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【FOCUS IT.】ノンネイティブ藤井隆行のプロデュース力が遺憾なく発揮された、スタンダードジャーナルの第7弾。動画、モデルカット、アイテム、すべて必見です!

第一弾のときにフイナムで取材をさせていただいた「スタンダードジャーナル(Standard Journal)」も、ついに第7弾となりました。

スタンダードを再定義!? ジャーナル スタンダードの挑戦。

第7弾のクリエイターのなかには〈ノンネイティブ(nonnative)〉の藤井隆行さんのお名前があります。フイナムではおなじみのブランド、デザイナーさんではありますが、この座組みには誰もが驚いたのではないでしょうか? 

そこのところを「スタンダードジャーナル」のコンセプターである「レショップ」の金子恵治さんと、藤井さんにお話を伺ってきました。

PROFILE

藤井隆行
nonnativeデザイナー

1976年、奈良県生まれ。美大中退後、BEAMSやSILASなどいくつかのショップの販売員を経て、2001年にnonnativeのデザイナーに就任。都市生活のみならず様々な場所やシチュエーションに適応する東京発のスタンダードを提案。

PROFILE

金子恵治
L’ECHOPPEコンセプター

セレクトショップ「エディフィス」でバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て、2015年に「レショップ」を立ち上げる。2020年7月「レショップ渋谷店」をオープン。

ー今回どんな流れで藤井さんのお名前があがったんですか? 「ベイクルーズ」とか「ジャーナルスタンダード」と藤井さんって、一見つながりがないように思えたので。

藤井:はい、ないんです。だからネタが尽きたんじゃないかなって(笑)。

金子:いやいや、そんなことではなくて(笑)。どちらかというと恐れ多くてお名前を出せなかったという感じです。ただ、僕自身はこれまで藤井さんとの絡みがなくて。

藤井:そうですね。お会いしたこともないですよね。僕の友達周りはけっこう仕事してたんですけど、かといって自分から誰かに紹介を頼むようなタイプでもないので、いつか会えるかなと思っていました。なので、このお話を引き受けさせてもらったのは、金子さんに会えるからというのが大きいです。

金子:これまで「スタンダードジャーナル」に参加いただいたクリエイターって、わりと僕と関わりがある方が多かったんですけど、藤井さんに関しては接点がまったくなかったので、そういうのも面白いのかなって。そもそも〈ノンネイティブ〉というブランドが、どういうポジショニングなんだろう?というのもあって。自分の周りでも扱っているひとが意外といないということもあって、未知な部分が多かったです。

ーそういう両者が交われるのが、この企画の良さですよね。

藤井:そうですね。普通、普段から取引があるとか、相乗効果があるという関係性のなかでやることが多いと思うんです。なので、お声をかけていただいてすごくびっくりしました。

金子:この企画って、どこか客観的に俯瞰的に見てもらうことが大事なんです。そういう意味においては藤井さんの視点には、すごく期待していました。

藤井:たしかにいまはいろいろな角度から、服というかファッションを見ていると思います。そういう風に変わってきた理由としては、やっぱりコロナが大きいです。売れる、売れない、楽しい、楽しくない、かっこいい、かっこよくない、というようなことをすごく考えました。これまでのあり方が一回全部ゼロになるなかで、だんだん自分がやるべきことが見えてきた感じですね。そんなことを思っているときに声をかけてもらったんです。

ータイミングがバッチリだったんですね。それで、初回の打ち合わせに望んだわけですが、今回のお題はベスト、パーカ、ブルゾンの3型です。

金子:はい。藤井さんはトータルでアイテムを作られているので、どんなアイテムであっても、すっと作っていただけるのかなとは思っていました。

藤井:それはそうかもしれないですね。

ー今回は藤井さんの発案で、「ベイクルーズ」の企画職の宮尾さんと一緒に作ることになったわけなんですが、改めてどうしてその流れになったのか教えてください。

藤井:まず、動画というのが大きかったです。とにかく動画を面白くしたいという気持ちが強くて(笑)。

ー関西人の血が騒いだんでしょうか?(笑)

