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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.15 どこか力の抜けたリラックスさも魅力、“いまが狙い目カモ”なダックヘッド。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第15回目は「ウォーミング(Warming)」の坂本高久さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


坂本高久 / Warming 店主
Vol.15_ダックヘッドのスウェット&Tシャツ

―さて、今回紹介していただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

今回は〈ダックヘッド(DUCK HEAD)〉を持ってきました。前回紹介した〈オービス(ORVIS)〉と同じくらい歴史は長く、さらにここ日本における馴染みの薄さも同様。ですが、アメリカの特に南部では結構なシェアを広げていて、いまも変わらず作り続けられているアパレルブランドです。ウチでは入荷すると気が付けば毎回無くなっているくらい定番になりつつあります。

―名前の印象からして、ハンティングや釣りなんかのアウトドアスポーツを用途として想定しているブランドなのかなって思いました。

たしかにそう勘違いする人も多そうですが、元々使われていた帆布(コットンダック)生地に由来するネーミングですね。1865年に南北戦争後、軍用テントで使われていた帆布生地の余剰を使って2人の兄弟が創業し、ワークウェアを作り始めたのが最初だとか。1970年代くらいまでは、カバーオールやオーバーオールなどの時代を反映したアイテムを数多く作っており、その辺は50年代〜60年代のヴィンテージが好きな方にもお馴染みです。

―なるほど。結構ガチなワーカー層に愛されていたブランドなんですね。ヴィンテージ好きにはカバーオールやオーバーオールがお馴染みということは、ニュー・ヴィンテージ的に注目すべきアイテムはまた違うと?

そんなワークウェアを作り続けてきた時代も落ち着いて、80年代以降はファッショナブルで遊び心のあるデザインを多く作り始めるように。その当時のUSローカルブランドでもトレンドだった、カラフルな切り替えしが特徴的なブルゾンは、古着でよく見かけるデザインではあるんですが、ココはブルゾンよりシャツでそういった攻めた配色のモノが多く見つかります。

―80年代〜90年代は派手でエネルギッシュなデザインがもてはやされた時代ですもんね。

当時アメリカでも一部のラッパーの間でとても人気のあった〈トミーヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)〉がよくやっていたストライプB.D.シャツやポロシャツがあるんですけど、それに明らかに寄せて作ったりもしていました。あの手のデザインはよく売れたようで、一瞬間違えてレジに持って行きそうな位によく似ているモノも見つかるので、侮れません(笑)。

―古着市場で見つかるアイテムのバリエーションも結構多そう。

そうなんですよ。これら以外にもスウィングトップやゴルフ用のレインウェア、革靴にキャップなどの小物も少なからず存在していますし、全体的なバリエーションの多さから察するに、当時のアメリカではとても人気があったことが窺えます。では今回は、80年代以降の定番であるTシャツを中心にピックしてみましょうか。

左_ダックヘッドの Tシャツ ¥6,050、上・右_ダックヘッドのボーダー Tシャツ 各¥6,820、下_ダックヘッドのクルーネックスウェット ¥7,150(すべてウォーミング)

―たしかにワークウェアのブランドとは思えない、ポップで気の利いたデザイン! スウェットなんて、左胸にワンポイントのみというのが逆にいまっぽいセンスに感じられます。

ダックヘッドのクルーネックスウェット ¥7,150(ウォーミング)

カラーで刺繍されているのも可愛いし、シンプルで使えるアイテムって感じですよね。チラリと覗いている黄色のタグも目を惹きますし。またこのタグなんですが、歴史も長いので古着における楽しみ方の一つである年代ごとの変化も当然あって。そんなアーカイブを分かりやすくまとめたのが、こんな面白いTシャツです。

ダックヘッドのTシャツ ¥5,500(ウォーミング)

モノクロで写実的に描かれていたのが徐々にカラーになっていき、デザインとして洗練されていく様子が一目瞭然。途中で謎に顔が逆向きになりますが、その理由を考えてみるのも一興です。もちろんこのロゴのみをフィーチャーしたタイプもあります。それがコチラ。集合カットにあるカモの横顔がデザインされたTシャツですが、特に面白いのがバックプリントのグラフィック。

ダックヘッドのTシャツ ¥6,050(ウォーミング)

カモが水中に潜る瞬間の姿をファニーに描き、“DUCK TAIL”と記されています(笑)。まさに頭隠して尻隠さず。実にアメリカンなセンスで思わずニヤリとしてしまいますよね。ちなみにこのデザインはスウェットでも存在しますが、なぜかフロントのみのモノもあったりしてケース・バイ・ケース。こういうイレギュラー感が良い意味で、アメリカの適当さや古着ならではの面白さでもあります。

―続いてはボーダーTシャツ。最近の気分でもあるのか、アパレルブランドの新作でも良く見かけます。

ダックヘッドのボーダー Tシャツ ¥6,820(ウォーミング)

ぼく自身も好んでよく探していますが、古着市場では近年人気のジャンルでもあります。柄はサーフ系のグラデーションがかったタイプからマルチピッチの、いわゆるストライプドボーダー、フレンチスタイルなシンプルな2色のボーダーまで幅広く展開されています。じゃあ、何種類か並べてみましょう。

―これまた雰囲気の良い配色ばかり。ピッチの細さや絶妙な色使いもあって、大人の着こなしにも似合いそう。

ねっ、先程述べたストライプシャツの配色センスがバッチリ発揮されているのが分かりますよね。この辺のバリエーションの豊富さも、個人的に〈ダックヘッド〉を推したい理由。さらに細かく言えば、この時代はネックがしっかり詰まってボックスシルエットが基本となっているのも嬉しいポイントです。この手のボーダーTシャツは古着でも頻繁に見つかるワケでないけど、チェックシャツのように自分の感性で選ぶのが楽しいし、実に奥が深い。ちなみにココんちに関してはまだ価格も良心的で、今が狙い目です!

―俄然、〈ダックヘッド〉に興味が出てきちゃいました。

当時のノリやデザイン自体は、他にも似たようなモノが数多く存在しますが、どこか力の抜けたこのカモのロゴが入るだけで、アメリカントラッドなボタンダウンシャツでさえも親しみが沸いてくるというか。そんなリラックスムードがさり気なく、されど存分に味わえるのが、このブランドならではの楽しさと言えるのではないでしょうか。

坂本高久 / Warming 店主
千葉県出身。2016年5月より、インスタグラム上で自身が買い集めた古着を紹介するアカウントを開設。2019年4月に、世田谷区・松陰神社前に待望の実店舗「ウォーミング(Warming)」をオープン。90sのUSブランドを軸に、気の利いたグッドレギュラーなアイテムから、レアなアイテムまでを展開。そのセレクトセンスはもちろん、週末と祝日のみという営業スタイルの面白さもあって、ファン急増中。
インスタグラム:@warming__store

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