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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.16 あの頃の空気感を気楽に楽しめる“足湯的存在”ニットポロシャツ。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第16回目は「ダンジル(danjil)」のコージさん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


コージ / danjil 店長
Vol.16_キックウェアのニットポロシャツ

―さて、今回紹介していただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

今回は懐かしいアイテムにスポットを当てたいと思います。それが90年代にストリートで青春期を過ごした同世代には懐かしいニットポロシャツです。もっとも流行っていたのが70年代なので、古着市場で見つかるのもその頃のモノが多く、デザインが気に入っても自分にはちょっとサイズが合わなくって…。そこで見つけたのが〈キックウェア(KIK WEAR)〉。1992年に創業されたロサンゼルス発のストリートブランドで、バギーパンツが有名です。日本でも西海岸ノリのスケート&サーフ系のセレクトショップなんかで展開され、ある程度は認知を得ていましたが、いまとなっては知らない人の方が多いかもしれません。

ー調べたところ、いまもブランドは健在のようです。ボトムスがバギーシルエットなのは変わらず、トップスがタイトに変わり、欧米のレイブシーンやEDMファンから支持されているとか。

なるほど。となるといまは当時とはかなりテイストが変わったんですね。ぼくのなかではニットポロ=ビースティ・ボーイズのイメージ。『pass the mic』のMVでもキング・アドロックが着ているのが確認できますし、彼らが運営していたレーベル「グランドロイヤル」のアパレルラインからもリリースされていましたね。

グランドロイヤルのニットポロシャツ ¥12,800+TAX(ダンジル)

ーいま見るとかなり洒落ているしフレッシュ! たしかにニットポロシャツには、ビースティしかり白人アーティストが着ていた印象があります。

特に西海岸メロコアバンドの連中はよく着ていましたよね。ワークパンツに合わせて、腰にはボールチェーンのウォレットチェーンを着けたりして(笑)。当時は〈ポロ ラルフ ローレン(POLO RALH LAUREN)〉でもビックポロが人気を博していましたし、世はバギーシルエット全盛期。そんななかでTシャツに比べ、デカく着ても行儀良く見えるニットポロシャツは彼らに重宝されていたんでしょうね。というワケで今回は、いくつかバリエーションを持ってきました。

キックウェアのニットポロシャツ 各¥12,800+TAX(ダンジル)

ーしっかしド渋なデザインですね。なんとなくブラックのノリも感じますし。

そうなんですよ、そこが他ブランドに比べてココの面白いところ。基本的なデザインとして、ダイヤ柄やストライプ柄が多く採用されており、ジャマイカの不良であるルードボーイっぽい感じ。ニューヨークの有名なグラフィティアーティスト、ダズ・グリーンによりデザインされたラスタマンのキャラクターを使っていたりもして、メチャクチャ黒いバイブスを感じますよね。タグのグラフィックもちょっとダサめで、それもまたイイ雰囲気ですし。

キックウェアのニットポロシャツ ¥12,800+TAX(ダンジル)

ーなんとなく見覚えがあるタグですが、結構見つかるんでしょうか?

掘り始めた頃はドカっと出てきたんですが、だんだんと見つかりづらくなってはいますね。先程も話したように70年代などの古いモノはあっても、こういったストリートブランドに検索範囲を狭めると、一気に数が減ってしまって。結構見かけるところだと〈フレッシュジャイブ(FRESHJIVE)〉や〈エクストララージ(XLARGE)〉とかなんですが、あるタイミングを境に生地が鹿の子やジャカードに切り替わってしまうため、ニットとなるとさらに数は減ってきます。

ーたしかに両方とも西海岸のストリートブランドですし、なんだか時代の空気を感じますね。では、モノとしての見どころを教えてください。

なによりバギーなシルエットがイイですね。そもそもスポーツウェアなので運動性を考慮するとタイトに着る方が理にかなっているポロシャツを、だからこそ正反対にダボッと着るのがストリートのノリっていうか。あとは自分自身の年齢の変化もあって、アースカラー中心というのもありがたいですし、オリジナルのメタルボタンまで作っているというこだわりもポイントが高いですね。それでいうと、これなんかは織り柄も面白いですし、ボタンではなくハーフジップ仕様になっているため、またちょっと違う表情を見せています。

キックウェアのニットポロシャツ ¥12,800+TAX(ダンジル)

ーいわゆる“イナタイ“アイテムですが、「ダンジル」ではどんなお客さんが買っていくんでしょうか?

若い世代は“なんとなく格好いい“という肌感覚で買っていきます。アイテム的にも定番ではないため、こう着こなすべきという既成概念がなく自由な着こなしができるのが新鮮なんでしょうね。スラックスに合わせて、ちょっと菅田将暉っぽい感じで着ていたりして、ちょっとぼくらが想定していたイメージとはまた違いますが、それもまた古着の自由さなのでイイかなって。

ー若い世代のみならず、ストリートから離れていた大人にも重宝されそう。

そう、これだけでちょっとオシャレをしている感が出るんですよ。子供が幼稚園に通うようになったら年中行事にも参加する必要が出てくるじゃないですか。そこで普段通りに Tシャツ1枚ってワケにはいかないので、こういうのが活躍するんじゃないかなと。足元は以前、紹介した〈エルメス(HERMES)〉のターボを履けば完璧です(笑)。バックボーンと服が合致するのが1番ですが、正直それに肩までドップリ浸かっていると疲れちゃうじゃないですか(笑)。お風呂と一緒で、のぼせ上がっちゃう。そんな時に“なんとなく当時の匂いを醸しつつ、気楽に足湯的感覚で楽しめる”のが、あの頃のニットポロシャツ。一度、ストリートから離れてしまった同世代の皆さんに、ぜひ試してみてもらいたいアイテムです。

コージ / danjil 店長
2003年、東京・西南エリアにおける古着のメッカとして知られていた町田に、80s〜90sのアメリカンカルチャーにまつわるアイテムをラインアップする古着屋「danjil」をオープン。店内には、ストリートカルチャーやアメリカンスポーツにまつわるアイテムがところ狭しと並び、訪れる“好き者”たちを悶絶させる。どうやら新進気鋭のブランド〈コットンパン(COTTON PAN)〉とも、関わりがあるとかないとか…。
インスタグラム:@danjil2

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