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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.9 “何コレ!?”だらけのフリースブランド、ブラックマウンテン。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

今回から、3ショップが入れ替わってリスタート。第9回目は「インスタントブトーレグストア(instant bootleg store)」の坂本一さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


坂本一 / instant bootleg store 主宰
Vol.9_ブラックマウンテンのフリースジャケット

―さて、今回紹介していただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

今回のテーマはフリースジャケットです。フリースといえば、ひと昔前は〈パタゴニア(Patagonia)〉一辺倒。その後、ミリタリーものや〈ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)〉が人気を博し、そして最近では、ストリートブランドやスケートブランドの多くが、秋冬のラインナップに加えていますし、完全に定番化していますよね。とはいえ、この〈ブラックマウンテン(BLACK MOUNTAIN)〉なんて、ほとんどの人は知らないかも。

―筆者も初見です。「今年こそくる!」って言われるけど…っていう“くるくる詐欺の常習犯”と認識されている節もありますよね、フリースウェアって。

そう、だからこそ! ですよ。ぼくのような“あまのじゃく”が行き着くのが、この〈ブラックマウンテン〉! 4年くらい前から意識し出して、いろいろと見てきたんですが、多分フリースしか作ってないんじゃないですかね、このブランドって(苦笑)。それくらい他のアイテムは見たことが無い。ちょっと頭おかしいでしょ? 「春夏シーズンは、どないすんねん!」ってツッコミたくなるじゃないですか。

―そもそも、アウトドアブランドにカテゴライズされるかも怪しいというか。

機能性から察するに、アウトドアフィールドでの使用は想定していないと思うんです。ガチ仕様ではなく、シティ向けというか、日本で言うなら〈ユニクロ(UNIQLO)〉のフリースに近い感覚じゃないかなぁ。

―だんだん気になってきましたが、アイテム自体の特徴ってあるんですか?

特徴かぁ…柄がすべてなんですよね(笑)。黒人が着ていると非常にクールなんですが、日本人にはちょっとキツイかな〜って感じで…まぁ、要はダサいんですよ。“逆に”とか、言い訳しないと着れないというか。以前ぼくが紹介した〈アンブロ(UMBRO)〉と同様、9割がダサい。でも、たまに「あれ!? コレは格好いいんじゃない、普通に」っていうものが出てくるんです(笑)。こんなのとか。

ブラックマウンテンのフリースジャケット ¥15,000-TAX IN(インスタントブトーレグストア)

―気になるとは言いましたが、これは木というか森ですね。

そう、フォレスト柄とでも言いましょうか。普通ならカモフラ柄で無難にいくところを、森林というボールめの変化球(苦笑)。一方、ココんちで多く見つかるのは動物モチーフ。類似ブランドでも同様の柄がとても多く、ちょっと田舎の町とかに行くと、そこらのおじいちゃんが着ているのをよく見かけますね。

―日本でもお年寄りが不思議な柄を着ていたりするし、そこは万国共通(笑)。でも、このノリって最近、どっかで見かけた気が…。

気付いちゃいましたか…。実は数年前から、20代や30代のアメリカ人、それもいわゆるストリートブランドのデザイナーたちが、サンプリングソースにし始めているんです。中でも、パッと最初に思いつくのが、スピンオフ回でもフィーチャーした〈シュプリーム(Supreme)〉。あそこは、動物がリアルに描かれたモノや、ファーのようなリアルな毛並みのモノをサンプリングしていました。そうそう、こんな感じのやつ。

ブラックマウンテンのフリースジャケット ¥20,000-TAX IN(インスタントブトーレグストア)

最近のトレンドとも合致しますし、どこぞのファッションブランドの2021 AW最新作とか言われたら、つい信じちゃいますよね? 明らかにアウトドアブランドとは違うデザイニングで、普通にクール。とにかくフリースウェアしかつくってないんで、死ぬほどバリエーション“だけ”は存在しています。でも、いや、だからこそ、ギリギリな地雷系も…例えばコレとか

ブラックマウンテンのフリースジャケット ¥18,000-TAX IN(インスタントブトーレグストア)

―えっ、灯台柄!? モチーフ選びが謎すぎます。

多分ですが、ファッション大航海時代となったいま、広大な大海原を進んでいくために必要な1着ということなんじゃないですかね。コレさえあれば、光を頼りに港へと帰ってこられる。そう、ワンピースでいうところの記録指針(ログポーズ)的なアレがコレというわけで。

―何だかよく分かりませんが、間違っても他人とは被らなそう。

さすがのぼくも「ギリギリかっけ〜」とか言いながら、その翌日には「やっぱ、ギリギリアウトかも」って葛藤する毎日(笑)。これまで見た中でもっともダサさを極めていたのが、ピンクベースかつ“リアルでかんわい〜白い子猫ちゃん”の総柄。正直絶句しましたが、それを“見つける”という出会いの喜びこそが、古着の醍醐味。そんな感覚を久々に蘇らせてくれるっていうだけでも、ディグる価値があると思っています。

―そこまで持ち上げられたら、買い付けるお店も増えそうです。

そこです! この記事を読んで面白いと思ってくれた古着屋が、その店ならではの感覚で、〈ブラックマウンテン〉をエディットすることで、ぼくだと「変な柄だなぁ〜」って持て余しちゃう1着も、「あ〜あの店ならあっても自然だし、むしろ格好良く見えるじゃん!」ってランクアップしたりして。こういう賛否両論のあるアイテムにこそ、まだまだ可能性が秘められているので、ニュー・ヴィンテージとしてもっと提案していきたいですね。

坂本一 / instant bootleg store 主宰
原宿「BerBerJin」にて8年余り古着業界に携わりバイイングも経験。その後、セレクトショップ「FAN」に参加。そして2020年に「instantbootlegstore」を立ち上げ、様々な企画を手掛ける。その坂本 一が思う良い物を、”素敵な小遣いの使い方”をテーマに売るお店が「instantbootlegstore」である。
インスタグラム:@hajime0722

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