運も富も名声も。トリプルファイヤーVo.吉田靖直の自叙伝『持ってこなかった男』が、2月18日に発売。この男は結局、何を持っているのか……？

富や名声を得て成功しきったひと、多様な人生経験を経て開眼したひと。自叙伝を書くのはそういう類のひとに多い気がします。しかし今回ご紹介するのは、たぶんそのどちらでもないひとの自叙伝。

昨年末に蕎麦をすすっていたあのひとを覚えていますか？

バンド「トリプルファイヤー」のボーカル・吉田靖直さんは、音楽活動をする傍ら、その掴みどころのないキャラクターからか、さまざまな連載コラムを執筆したり、大喜利イベントに登場したりと、不思議な経路で芸能界の道をすすんでいます。

そんな彼がこのたび自叙伝『持ってこなかった男』を発売します。『EX 大衆』で連載していたコラム「あなたが本気で紅白に出たいなら」に大幅加筆修正を加えたもので、内容は地元・香川での少年時代から、大学で上京するもののバンド活動が思うように進まず、自堕落な生活に溺れていった学生時代までを描いています。

まだ知名度もそんなに高くなく、ありあまるほど富をもっているわけではない彼が、なぜここまで注目されているのか。この一冊を読めば、たぶんわかるかもしれません。

単行本発売にさきがけ、特設サイトがオープン中。収録内容の前半部分を、期間限定で無料公開しているので、待ちきれない方はこちらをチェックしてみてください。

最後に、この一冊を、吉田さんを端的に表現しているなと感心した紹介文を載せておきます。

四国の片田舎で、青春パンクを聴く友人を蔑みつつ、クラスメイトから舐められていた内気な少年が、ノルマを払わずに東京のライブハウスに出られるようになるまで。錯綜する自惚れと卑屈、飛び交う値踏みされる目線とする目線。物語になり切れない物語……。「売れる」とは何か、「才能」とは何かを、結果として問うことになる、よくある等身大の物語より、もう少し低めな自伝的小説。