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【FOCUS IT.】着る人が前に立つ、余白のある服。イレーヴがメンズはじめました。

近年、○○のコートとか、××のシャツなど、アイテム単位でファッションの正解を決め、記号的かつ即座に消費していくことが増えたような気がします。もちろん、それによってマスターピースとなるアイテムが生まれてきた訳ですが、服の楽しみ方はそれだけではありません。

いまの時代に上質で暮らしに沿う“余白のある服”をつくっているブランドがあります。2018年春夏にレディースウェアのブランドとしてスタートした〈イレーヴ(YLÈVE)〉です。

いままで「レショップ」とのコラボを除いてレディースのみの展開でしたが、業界の男性やバイヤーからの期待を背に、2022年春夏からメンズも始まることとなりました。

“余白のある服”というのは、デザイナーの田口令子さんいわく「着る人の個性を立たせ、合わせるものやブランドを選ばない、余白を残してある」服のこと。

ものづくりをベースにしたシンプルで穏やかなデザインは、押しつけがましく服の個性が主張するようなことはなく、その人らしさを受け止めてくれます。アイテムは大きく分けると、4つの要素でブランドが成り立っています。

「大まかに分けると4つの要素があります。たとえば、シーズンと呼んでいる、いまの気分を反映したウィメンズウェア。そして、テーラリング、ワーク、ベーシックという、それぞれパターンも工場背景も違う4つをベースにものづくりをしています」

ホームページに“MATERIAL”という項目がある通り、素材はブランドが大事にしているところ。開発したり、インポートの生地を採用したりとものづくりの中枢をなしています。

どれも天然素材が用いられ、色合いはニュアンスカラーが多め。田口さんの言葉を借りると「グレーなのかブルーなのか、カーキなのかグレーなのかみたいな、曖昧な色」という独特なカラーパレットで彩られます。

「今シーズンはオーバーダイの表現がポイントで、バターというカラーもつくりました。先染めの色の出方に対して、もう少し新しいアプローチをしてみようとつくったアイテムが多いですね。デザインの考え方としては、中庸にというのがあります。カジュアルなものはキレイにとか、硬いものは少し柔らかくしていきたい。そうやってバランスを取り、全体で見たときのトーンを通しています」

そうしてつくられてきた〈イレーヴ〉の服。メンズが正式にデビューしましたが、いい意味でいままでと大きく変わらないデザインです。それはレディースの服を見て、そのまま欲しいという声が多かったから。パターンは分けてつくっているものの、素材は同じものが使用されています。

その結果、スーツのセットアップは、毛芯を据えながらもドレスというよりはカジュアルに合わせられる軽めのものだったり。「女性らしい感覚でつくっている感覚はない」と田口さんは言いますが、メンズデザイナーにはない柔らかさがあり、どこかキレイな雰囲気が感じられます。

「以前はドレス、カジュアルの区切りがありましたけど、最近は溶けていってるというか。着方もそうですし、ウィメンズの服を男性が買ってくなど、服の境目が溶けている感じはしますね。ただ、わたし自身古着も着たりするんですけど、その服の何かを紐解くとかは求められてはいないかなと。その匂いを自分なりに昇華してデザインするみたいな、ちょっとした積み重ねかもしれません」

これからも大きなテーマを掲げるというよりは、その年ごとの気分を反映したリアルクローズをつくりたいのだとか。秋冬はまだまだ先ですが、トラディショナルだけどリラックスしたアイテムが登場するようです。

メンズのデビューシーズンとなる今期は、「ザ ライブラリー(THE LIBRARY)」や「アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)」、「TF」、「ブルーム&ブランチ(BLOOM&BRANCH)」など10数店舗で展開されているようです。まずは一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

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YLÈVE

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