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ジル サンダー+とビルケンシュトックがつくる都会のオアシス。約3週間のポップアップスペース、その全貌に迫りました。

人々の暮らしのなかからファッションが生まれるいまの時代。SNSやネットの急速な進化によりぼくたちの価値観は変化、ダイバーシティという言葉がフォーカスされ、かつては “族” や “系” として括られた社会的なトレンドも生まれなくなりました。安心して生きることすら難しい状況のなかで、ファッションに求められるものといえば、華美なデザインより、日々の生活に寄り添うもの。付け加えると、身近で安心感を与えてくれるもの、ではないでしょうか。

そんな流れのなかで〈ジル サンダー+(JIL SANDER+)〉が出会ったのは〈ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)〉。我々にも馴染み深い、あのドイツのシューズメーカーです。

一見両者は相容れないブランドのようにも見えますが、〈ジル サンダー+〉を手掛けるルーシー&ルーク・メイヤー夫妻はプロジェクトのはじまりをこう説明します。「私たちは物心ついた頃からずっと〈ビルケンシュトック〉を履いています。履き心地がいいだけではなく、気持ちが安らぐのです。カナダの荒野でキャンプをしたときや、スイス・アルプスの山小屋の暖炉でくつろいでいたときなど、日常を離れた場所でも履いていました」

このコメントを読むと、〈ビルケンシュトック〉がメイヤー夫妻の生活に根ざしていることが伝わってきます。今回、コラボレーションに至った経緯もごくごく自然な流れというわけです。

披露されたシューズはすでにフイナムでも取り上げましたが、プロジェクトはこれで完結ではありません。続きは、シューズの発売と同じ8月4日(水)からはじまったビルボードのインスタレーションです。舞台は、昨年、渋谷と原宿を結ぶキャットストリート沿いにできたアートスペース「StandBy」。これはコンクリート打ちっ放しの箱型の建物で、ギャラリー「The Mass」の隣にあると言えば分かりやすいかもしれません。

巨大なキャンペーンビジュアルが目を引く「StandBy」の外観。

見どころは外壁に掲げられた〈ジル サンダー+〉×〈ビルケンシュトック〉の巨大なキャンペーンビジュアル。ニューヨークの郊外、自然豊かな場所で撮影された写真は東京という都会のジャングルと対比をなしているようにも見えます。これを撮影したのはアメリカ人の気鋭フォトグラファー、タリア・チェトリット。写真というメディアにひと一倍こだわりを持つメイヤー夫妻ならではの人選です。

建物のなかは天井のトップライトから自然光が差し込む気持ちのいい空間。併設されたカフェには、今回だけのオリジナルカップを使ったコーヒーとカフェラテが用意されました。しかも、期間中ここだけでしか手に入らないポスター式のフリーペーパーを無料配布しています。これは表面にキャンペーンビジュアルを、裏面にアメリカの詩人、エミリー・ディキンソンの作品をプリント。ディキンソンの作品はメイヤー夫妻のお気に入りの詩のひとつで、〈ジル サンダー+〉のフィロソフィーにも通じるところがあり、コロナ禍で生きるひとたちを勇気づけたいという思いを込めて選んだといいます。



建物のなかにはカフェが併設され、椅子に座ってコーヒーを飲みながらくつろぐことができる。天井のトップライトから入る自然光が気持ちいい。〈ジル サンダー〉の「7 DAYS SHIRTS」を着たスタッフがコーヒーをサーブする。

カフェのメニューはブラックコーヒー(¥350)とカフェラテ(¥400)の2つ。それぞれホットとアイスが用意され、カフェラテのミルクは豆乳を選ぶこともできる。カップや蓋には環境に配慮した素材を使用。



手触りのいいざら紙を使ったポスター式のフリーペーパーは約90×60センチの大判サイズ。ひとり何枚でも持ち帰ることができる。

ここまで書くと「StandBy」でもシューズが買えると思うかもしれませんが、ここでの販売はありません。手に取りたい方は、このスペースから徒歩数分のところにある「ジル サンダー 表参道店」、もしくは、「伊勢丹新宿店」で開催中のポップアップストアに足を運びましょう。

用意されたシューズは全部で4型。このうち3型は〈ビルケンシュトック〉の名作「アリゾナ」「ミラノ」「ベルリン」をリデザインしたもので、従来のものよりフォルムに丸みがあり、幅広なアウトソールがあしらわれています。それぞれアッパーのレザーが切りっぱなしで使われているところもポイントのひとつ。もう1型は写真の用意がありませんが、いちからデザインされたウィメンズモデルです。




〈ジル サンダー+〉×〈ビルケンシュトック〉のシューズはユニセックス仕様。通常のモデルよりも丸みがあり、大きなアウトソールを合わせている。カーフレザーを使った「アリゾナ」(写真上:¥59,400)と「ミラノ」(写真上から2枚目:¥66,000)はクリームとブラックの2色展開。スエードを使ったスリッポンタイプの「ベルリン」(写真上から3枚目と4枚目:各¥63,800)はブラック、クリーム、オリーブの3色展開。

「伊勢丹新宿店」で行われているポップアップでは、発売初日に並びが出たといいます。「ジル サンダー 表参道店」にも問い合わせが多数入っているとのことなので、気になっている方は早めの購入を強くおすすめします。

メイヤー夫妻の並々ならぬ思いが伝わってくるこのプロジェクト。「StandBy」でのポップアップは約3週間を予定しているので、近くに行った際はぜひ立ち寄ってみてください。都会のオアシスたる所以がきっと分かるはずです。

Photo_Takuroh Toyama

INFORMATION

BIRKENSTOCK × JIL SANDER+ ビルボードインスタレーション

会期:8月4日(水)~24日(水)
場所:StandBy
営業:10:00~19:00
住所:東京都渋谷区神宮前 5-11-1
電話:03-6427-5834

BIRKENSTOCK × JIL SANDER+ ポップアップストア

会期:8月4日(水)~10日(火)
会場:伊勢丹新宿店本館 3 階=センターパーク/ザ・ステージ#3
時間:10:00~20:00

ジル サンダー 表参道店

営業:11:00〜20:00
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-4 隠田今泉ビル1階

ジルサンダージャパン

電話:0120-919-256
オフィシャルサイト

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