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連載「で、NEW VINTAGEってなんなのさ?」Vol.4 “映えない”けれどいまっぽい、ポロは着ててもポロゴルフ。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第4回目は「伊藤商店」の伊藤忠宏さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


伊藤忠宏 / 伊藤商店 店主
Vol.4_ポロゴルフのドラムバッグ&カウチンニット

―伊藤さんにとっての、ニュー・ヴィンテージとは?

“ニュー=新しい”、“ヴィンテージ=古い”という相反する言葉の組み合わせのように感じますけど、要は“フレッシュに感じられる古着”ってことですよね? まず、そうなり得る条件を挙げるなら、第1回目で(坂本)ハジメくんも言ってましたが“市場に数があること”。そうでなければ、人々に広まることがないので、そこからトレンドとしても成立しづらいですし。

―トレンドという点において、いまの若い世代にはどんなモノが人気だと捉えていますか?

やっぱりロゴ物は人気ですね。例えハードロックカフェのTシャツやブランド物など、誰もが見てすぐ分かるっていうデザインはSNS映えしますし。なので、地味だったりちょっとダサかったりで“映えない”モノって、流行らないですよね。でも、そこが放っとけないというか。ちょっと前でいえば、〈コロンビア(Columbia)〉のフィッシングシャツのように、提案の仕方次第ではすごくチャンスがありそうだなぁと。そういう意味でも、今後はもっとファッション的な感度を上げていく必要があると思っています。「タグが〜」とか「ロゴが〜」とか、もうそんなこと言っている時代じゃなくなっていくんじゃないかなって。なので、年代はあまり気にしませんね。去年のモノだろうと格好よければOK。いまって、古着と中古の境界線自体も無くなってきていますし。

―それよりもファッションとして取り入れられるかが重要視されると。第3回目で青木さんが、古着としての値段についても言及されていましたが、「伊藤商店」はすごくリーズナブルですよね?

そりゃあ、お金さえ出せばいいモノなんて買えるじゃないですか。それよりも古着はトライしやすくあるべきと昔から思っているので、むしろ価値が付いたから高くするという感覚が分からないんです。もちろん相場を不用意に崩すわけにはいかないので、非常識な値段を付けないっていう意味で、ですけどね。それに安ければ新品で現行のモノとミックスできますし、そうであって欲しいという想いはあります。古着を当時のままの着方をしてしまうとコスプレ感が強くなっちゃいますし。古着は主役ではなく、あくまでスパイスとして取り入れるべきだと考えているので。

―で、そんな伊藤さんに今回紹介していただくのは、やはりお得意の〈ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)〉ですか?

いえ、同じポロでも〈ポロゴルフ(POLO GOLF)〉です。正直、市場的にはあまり価値がなく、中には〈ラルフ ローレン〉の残念なやつとして認識している人もいるくらい。ですが、スポーツテイストはありながらも、漂うオッサンっぽさがいまっぽいと言われればいまっぽい。そこが狙い目なんじゃないですかね。で、アイテムとしては、まずこのドラムバッグ。時代でいうと2000年くらいでしょうか。好きな人は分かると思うんですが、このデザインって〈ポロスポーツ(POLO SPORT)〉でも、ほぼ同じのがあるんですよ。時期的にもポロスポの展開が終わったあたりなので、デザインを使い回したんだろうなっていう。ね、この“やっつけ感”たるや(笑)

ポロゴルフのドラムバッグ ¥4,000- ※TAX IN(伊藤商店)

―たしかに見覚えがありますね、このデザインには。

もちろん機能性はしっかりしてますよ。ゴルフ用の大容量サイズで、ボディにもシューズ収納用に仕切られたポケットもあるし。あとストラップ部分にはティーなどを収納するポーチも。昨日、状態をチェックしていたら、ここから前オーナーが入れていたティーと、クラブハウスのクロークのものと思われるレシートまで出てきました(笑)。配色もソニスポっぽいし、他とは被りたくない人にはオススメでしょうね。値段はう〜ん…4,000円かな。

―えっ、そんなもんですか!?

これを「面白い! 欲しい!」っていう人がいたら、いくらでもイイですよ(笑)。ぼくならコートに合わせて背負いたいですね。最近、再び注目されているメッセンジャーバッグ風に、ストラップもギュンギュンに短くしちゃったりして。

ポロゴルフのカウチンニット ¥7,000- TAX IN(伊藤商店)

タグにイタリアンヤーンと記されていますし、ウール70%カシミア30%と素材はいいモノを使っています。まぁ、当時の定価も決して安くはなかったんでしょうね。これのどこがイイかって、もし着ていても誰にも〈ポロゴルフ〉って気付かれないところでしょうか。だって前面は無地で、背中にスイングしているゴルファーが編み込まれているだけですよ。どこにもロゴの類が無いからラルフ感ゼロで、ただ見た目の可愛さ勝負っていう(笑)。要は最初に説明した、いま売れる古着の真逆ですよね。でも、服好きが見たら絶対に「どこのそれ?」って聞いてくるやつ。スウェットパンツにスニーカーで、ちょっとダラしなく羽織る感じでも良さそうですね。

―なるほど。プライスは7,000円と、これまた安め。

本当はもう少し付けたいんですが、そうすると相場を崩しちゃいますからね。とはいえ、〈ラルフ ローレン〉の古着を何万点と見てきたぼくでも、コレは初見! 多分、このゴルフラインを買う人って、本当にお金持ちの人たちだから、着なくなったら捨てちゃうんじゃないですかね? だから、こうやって古着市場に流れてこないっていう。カウチンというのも絶妙なタイミングで、これまで流行ってこなかったモノに価値を見出すのがニュー・ヴィンテージなら、まさにいまコレなんじゃないかなと。

―提案するタイミングも大事なんですね。

いまって、実は古着屋がトレンドを作り出していると思うんです。〈ラルフ ローレン〉の復刻モノもそうですし、〈コロンビア〉のフィッシングラインや〈リーバイス(Levi’s)〉のシルバータブとかはまさにそう。以前は、いかに価値のあるアイテムを揃えているかが古着屋のステータスでしたが、いまは“いかにファッション的に面白いモノを見つけ出せるか”。その感覚がイケてるかどうかの方が重要です。これだけSNSが普及したとはいえ、みんなが知らなくてイケてるモノは、まだまだ沢山あるんで、その隙間を狙って楽しむニュー・ヴィンテージっていう概念は、いまっぽいし、今後はもっと面白くなっていくんじゃないかなと思っています。

伊藤忠宏 / 伊藤商店 店主
2008年に古着屋「T」を高円寺にオープン。ストリートに根ざしたセレクトが話題を呼ぶ。その後、渋谷に移転し、ミュージシャンやファッション業界人などにもファンを拡大。現在は古着や、自身が手がけるヘッドウェアブランド〈ギーク(geek)〉などをセレクトした、遊び半分のウェブショップ「伊藤商店」を運営。さらに不定期でポップアップストアも開催している。
公式HP:itostore.thebase.in
インスタグラム:@mr_t_ito

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