フランスが誇るシューブランド〈ジェイエムウエストン(J.M. WESTON)〉といえば「ゴルフ」は外すことのできないマスターピースだ。1955年に誕生した頑強なそのモデルはジャーナリストシューズの異名を持つ。足で稼ぐ新聞記者にとってまたとない相棒だったからだ。
この兄弟分として新たに登場しているのが「ユージーンゴルフ」。アップデートの要諦は、「ゴルフ」の面構えはそのままに “頑強” の目盛りを振り切っている点にある。
底付けはグッドイヤーウェルトからノルヴィージャンウェルトに、この靴のアイコンであるモカ縫いは拝み縫い(2枚の革を縫い合わせる)から被せ縫い(継ぎ目を被せるように縫う)に更新した。まさに、頑強。
そこにトドメを刺すのがレザーだ。王道をいくならトップの画像を飾った艶やかなカーフに軍配が上がるが、見逃せないのはしなやかなスエードをまとった一足である。カントリーシューズでお馴染みのスエードをブラックに染めたそれは、精悍さと同時にフレンチシックな品もこの靴にまぶしている。
モデル名の頭につけたユージーンは二代目の名前。製靴技術を学ぶためにアメリカに渡り、現在の礎を築いた立役者である。
頑強無比な一足には、製靴の道を踏破したパイオニアの名が相応しいというわけだ。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa