのコミュニケーションツールとしての役割も担ってくれたらと思ってます。

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本日10月28日(水)から11月10日(日)まで、伊勢丹新宿メンズ館でポップアップイベントが開催されます。2021年春夏コレクションのローンチを前に、「BLK」と〈ブリーフィング〉とのコラボアイテムが先行リリース。“黒を重ねる知識”が見事に表現された空間を、その目でご確認ください。

INFORMATION

White Mountaineering BLK

会期:10月28日(水)〜11月10日(日)
場所:White Mountaineering 伊勢丹新宿店
住所:東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店メンズ館6F
電話:03-3352-1111
〈White Mountaineering〉オフィシャルサイト

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