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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.5 紙一重だからこそ“不良的アティチュード”流れるアンブロ。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第5回目は再び「インスタントブートレグストア(instant bootleg store)」の坂本一さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


坂本一 / instant bootleg store 主宰
Vol.5_アンブロのナイロンジャケット&ナイロンパンツ

―2巡目ですが、今回紹介していただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

今回は〈アンブロ(UMBRO)〉です。〈パレス スケートボード(PALACE SKATEBOARDS)〉からの流れでユニフォームが注目され、スケーターも着たりしていましたが、古着的文脈で語るならば、そういう本チャンの試合で使うモノ以外のウェアが面白いんじゃないかって。ぼくたちの世代的にはそもそも、サッカー部のやつが穿いているジャージやバッグの印象が強いですよね。それが“ファッションとして”はじめて我々の目の前に現れたのは、パレスが生まれるもっとずっと前。オアシスのリアム(・ギャラガー)が着てから。

―あ〜、たしかに着ていましたね。

それまでのUKロック文脈のファッションは、ロックだパンクだって、ビッタビタにダブルのライダースとか着てて、それがパブリックイメージ。それはそれで格好いいけど、UKのミュージシャンでゲームジャージだとかピステ、ナイロンプルオーバーなんかで表に出る人はいなかったんですよ。そこにきて、1996年のメインロードスタジアムでのライブで、リアムが着て現れたのが〈アンブロ〉。あれは最高に格好良かった! 中に襟シャツを着てるんですよ、だって(笑)

―あのラフな感じも、ダサいと紙一重でキャラにハマってて。

そう! それって、ニルヴァーナのカートがパジャマでステージに立つのと同じなんですよ。もし誰かが同じことやっても、それはただのコスプレ。なぜかって、パブリックとプライベートの差が無いから。結局は「スターだからこそ!」ってやつで真似するのは至難の技(笑)。ニルヴァーナがファッション文脈として成立するなら、同じくオアシスもアリなんじゃないかとずっと思っていました。実際、アメリカ一辺倒の俺たちのマインドも一気に開かれた感じでしたから。そんなの絶対忘れないでしょ? ペリーだ、黒船来航だー! ってやつですもん(笑)

―それだけ衝撃的だったと。でも〈アンブロ〉ってサッカーウェアのイメージしかないような…。

アンブロのナイロンプリントパンツ ¥7,480-TAX IN(インスタントブートレグストア)

いやいや。例えばコレ! こんなのもいまないでしょ? テーパードしている総柄プリントのナイロンパンツ。そもそもスポーツアイテムにはお国柄が出やすく、アメリカなら4大スポーツ。でもUKになると、それがフットボールに変わるんですよね。だからこういうアイテムが出てくる。

―たしかに面白いですね。シルエットも取り入れやすそうで。

これは相当イケてるなぁ。90’sの青タグですね。アメリカでもチカーノやギャングといった連中は、ホッケーシャツやユニフォームを着ていたりするでしょ? 同じようにイギリスの労働者階級の場合は、こういう安い〈アンブロ〉なんかを着てたんです。だからか男の憧れる“不良的アティチュード”が根底に流れているんですよ、〈アンブロ〉には。それに単純にスポーツ用のナイロンパンツって考えたら、こんなに洒落たロゴプリントは絶対やらなくないですか? UKのカウンターカルチャーっていつもアメリカに比べて陰鬱なんです。雨が多いし、娯楽もフットボールだけ。そういう地味な土壌がデザインにも如実に表れているのも、またいい感じで。

―もうひとつはジャケットですか?

アンブロのナイロンジャケット 左¥8,800¥-TAX IN、右¥9,000-TAX IN、(ともにインスタントブートレグストア)

見てくださいよ! 袖にロゴのラインが入るけど、こんなのも絶対アメリカブランドはやらない。いや、やれないって感じ。でも格好いいでしょ? いちいち洒落てんなぁ〜って。

こっちはタグから推測するに2000年初頭くらいのモノですが……なんか右裾のところに変なポケットが付いてません? これ結構笑えましたよね。気付いた時、『年代的にiPod nanoじゃない!?』『うわー絶対そうだー』とか言って(笑)。まぁ、実際の用途は分かんないんですけど、そうなるとiPod nanoがヴィンテージかぁ〜ってちょっと自分の年齢感じるっていうか、そこも感慨深いですよね。こうゆうノリで、同世代やその上の世代にも楽しんで見つけて欲しいなと思って、ピックアップしてみました。

―たしかに掘り甲斐のあるブランドですね、〈アンブロ〉って。

前回、伊藤さんが紹介していた〈ポロゴルフ(POLO GOLF)〉のように、まだご近所のリサイクルショップなんかにも”中古”として埋もれていて、だからこそまだ価値が付いておらず面白いものが転がっているのが〈アンブロ〉。むしろ、マジで探さないとダサいものが9割(笑)。そういう意味でも、古着の初心であり真髄を感じられる様なトピックスじゃないでしょうか。これもまさしく“ニュー・ヴィンテージ”。新しいモノやコトに触れるのって本当に楽しいので、この記事を読んでくれた人にとって、明日から〈アンブロ〉が“古着”として目に映るようになっていたら嬉しい限りです。

坂本一 / instant bootleg store 主宰
原宿「BerBerJin」にて8年余り古着業界に携わりバイイングも経験。その後、セレクトショップ「FAN」に参加。そして2020年に「instantbootlegstore」を立ち上げ、様々な企画を手掛ける。その坂本 一が思う良い物を、”素敵な小遣いの使い方”をテーマに売るお店が「instantbootlegstore」である。
インスタグラム:@hajime0722

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