〈ジル サンダー(JIL SANDER)〉のクリエイティブディレクターという大役を任されて4年。ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻の切れ味はいよいよ鋭い。
クセになるソリッドなパターン、デザイン、カラーパレット──装飾を削ぎ落としたからこそ、遊び心が浮かび上がってくる。コントラストカラーのステッチやボタンに加えて、今シーズン、彼らのチャーミングなデザインワークを象徴したのがポケットだった。
最たるものがブルゾンのセットアップ。ハンティングジャケットのゲームポケットよろしく背面に取り外し可能なポケットを配した。まさしくさり気なくも印象に残るアクセントだ。素材は軽く、張りがあり、肌触りのいいテクノマットサテン。
ダブルポケットバッグと名づけたマチのない、フラットでしなやかなレザーバッグも素通りできない。ワークエプロンに着想を得たというそのバッグは、腰に巻けば確かにワークエプロンを彷彿とさせる。シンプルな服の仕上げに格好だろう。クロスボディのように肩からかけられる拡張性もいい。
今シーズンの彼らの仕事はデザインというよりも設計といったほうがしっくりきた。ループリングにより袖が取り外せる(長袖→半袖)コートなんかもあって、いちいち舌を巻いた。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa