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連載「憧れの逸品」No.227 ダウンジャケットの嚆矢、モンクレールの定番と新定番。

いまやグローバルブランドの名をほしいままにする〈モンクレール(MONCLER)〉だが、はじまりは雪深い地に暮らす人々が生きていくために必要なギアづくりだった。アルプスの麓にあるちっぽけな村、モネスティエ・ドゥ・クレルモンでレネ・ラミヨンとアンドレ・ヴァンサンがキルティングの寝袋やフードがついたケープ、折り畳み式テントをつくりはじめたのは戦後間もなくの1952年のことである。

飛翔のときは案に相違してたちまちやってきた。寒さに難儀する従業員の防寒具として寝袋を着られるように改造した、いわばまかない飯のような上衣――これが世界的なアルピニストのリオネル・テレイのお眼鏡にかなったのだ。

リオネルとのやりとりで鍛えられた〈モンクレール〉はイタリア登頂隊にも認められ、現在のダウンジャケットに通じる1着を完成させた。1954年にそのジャケットを身にまとった登頂隊が世界で2番目の高さを誇るカラコルムを踏破すると〈モンクレール〉の名はこだまのようにクライマーの間に響き渡った。ウール素材のクライミングウェア全盛の時代にあって、文字通り画期的なジャケットだった。

「カラコルム」と名づけられたそのジャケットはマイナーチェンジを繰り返し、2008年まで生産された。〈モンクレール〉がグローバルブランドになりえたのは、ブランドの根っことなる部分をないがしろにしなかったからである。

「カラコルム」廃盤の翌年に誕生したのがここで紹介する「マヤ」。自他ともに認める「カラコルム」の後継者として不動の四番バッターを務める「マヤ」は、80年代のアーカイブに着想を得たショート丈とブランドのアイコンとなる艶やかなナイロンラケをその特徴とする。

ネイビー×ブラックのカラーブロックをまとったボリューミーなシルエットの1着は今シーズンの新作「ジョフィ」。カラーパレットといい、シルエットといい、まさにいま欲しいダウンをかたちにしている。次代の四番バッターを担うかも知れない。



MAYA
〈モンクレール〉の定番「マヤ」はアイコニックな艶感のある素材、ナイロンラケを使用。フードはスナップボタンで取り外しできる。¥178,200



JOFFE
今シーズンの新作「ジョフィ」はネイビー×ブラックの色使いが特徴。撥水性の高いナイロン素材を採用し、いまの気分に合うゆったりとしたシルエットで仕立てられている。¥267,300

Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa

INFORMATION

モンクレール ジャパン

電話:0120-977-747
オフィシャルサイト

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