藤井:どうしてもオチをつけたくなってしまうんですよね(笑)。ただ、第一弾で声をかけてもらっていたら、こういうやり方はしてないかもしれません。もう第七弾ですし、見ている方に飽きられないようにするためにはどうすればいいのかと考えていました。それで、違う角度で服を見た方がいいのかなという。

ーそうした視点ってこの企画には欠かせないものですよね。定番を再定義するという命題を、ちょっとずらしながら解釈していくというか。

藤井:そうなんです。なので、動画の次の回では、この会議室を飛び出してお店に行きます。

金子:はい、初めて外に出ました。「スタンダードジャーナル」の動画は会議室で撮るって決めていたのに、藤井さんの案であっさりその取り決めを破りました(笑)。

藤井:お店に行って、そこで初めて宮尾くんに会ったんです。

金子:宮尾くんが抜擢されたのは、ただ一番若手だった、というだけなんですが(笑)。

藤井:はい。一番若い方とやりたかったんです。

ー宮尾さんはおいくつなんですか?

藤井:29歳だったんですけど、撮影の日に30歳になっちゃったんです(笑)。

ー意外と若くないという(笑)。

藤井:企画職だとやっぱりそれくらいになるのかもしれないですね。

Photo_Shunya Arai(model cut)

ー宮尾さん、新卒で入られたとのことなので、もう7年強のキャリアがあるわけですね。

藤井:こういうセレクトショップの企画職、つまりデザイナーに会うことって、これまで全くなかったので個人的にも面白かったですね。あとは宮尾くんが金子さんに会う機会もそうそうないでしょうし。そういう出会いを作れたのもよかったかなと。

ー視点が完全にプロデューサーですよね(笑)。

藤井:たしかにそういうところはあると思います。

ーけど、長く続いてる企画だけに、そういった視座って大事ですよね。企画自体の鮮度を保つためにも。

藤井:そうなんです。そしてその方が「ベイクルーズ」や「ジャーナルスタンダード」にとってもいいと思うんですよね。

金子:いやー、ここまで企画のことを考えてくれるクリエイターは、これまでいなかったですね。できれば藤井さんには僕たち側に入って欲しいなって思いました(笑)。今回、完全に宮尾くんが参加デザイナーという立ち位置でしたもんね。

藤井:たしかに。だから今回のアイテムについても、宮尾くんの方が上手に喋れると思います。

ーなるほど(笑)。

金子:この企画って、アイテムが完成した段階で、「スタンダードジャーナル」のメンバーで品評会をやるんですけど、今回は宮尾くんにも来てもらいました(笑)。

ーそれにしても、今回宮尾さんはどんなテンションだったんですか?

藤井:ずっとマスクしてたから、いまひとつその辺がよくわからなかったんですよね(笑)。ルック撮影のときに初めてちゃんと顔を見たぐらいなので。でも、すごく真面目な方でしたね。

金子:始終すごく緊張してましたけど、かなりモチベーション高く取り組んでいたと聞いています。

ーそれはそうですよね。社内の同僚、先輩なんかからも羨ましがられる座組みというか。

藤井:若くてよかったなという。若さは何物にも代えがたいっていう話です。

金子:また二人のやりとりの感じがいいんですよ。大先輩と若手、って感じで。藤井さんがいろいろ指示して、それを次のミーティングまでに宮尾くんが用意してくるという流れなんですけど、それがまた微笑ましくて。

藤井:ありがとうございます。けど、お願いしたことはきちっとやってきてくれましたね。そういうことって、できない人はできないと思うので。改めて思ったのは今回のような企画で、外の人を使って中の人を知る、というのも大事なのかなと。やっぱりデザイナーなわけですし、一人一人やりたいこともあるでしょうし。

ーたしかに。セレクトショップのオリジナルブランドって、いま過渡期にあると思うんです。ブランドの名前を冠してないオリジナルブランドを作るという流れもありますし。今一度、オリジナルとは?というところを見つめ直す、いいきっかけにはなりますよね。

金子:そうですね。そういう意味では今回はハッとさせられたことが多かったです。

ーというと?

