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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.35 “ウッドランド、なのに街に馴染む”。アルファのコールドウェザーパーカ。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

さて連載開始から5シーズン目に突入し、参加ショップも入れ替わってリスタートした本連載。第35回目は「ヌーク(NOOK)」の木野山佳之さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


木野山 佳之 / NOOK 店主
Vol.35_アルファ インダストリーズのコールドウェザーパーカ

―木野山さんにとっての、ニュー・ヴィンテージとは?

ウチの場合、その時々の気分で商品を買い付けているんで言語化をするのが結構難しいのですが……(笑)。ちょうど自分が高校〜大学生時代に好きだったモノや気になっていたモノをピックすることが多いんですよね。なので、ぼくの中でニュー・ヴィンテージとカテゴライズするのであれば、モノとしてのクオリティの高さはもちろん“気が利いている”と思えるポイントがあって“グッとくる”レギュラーなのかな。

―そこに何か基準ってあるんですか?

正直、何年代のどこどこのアイテムで〜とか、そういう部分は気にしていません。それよりも、幅広いジャンルの人々が、日常で着たいと思えるリアルクロージングであるべきだなって。なので、集めやすさは意識しているかもしれません。なるべく多くの人に楽しんでいただきたくためには市場で見つかりやすいほうがイイ。これはサイズに関しても同様ですね。

―しかも世間の相場よりもリーズナブルですよね。

そうですね(笑)。「以前はこれ位の値段で変えたよな」っていう部分と、有名店でもないウチなんかにわざわざ足を運んでくださるお客さんのために、なるべくリーズナブルな価格で提供したいなって。これだけ聞くと、ぼくすごいイイ人みたいじゃないですか?(笑)。まぁ、“誰もが手に取りやすくしたい”っていうのが1番の思いですかね。そうすれば、これまで試したことのないジャンルにも、気軽に挑戦できたりすると思うので。

―そんな「ヌーク」的視点で、選んでいただいたアイテムは?

1990年代に作られた〈アルファ インダストリーズ(ALPHA INDUSTRIES)〉のコールドウェザーパーカです。アメリカ陸軍において開発・採用されたレイヤリングシステム“ECWCS”のレイヤー4にあたり、通称“ゴアテックスパーカ”とも呼ばれるアイテムのコットンサテンバージョンを持ってきました。アルファ自体は軍に納入もしていますが、こちらはその民生品仕様。といっても生地以外はほぼ一緒で、クオリティに関しても同様。ですが、90年代で比較的新しいということと機能的にダウングレードしているという理由からか、あまり評価されておらず……。個人的には着やすいし、すごく好きなんですけどね。

アルファ インダストリーズのコールドウェザーパーカ ¥7,490(ヌーク)

―たしかに生地が変わるだけで、ウッドランドカモ柄もちょっとソフトな印象に。

まさに! カラバリとしてブラックやベージュ、ネイビーなど使い勝手の良いカラーも存在しているのですが、やっぱりウッドランドカモにはグッときますよね。正直、市場的な人気でいえば、ウッドランドカモは不調気味。それよりもデザートカモやタイガーストライプカモ、あとはハンティング系カモの方が人気ですが、だからこそ“あえてのウッドランドカモ”というのがイイんじゃないかなと。

―モノとしての面白さでいえば?

元がミリタリーギアなので、ディテールはすべからく機能的。もちろんゴアテックスの方が機能性も優れているワケですが、どうも大袈裟になっちゃうんですよね。その点、コットンサテン生地は軽く着回ししやすいし、柔らかく体にも馴染んでくれるのでストレスフリー。しかも生地の劣化も心配ないので家庭でも洗濯できるし、着込むほどに生地にパッカリング(アタリ)が出てくるので、育てる楽しみもあります。

―正直、〈アルファ インダストリーズ〉= MA-1というイメージが強かったのですが、コレは欲しくなりますね。

ですよね!? 定番MA-1や M-65よりは見つけにくいかもしれませんが、かといって枯渇しているなんてことは決してなく、探せばチョコチョコ見つかる。そんなアイテムです。こんなご時世なので、こういった直球ミリタリーって街では着づらいかもしれません。ですが、70年代にミリタリーウェアをファッションに取り入れたヒッピーたちも、反戦的な意味合いを込めていたワケですしね。それに何より格好いいんですよね、カモ柄って。

―男ゴコロをくすぐりますよね。今だとどう合わせるのが良さそうですか?

ストリートっぽく上下スウェットのセットアップにサラっと羽織るのもアリですし、トラッドな着こなしに合わせるもオススメ。その辺は、M-65フィールドジャケットと近い感覚でしょうか。あえてジャケット&シャツでタイドアップした上に羽織るっていうのもイイし、自由に着てもらえればなって。

木野山 佳之 / NOOK 店主
大学卒業後、紆余曲折を経てスケートボードショップ「ホーク(Hawk)原宿」で約2年間働いた後、古着屋「ループ(LOOP)」大宮店、中目黒店で合計7〜8年間勤め、2011年に独立。自身の古着屋「ヌーク(NOOK)」をオープンし、2015年に都立大学駅徒歩5分の場所に移転リニューアル経て、今年11年目に突入。業界関係者にファンが多く、ジャズのフリースタイルセッションのように、誰もが自分のスタイルで自由に合わせることのできるグッドレギュラー古着&セレクトアイテムが店には並ぶ。
公式サイト:ameblo.jp/nooker/
インスタグラム:@nook_toritsudai

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