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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.10 アウトドアに“興味があってもなくっても楽しめる”コロンビア。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

前回から、3ショップが入れ替わってリスタート。第10回目は新たに加わった「カラーアットアゲインスト(Color at Against)」の高橋優太さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


高橋優太 / Color at Against 店主
Vol.10_コロンビアのアノラック&フィッシングジャケット

―高橋さんにとっての、ニュー・ヴィンテージとは?

“これがニュー・ヴィンテージ”という定義はあってないようなもの。その上で、ヴィンテージカルチャーの元で育った人たちが大人になって、色んな物を見てきて「あん時のアレは格好良かったね」っていうエモいノリが、時代とモノに合致した際に、心くすぐられるモノ。それがニュー・ヴィンテージなのかなぁなんて思っています。

―その上で選び出す際の基準って、なんでしょうか?

あくまで“ぼくにとっての”ですが、経験と自分の身の回りのカルチャーや趣味から導き出してるというか、半分は自己満足的な感覚ですね。若い頃はハーレーに乗っていたんですけど、その時はバイクを通して古着と向き合っていたので、自然とバイクと年代の合う40〜60年代の服を漁っていました。ですが、自分にはヴィンテージを買うお金なんてあるはずがなく…。そこで当時はまだ価値が見出されていなかったレギュラー古着から「これ全然かっこいいじゃん!」っていうアウトドアブランドを見つけて着ていた経緯が、いまの嗜好に繋がっていると言えますね。なので、買ってしっかり使って、着て得た経験から直感で選び出すのが基本。これは「スケートやってないのにスケートブランド扱っちゃダメでしょ」っていう、上の世代からの前時代的プレッシャーに晒されていた中で培われた、自分なりの価値の見出し方ですね(笑)

―それでいうと、最近はキャンプや釣りなどのアウトドアにハマっているということで、〈コロンビア(Columbia)〉が気になっているとか。

ですね。ひと昔前までは、〈コロンビア〉といったら学生やオジさんが着るイメージだったんですが、実はアイテム数もシェアの幅もえげつないですし、機能性やデザインも一種独特。そういう部分に注目するようになったら、俄然面白くなってきたんですよね。2 in 1の3WAYジャケットを初めて世に送り出したのもココですし、いまのファッションの礎を築いたブランドの1つですから。

―で、ニュー・ヴィンテージなアイテムとして今回ピックしたのがコチラ。

まずは発見したら絶対に買わずにはいられない、メチャクチャ格好良いアノラック。年代によってフロントロゴが刺繍になったりワッペンになったりと、マイナーチェンジされていますが、基本は一緒。ポイントとしては、愛くるしいフロントのマーブルボタンや、フロント身頃の通称“ドラえもんポケット”の仕様、それにフードの裏地とのコントラストも洒落ています。

(上から順番に)コロンビアのアノラック ¥12,800-TAX IN / コロンビアのアノラック ¥11,800-TAX IN / コロンビアのアノラック ¥13,800-TAX IN(すべてカラーアットアゲインスト)

―それぞれいつ頃のモノなんですか?

上から順番に、90s前期、90s後期、00年代。ちなみにぼくは90年代前期のラバーっぽいロゴが好きだったりします。段々と簡略化されていっているので、「コスト的に厳しかったのかな?」なんて予想してみたりするのも楽しいんですよね。で、このアノラックを見た他ブランドが「ヤベェ、やられた!」って思ったのか、のちにこんなアイテムも登場します。

―そっくりですが、こっちは〈ギャップ(GAP)〉なんですね。

ギャップのアノラック ¥12,500-TAX IN(カラーアットアゲインスト)

いまとなっては逆にアリじゃないですか? この時期は色んなブランドが、パクリパクられを繰り返してたのが色々と掘っていくと分かるので、そこもまた面白い。それで言えば、〈コロンビア〉は我が道をゆくデザインのアイテムが多く、さすがだなぁと感心してしまいます(笑)。それに元の定価もそうですが、古着市場での価格帯が他ブランドよりも安いっていうのも素晴らしい! ガチのアウトドアブランドの古着って、気温や天候なども加味してアイテムを選んだり、「これを着て、どの山行こうかな〜」とか「街ではこう合わせよう!」って考えたりするようになったりと、自分のファッションの幅を広げてくれるので、アウトドアに興味のない方にもオススメです。

―最後にご紹介いただくのは、コロンビアの十八番、フィッシングジャケット。

コロンビアのフィッシングジャケット ¥17,800-TAX IN(カラーアットアゲインスト)

これまた、個人的な趣味が色濃く出ちゃってますね(笑)。まぁ、あくまで自分のライフスタイルにあってリアルかどうかが自分の基準なので、こうなっちゃうのは仕方ないということで。というワケで、これに関してのウンチクは特にありません! とはいえ、しっかり裏に貼られたシームテープや軽量性なんかは一応語りどころなんですかね。もちろん、現行のアイテムと比べちゃうと、防水性は…ではありますが(苦笑)。あと、このシンプルさでパッカブルなところもたまらないし、己のパッキング能力が試される感じとかも、釣り心をくすぐってくるというか。自分は古着を着て自然と勝負したいので、「ヴィンテージを着るということは、時に我慢も必要だ」と言い聞かせながら、こういったアイテムを着続けています。

―今回でニュー・ヴィンテージの解釈が、さらに広がりましたね。 

なんとなくですけど、パーツや素材といったディテールだけでは語れない愛が、ニュー・ヴィンテージを産むんじゃないかな? と。希少価値が格好良さを産むのではなく、格好良さがニュー・ヴィンテージを産み出すキッカケになってるというか。格好良かったアイテムたちが自然と自分の中で熟成されて、ニュー・ヴィンテージになってきた。という感じで、イッパツ目は締めさせていただきます!(笑)

高橋優太 / Color at Against 店主
秋田県出身。〈ステューシー(STUSSY)〉、某アメカジ系セレクトショップを経て独立。東京・代々木上原の駅近くの住宅街にて“遊び心を忘れない、童心を忘れたくない大人たち”をコンセプトに、アメカジをベースとし、古着や国内外を問わず面白さや楽しさを連想させるアイテムを提供するセレクトショップ、〈カラーアットアゲインスト(Color at Against)〉を営む。最近はキャンプや釣りなど、アウトドアにハマっている。
インスタグラム:@color_at_against

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