金子:「ジャーナルスタンダード」も歴史が長いので、これまでにいろいろなものを作ってきているわけです。そんななか、今回はすでに存在しているアイテム、デザインを再利用するというやり方をしています。

ーそれは藤井さんからのアイデアということですか?

藤井:はい。それでみんなでお店に行って、商品を見に行ったんです。

金子:あとは見切りの生地、つまり生地屋さんで使えなくなった生地を探してみたり、とか。

ーそれは形になったんですか?

藤井:結局いろいろな事情があって、全アイテムをそういう生地でつくるのは難しかったんですけど、ただいつもそういうことは気になってるんですよね。自分のブランドはつねに新しい生地でものづくりをするので、なかなかそういうことにトライできなくて。

金子:藤井さんの発言とかアイデアって〈ノンネイティブ〉を20年やられているなかで、いろいろなものを見渡せているから出てくることなんだろうなって思いました。いちいちさすがなんですよね。

藤井:自分は「ビームス」にいたこともあるので、オリジナルブランドに対する悩みみたいものには散々向き合ってきたんですよね。仕入れブランドとオリジナルブランドを、どのように両立させていくか、どんな比率で構成していけばいいのか、みたいなことはどのお店も考えていることだし、僕もつねに考えています。うちの会社でいえば〈ノンネイティブ〉はオリジナルブランドですし。なので、仕入れブランドとオリジナルブランドというのはつねに隣り合わせの関係にあるんです。

ーそうですね。

藤井:お店でも文字通り、隣に置かれているわけですよね。で、よく聞くのは、オリジナルで似たデザインが出ていて、それに対して怒るという話。けど、僕はまたちょっと違う風に捉えていて、売れているから、人気があるから似たようなものが作られるわけですよね。そして誰もがそうしたサンプリングのようなことをやっているわけです。

ーそうですね。突き詰めていくと、オリジナルなデザインとは?ということになりますよね。

藤井:はい。古着をデザインソースにするのはいいけど、新品はダメというのは、どうなのかなと。だから真似されてナンボなのかなと思います。けどそう思うようになったのは最近ですね、僕も昔は怒ったりしてました(笑)。あとは僕、よくアウトレットに行くんです。そこでいろいろなことを考えるんですよね。

ーなるほど。売れるものと売れなかったものの両軸を知るというのも、また大切なのかもしれないですね。

藤井:そうなんです。あと、リサイクルを考えるのとはまた別のベクトルで思うのは、作ったものがしっかり売れることが一番大事だということです。エコとかそういうことの前に。だからみんながずっと着られるデザインを作る、というのを念頭に今回はやりました。

ーそれでは商品のお話も聞かせてください。その前に今回のモデルカットでは、宮尾さんご自身が着用されていますが、これにはどんな狙いがあったんですか?

金子:これも藤井さんからの発案です。

藤井:これまでのインスタを見ていて、何か違ったことをしたいなと思ったんです。そのためにはカメラマンに力を注ごうと。で、スタイリングは僕がやって、モデルは宮尾くんという(笑)。荒井(俊哉)ちゃんがOKしてくれたので、よかったなと思います。荒井ちゃんじゃなければダメでしたよね。

金子:ですね。撮影現場もとにかく最高でしたよね(笑)。

藤井:あのままいってたら、裸にベストとかになるんじゃないかっていう勢いでしたよね(笑)。けど、これを見た方は「ベイクルーズ」って懐が深いなって思うと思うんです。余裕があるというか。いまみんな余裕がないので、こういうことができるのは大切ですよね。

ーたしかに。グルーヴ感があるビジュアルに仕上がっていると思います(笑)。

藤井:アイテムのなかでは、今回はベストが一番面白いと思います。さっきも言った通り、全部「ジャーナルスタンダード」のオリジナルアイテムを原型としてアレンジしているんですが、このベストの元ネタはレディースのダブルのロングベストだったんです。

