フリマアプリが普及したいま、シーズンオフの服を売り、そのお金で新作を買うのが一般的になっています。
一方で、同じものを大切に着続けるというのも服の楽しみ方のひとつ。どちらが良い悪いの話ではないですが、後者の方が流行にとらわれず、自分のスタイルを持っているように感じます。
元〈ティム(tim.)〉のデザイナー松村大基さんによる〈マーティー アンド サンズ(MAATEE&SONS)〉がつくるのは、そんな“愛着を持ち続けられる日常着”。ドレスとカジュアルといったような相反する要素をミックスさせたメンズウェアを強みとしています。
4シーズン目となる21年春夏コレクションでは、テーラードとワークウェアをフィーチャーしました。
ジャケットは、肩にパッドを入れ、襟はピークドラペルを採用するなど、伝統的なテーラードのスタイルを踏襲しています。
それでいて、サイズ感をゆったり目に設計したり、落ち感ある素材でリラックスなムードを演出したりと、現代的な要素も感じられる仕上がりに。
アンコン仕立てのセットアップが多いいまだからこそ、あえてこうした伝統に根付いたものを選びたいところ。ちなみに今作は、ヴィンテージで不意に見かける「どこかの誰かが自分の為に誂えたマニアックな一着」を目指してつくられたものだそうです。
こちらは料理人の制服、コックジャケット。日焼けを起こしたような赤みのあるシルクポプリンと、軽さと密度が反比例する綿麻ギャバジンにより、モダンな表情へと昇華されています。
ワークウェアのなかでも中々見かけないアイテムですが、これなら問題なく日常でも使えるのではないでしょうか。
そのほかオーバーオールやシャツ、カーゴパンツがラインナップ。よく見てもらえれば分かるんですが、ムラのあるシャンブレー素材を使用することで、味わい深いアイテムになっています。
各アイテムには、シンプルのなかにデザイナーのこだわりがこっそり詰め込まれています。それに気づき、楽しむことができる「ツウな大人達」に向けつくられたのが、今回の21年春夏コレクションというわけです。