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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.11 “フラットな目線でハント”するのが楽しいオービス。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第11回目も新たに加わったニューフェイス。「ウォーミング(Warming)」の坂本高久さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


坂本高久 / Warming 店主
Vol.11_オービスのスウェット&ハンティングジャケット

―坂本さんにとっての、ニュー・ヴィンテージとは?

これまでの古着と変わらず、ワークやミリタリー、スポーツなど、リアルなフィールドで実用的に使われてきたアイテムにスポットを当てつつ、年代でいうと00s初頭くらいまでの、時間の経過とともにある程度の雰囲気やアジがそれなりに出ているアイテム。これが自分の中でのザックリとした条件としてあると思っています。この時代につくられたモノのほとんどが、ヴィンテージという前例が存在したからこその発想でつくられていたりもして、そこの面白さがひとつの要因としてあるんじゃないかなって。

―たしかに“サンプリング&アップデート”というデザイン方法が、一般的なモノになり、増えていった時代でした。

ウチでもよく取り扱っているブランドもそうなんですが、個人的にはリアルタイムで、自分が好きだった〈グッドイナフ(GOODENOUGH)〉や〈ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)〉なんかが、その良い例。フライトジャケットをスウェット素材で、B-3をナイロンのダウンに変えてつくったり、シルエットをサイズアップしたりと、当時ヴィンテージといわれていたモノを、ただつくり直すのではなく、それまでは無かったようなアイデアを落とし込んでいたりと、“時代の空気に合わせて形に”していましたよね。セレクトの際にこの感覚を意識することが、ニュー・ヴィンテージを楽しむ上で、ひとつのヒントになるような気がします。

―いまの時代に合わせた着方を考えたりってことですね。その上で、今回紹介してもらうのが〈オービス(ORVIS)〉です。

1850年から存在する、フィッシング、ハンティングギアやウエアを主につくっているアメリカ生まれの老舗アウトドアメーカーです。ぼくの知る限り、国内にオービスの専門店って見たことがなく、日本では釣り好き以外にはまだまだ馴染みも薄く、流通数も少ないとは思います。古着市場では〈エルエルビーン(L.L.Bean)〉がイメージ的に近く、クオリティや機能性、デザイン的にも同じようなポジションに位置付けられるアイテムが多く見つかります。

―で、ニュー・ヴィンテージなアイテムとして今回ピックしたのがコチラ。

まずは、日本でも馴染みのあるゴールデンレトリバーが描かれたスウェット。ゴールデンレトリバーは、狩猟の際に撃ち落とした獲物を回収する役割をし、ハンティングには欠かせない犬種で、ラブラドールも同じように活躍していますが、ともにハンティングメーカーのスウェットやキャップなどに、度々使われていたりします。

オービスのスウェット ¥11,000-TAX IN(ウォーミング)

―何とも言えない、良いムードを醸し出しています。

注目は、ボディが〈ハーバーサイドグラフィックス(HARBORSIDE GRAPHICS)〉製という点。〈エルエルビーン〉や〈アールイーアイ(REI)〉のTシャツなんかでも使われていて、動物や風景のグラフィックが知られているんですが、このスウェットのように犬が大きくプリントされるものは、ぼく自身も初見でした。この時期のスウェットは50/50の綿ポリが多いんですが、これはコットン90%でリバースウィーブなんかと同じく、少々肉厚。着込むほどに良い感じの風合いが出てくるのも良いんです。この渋いボディカラーも、古着としては珍しいし、プリントの配色やメーカータグと合っているし最高!

―タグとのマッチングも意識しだすとは、完全に沼ですね(笑)

(笑)。で、そのメーカータグというのが、この釣り籠が描かれた緑タグ。90sの頃ですかね。ぼくの知る限り、このタグが付いているアイテムは平均的に良いモノが多い印象。もうひとつは、恐らく2000sになってからの“ORVIS”ネームのみのシンプルなタグ。こちらは緑タグよりさらに未開拓な部分も多く、気になっている人も少なからずいるのかなと。

―アイテム自体の変化はあるんですか?

この頃は、アウトドアカテゴリーでも、〈バブアー〉を筆頭としたユーロ勢が台頭してきた時期もあってか、それまでのアメリカらしい野暮ったさよりも、スタイリッシュさが求められたんでしょうね。シルエットが徐々にスリム〜ジャストに変化していきます。ぼく自身、〈オービス〉も例に漏れず、割とそんな感じだろうなぁと認識していたんですが、そんな見過ごされていたアイテムたちの中でも、いまなら新鮮に思える面白いアイテムがちゃんとつくられていて…。

―それが、このブランドの看板的存在のハンティングジャケットですね。

オービスのリバーシブルハンティングジャケット ¥16,500-TAX IN(ウォーミング)

表裏が生地違いでつくられていて、モールスキン素材とチノクロス的なコットン素材のリバーシブル仕様になっています。バーンコートと呼ばれるカバーオールのようなモノなら、リバーシブルや無地×柄のパターンも見たことがありますが、これは表裏でディテールが細かく違います。まずブラウンの側。目を引く前立てのボタンはクラシカルなのに、袖ボタンは使用頻度が高いためか、使いやすいスナップボタン。良い位置にあるスッキリとしたデザインのスラッシュポケットがまた良いし、その下の大きいフラップ付きのポケットは下部が膨らんだ“釣り籠”のような丸みを帯びた立体構造。さらに片側だけにしか付かないエポレットやチンストラップのような折り返せるパーツもユニークです。

―ちなみに裏側は?

こちらは、タンカラーでポケットがアシンメトリーでカートリッジホルダーも完備。片側がシンプルというのはありがちですが、どちらもシッカリ凝っていて捨てがたい、両A面って感じ。シルエットもXLだから身幅もたっぷりあって、丈もわりと短め90sなボックスシルエット。さらにベンチレーション機能も備えていたりと、ちょっと詰め込みすぎな感もありますが(笑)、ディテールとシルエットの両方で楽しめる面白すぎるつくりは、この時期だからこそ。

―たしかに! これは、希少価値のみで探していては見つからないアイテムですね。

そうなんですよ。探してみるとトラッドなシャツやニットなども出てきたりして、デザインの幅もかなり広いですしね。他の名だたるメーカーでも、未だに初見のデザインが発見されたりするし、そこが古着の面白さのひとつ。〈オービス〉にもまだ見ぬアイテムが存在するはずなので、そういう意味でも、しばらくは掘ることを楽しめるんじゃないかなと思っています!

坂本高久 / Warming 店主
千葉県出身。2016年5月より、インスタグラム上で自身が買い集めた古着を紹介するアカウントを開設。2019年4月に、世田谷区・松陰神社前に待望の実店舗「ウォーミング(Warming)」をオープン。90sのUSブランドを軸に、気の利いたグッドレギュラーなアイテムから、レアなアイテムまでを展開。そのセレクトセンスはもちろん、週末と祝日のみという営業スタイルの面白さもあって、ファン急増中。
インスタグラム:@warming__store

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