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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.30 “なかなか釣れないのにいたって普通”。バス・プロ・ショップスの地味なヤツ。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第30回目は「ウェッドストア(WED STORE)」の原 悠太さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


原 悠太 / WED STORE オーナー
Vol.30_バス・プロ・ショップスのブルゾン

―前回は、知る人ぞ知るブランドのカメラバッグを紹介していただきました。さて、今回のニュー・ヴィンテージなアイテムとは?

今回は〈バス・プロ・ショップス(Bass Pro Shops)〉を紹介したいと思います。ここのロゴものが、近年流行っているのは皆さんご存知だと思います。それはもう、ぼくの地元・武蔵小杉でもキャップを被っている女の子を見かけるくらい(笑)。

―たしかにロゴをサンプリングしたアイテムもよく見かけます。そもそも〈バス・プロ・ショップス〉とは?

1972年にアメリカ・ミズーリ州で設立。全米に「アウトドアワールド(Outdoor World)」の屋号で、アウトドア用品の巨大小売店を多数展開し、日本でいう「上州屋」を超スケールアップした感じといいますか。広大な売り場には川も流れ、水槽ではブラックバスが飼われていて、泳ぐ魚を見ながら併設されたレストランでは魚料理も食べられる。要はエンターテイメントなんですよね。ゆえに一部では、アウトドア界のディズニーランドと呼ばれていたりも(笑)。そこのプライベートブランドというわけです。

―古着市場では、以前から流通していたんですか?

キャップなんかはたまに仕入れていましたが、大量に流通しているはずなのにあんまり出てこないんです。そもそもファッションとして着る人があまりいないから着古したら捨ててしまうんでしょうね。しかも現行品だとトラッカーキャップやTシャツにロゴが大きくデザインされたちょっとイナタめのものが大多数。それはそれで釣りの時に着用するとテンション上がるけど、普段取り入れるには難易度が高め。そこで個人的に注目したいのが、こういった“ロゴものではないウェア”です。

バス・プロ・ショップスのブルゾン 参考商品 / ロッドセット 参考商品 / エナメルカップ 参考商品(すべてウェッドストア)

―こんなのあるんですね。しかも小物まで。

子供用の釣りセットやマグカップなど小物も充実しているし、川&海釣り、ハンティング、アウトドアに家具・インテリアまでとにかく幅広くブランドを展開しているんですよね、ココって。アイテムに話を戻すと、元々フード付きだったのを自分でカットしてカスタムしちゃいました。フードを切ったことで着やすくはなったけど、そもそもラグラン袖&アームホール極太で、着るともうベン・アフレックみたいなシルエット(笑)。赤や緑のボディは結構見つかりますが、このリアルツリーカモ柄はなかなか見かけません。Vol.28でミスタークリーンの栗原さんも紹介されていますが、やはりハンティング系のカモフラ柄はイイですね。ゴアテックスのタイプもあったりして。

―これはいつ頃のアイテムなんですか?

タグにOUTDOORと記されているのは、ほとんどアメリカ製なので多分1980年代後半〜1990年代初頭くらいでしょうね。全く同じデザインで現行品も作られていますが、そちらは〈レッドヘッド(RED HEAD)〉のタグが付いています。現在は〈バス・プロ・ショップス〉の傘下になっていますが、大昔から存在する名門ハンティングブランド。ちなみに最近、古着業界でも人気のアウトドブランド〈カベラス(Cabelas)〉も同様に買収されて傘下に加わった内の1つです。そういった背景を知るとまた面白いですよね。で、もう1着がこちら。

バス・プロ・ショップスのキルティングブルゾン 参考商品 / ミニパドル 参考商品 / エナメルカップ 参考商品(すべてウェッドストア)

―コレは普通に使いやすそうですね。

こちらもおそらく80年代後半から90年代前半のものだと思います。シンプルなデザインのブルゾンですが、ボディがナイロンのキルティング仕様。保温性もあるし、ライナーっぽい雰囲気を醸し出していますが、別にアウターに組み込めるシステムってわけでもなく、むしろ汎用性の高い良い意味で普通のシルエットがポイントと言えます。

―さて、2回とも釣りをキーワードにセレクトしてもらいましたが、どちらも新鮮で面白かったです。

ぼくもオリジナルブランドでは釣りをコンセプトにアイテムを作っていますが、やはり反応は良いんですよね。機能的な多ポケットを筆頭にディテール満載で、ファッションにも取り入れやすいですし。その反面、今回紹介したようなロゴものでなく特徴的なディテールのない普通のアイテムは、特に盛り上がっていません(笑)。でも、だからこそ“普通に着られる”という強みがありますし、個人的には非常に気になっています。

原 悠太 / WED STORE オーナー
古着屋でありながら、古着の販売と同時にオリジナルウェア〈ユエン(Yuan)〉と〈コネット(Connett)〉を不定期にリリースし、多くの熱狂的ファンを獲得している下北沢の秘密基地的ショップ「ウェッドストア(WED STORE)」のオーナー。以前、本連載に登場した「伊藤商店」の伊藤さんとも親交が深く、自身のモノ作りにも反映させるほどの釣り好きとしても有名。
公式サイト:www.wed-wear.com
インスタグラム:@wed_store / @y___u___a___n

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