“ゾッキ”とは、投げ売りなどによる安売り、全部ひとまとめにして売買することの意。
本作は、恋愛、青春、家族、罵り、嘘、秘密…構成している要素を語ればきりがなく、〇〇映画とは括れない。まさにゾッキ的な映画なんです。
STORY
今日も地球は“秘密と嘘”で回っている。ある女性は「秘密は大事に、なるべくたくさん持て」と助言する祖父の秘密の数に腰を抜かす。ある男は、あてがないというあてを頼りに、ママチャリと寝袋を携えて南を目指す。そしてある少年は、やっとできた友達から、いるはずのない自分の姉に恋をしたと告げられる。街のはずれで起こったささいな出来事たちの、その結末とは…。
原作は漫画家・大橋裕之さんの『ソッキA』『ゾッキB』(カンゼン刊)。異例の大ヒットを記録したアニメーション映画『音楽』でも記憶の新しい、大橋さんの初期作品集で、どこにでもありそうだけれど探しても絶対に見当たらない、そんな小さな話が集まった素っ頓狂な作品です。
業界内でもファンが多い大橋作品。言い換えれば、実写化やアニメ化のハードルがかなり高い作品ですが、そのプレッシャーを買ってでた監督が3人います。
竹中直人・山田孝之・齊藤工という日本の映画界を語るに欠かせない俳優陣です。俳優という枠にとどまらない活動をしてきた3人が集結し、今回実写版の映画『ゾッキ』として完成させました。
漫画内のキャラクターに形を帯びさせたのは、これまた豪華な出演者たち。祖父から嘘の教えを聞くりょうこ役に吉岡里帆、「あてがないというアテを頼りに、とにかく南へ」とママチャリと寝袋で旅に出た藤村を松田龍平、友達の架空の姉に恋焦がれる青年・伴くんを演じたのは、お笑いコンビ・コウテイの九条ジョーです。
ほか満島真之介、森優作、鈴木福、竹原ピストル、安藤政信、ピエール瀧、倖田來未、松井玲奈、國村隼…などの、まばゆいメンバーが脇を固めます。大橋作品を彩るに欠かせない音楽はCharaが担当。初めて音楽監督を務めました。
字面だけでも規格外れな内容の本作ですが、それを支えたのは大橋さんの生まれ故郷であり、原作が生まれた聖地でもある、愛知県蒲郡市。官民一体の「映画『ゾッキ』蒲郡プロジェクト委員会」が組成され、製作から公開まで全面支援が行われました。
カテゴライズも形容も不可能な映画が、いまここに産み落とされました。公開は4月2日(金)、あなたのゾッキを見つけてきてください。