¥19,800

金子:もう全然変わりましたよね。

ーダブルのロングのベストがオリジナルにあるんですね。ちょっとエッジが効いている気がします。

藤井:女性がよく着てそうな感じではあるんですけどね。

金子:今回、お店を改めて見てみると、僕らが考えるいわゆるベーシックというようなものがなかったんです。ちょっとアレンジされているというか。なので、僕と藤井さん、宮尾くんで選んだアイテムを、また(原型のアイテムに)“戻していく”という作業をした感じです。

藤井:そうですね。オリジナルを題材に、新たなオリジナルを作るということをしました。服を見て服を作るというか。

金子:デザインのリサイクルですよね。

藤井:だから今回、絵型とか書いてないんです。このベストに関しても、ボタンだったのをファスナーにして、時期も時期なので薄い中綿を入れて、シンサレートを使ったりとか。そうするとどこか〈ノンネイティブ〉っぽい感じになると思うんですけど、そのあたりを気にしながら作りました。

ーこのベストで約2万円です。改めてなんですが、「スタンダードジャーナル」のアイテムはどれもハイクオリティでコストパフォーマンスがいいですよね。

金子:そうなんです。そこは自信を持って言えます。

¥25,300

藤井:このブルゾンは、裏地に余った生地を使っています。リバーシブルではないんですが。これは宮尾くんがすごく似合ってましたね。

ー袖の部分のニュアンスに〈ノンネイティブ〉っぽさを感じますね。

藤井:コーチジャケットをミリタリーっぽくしたんですが、これはわりと元ネタに近いです。あとチンストラップを〈バブアー〉っぽくしたり。そういう一言で、宮尾くんはぱっとわかってくれたので、やりやすかったですね。

ーパーカはいかがでしょう?

¥14,300

藤井:パーカがお店に2種類あったんです。ひとつはビッグシルエットでリブがすごく短いタイプで、若者が好きそうなもの。もうひとつが〈チャンピオン〉っぽいもの。宮尾くんは大きい方が好きで、金子さんは〈チャンピオン〉的な方が好きということだったので、じゃあその合いの子でいきましょうと。さらに古着っぽい感じを出すために後染めにしています。後染めなので白の残反だけあればいいので、そこもうまく使えましたね。

ーこのパーカが14300円です。

藤井:安いですよね。これは我ながらいいと思います。

金子:今回の「スタンダードジャーナル」では、〈ノンネイティブ〉を作るときとまったくやり方が違うはずなのに、しっかりとその雰囲気になってるっていうのがすごいですよね。

藤井:それは宮尾くんがしっかりと理解してくれたというのが大きいですね。サンプルもセカンドでほぼほぼOKでした。

金子:そこは周りも少し心配してたんですけど、全然大丈夫でしたね。

ー藤井さん、改めて今回の取り組みはいかがでしたか?

藤井:やっぱり新しい人と仕事をするのは面白いですね。普段は一人でもっと閉じた感じでやっているので。あと、僕はもう普段からそんなに絵とか書かないんですよ。服を作って服を修正していくというやり方で、今回もそれに合わせてもらえたので、やりやすかったですね。

ーそういえば、藤井さんが服作りの細かい話をすることって、そんなにないですよね。

藤井:そうですね。もちろん色々勉強はしているんですけど、特定のジャンルに特化してどう、みたいなことをそんなに話さないかもしれません。もっとフラットに見て欲しいという気持ちがあるんです。そのせいか外から見たらすごく分かりにくいと思うので、こういう企画に声がかかることもないんですよね。だから今回、誘ってもらえて嬉しかったです。

金子:「ベイクルーズ」にとっても、今回のように若手を起用して表に出していただいたり、外の方とデザインをさせていただいたりと、すごくありがたい機会でした。あとはデザインの再利用ということなどを含めて、すごく勉強になることが多かったです。これだけに終わらずに、「ジャーナルスタンダード」の本体に活かせることがあるなと思いました。ただ、ものを作って終わりではないというか。

藤井:僕もそう思います。ものも大事ですけど、やっぱりストーリーが大事ですからね。

Photo_Shinji Serizawa

INFORMATION

ジャーナル スタンダード 表参道メンズ店

電話:03-6418-7961

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