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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.37 “Y2Kの空気感”を令和に再び。気になるステューシー フィットネス。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

さて連載開始から5シーズン目に突入し、参加ショップも入れ替わってリスタートした本連載。第37回目は「テンポ(tempo)」のブンヤさんの2巡目。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


ブンヤ / tempo オーナー
Vol.37_ステューシーのナイロンプルオーバー&ショーツ

前回は90年代〜00年代の〈ステューシー (STUSSY)のボトムスをご紹介いただきました。今回は?

今回も〈ステューシー〉なんですが、ちょっと目線を変えてみようかなと。読者の皆さんの中には、00年代初頭にスポーツミックス・スタイルが流行ったのを覚えている方も多いと思います。〈ナイキ(NIKE)〉を筆頭とした各スポーツブランドが独自の機能素材を開発し、それを取り入れたデザイン性の高いテック系ウェアが人気を集めていました。で、その要因のひとつとして考えられるのが、2002年に開催された「FIFAワールドカップ日韓大会」。当時は、サッカーのゲームシャツを街着として着ている人を多く見かけました。

―たしかに。〈シュプリーム(SUPREME)〉然り、多くのストリートブランドがこぞってリリースしていましたね。

同じくスポーツ物でいえばバスケットボールも、タンクトップやノースリーブ系が当時流行っていた流れから注目され、レイヤードに使われたりしていましたよね。そんな時代の空気感の中で誕生したラインが“ステューシー フィットネス(STUSSY FITNESS)”です。

―“ステューシー スポーツ(STUSSY SPORT)”というラインもあった気がしますが、その後継ラインなんですか?

90年代後半にありましたね。ナイロン系のライトアウターやセットアップとか。対するコチラは、スポーツというカテゴリーをもう少し細分化したイメージなのか、ファッション的な部分よりも運動性にフォーカスしている印象があります。展開されていたのも00年代初頭から数年位だったんじゃないかな。

―なるほど。で、今回ご紹介いただくアイテムは?

まずはナイロンプルオーバーなんですが、いわゆるピステ(サッカーなどの競技において、防寒目的で着用する、主にナイロン素材のウェアを指す)。サッカーとファッションの距離感が近かった当時の雰囲気を色濃く感じさせます。ポイントとしては袖下から脇にかけてのメッシュ素材の切り替え。アイテムの性質上、内側に熱がこもるのを解消するためのベンチレーションになっており、かつインナーがチラリと覗くアクセントも兼ねています。素材はかなり薄手のリップストップナイロン。ラバーを使ったピスネームも、あの頃の雰囲気。

―この辺りのテック系ウェアは最近注目されていますし、旬のアイテムと言えそう。

なんですが……胸ポケットはパッカブル仕様と思わせて、ただのポケット(笑)。ハンドポケットが無い分、何かしら収納があった方がいい&デザイン的アクセントで追加したんじゃないかなって。まぁ、暖かくはなったけれど昼夜の寒暖差のある今の時期には持ってこいですよね。丸めてバッグに忍ばせておけば、サッと羽織れて重宝しますし。デザインと機能性のバランス感も絶妙で“フィットネス”を名乗るだけのことはあるなって。

ステューシーのナイロンプルオーバー ¥8,690(テンポ)

―もう1つはショーツですね。

ぼくもこれを取り扱うのは初めてです。なんとなくこのデザインから察するにロングバージョンも多分あるんじゃないかな。同じくナイロンリップストップ素材で、両サイドにジップをあしらっています。ウエストと裾にベルクロのアジャスターがあって、デザイン的にはイージーパンツに属すると思うのですが、なんとなくウォームアップパンツもイメージしてそう。このベルクロにロゴがデザインされているのも気が利いています。

―サイドジップが面白いですね、これ、どこまで開くんですか?

それが若干謎の仕様になっていて……上下には開閉するけれど、前身頃と後身頃が分離するわけではないっていう。正直これは開くもんだとばっかり思っていたけど、いま初めて気付きました(笑)。まぁ、単純に「開くよ、なんか便利じゃない?」っていうだけのデザイン的ディテールでしょうね。いや、もしかしたら当時は結構レギンスとのレイヤードも流行っていたので、それを前提したデザインという可能性も……。

ステューシーのナイロンショーツ ¥7,590(テンポ)

―最近、Y2Kファッションが再び注目されていますし、空気感的にもハマりますねコレは。

ですね。前回も話しましたが00年代に入って、一気にデザインの幅が広がったと感じられるのが、古着としての〈ステューシー〉の面白さ。「何コレ?」ってアイテムがまだまだ見つかりますし、この“ステューシー フィットネス”なんかは、当時インライン扱いだったと記憶しているので、結構見つけやすいはず。この他にも、今は無くなったラインが数多く存在しているので、この機会に〈ステューシー〉の新たな1面を知ってもらえたら、もっと古着が楽しめるんじゃないでしょうか。

ブンヤ / tempo オーナー
「原宿シカゴ(HARAJUKU CHICAGO)」下北沢店から古着屋としてのキャリアをスタート。その後、旅に出たり他の古着屋で働いたりと紆余曲折を経て2016年、明大前に自身の古着屋「テンポ(tempo)」をオープン。90年代〜2000年代のグッドレギュラーを、ちょうどよいプライスで手に入れたければココに行くべし。
公式サイト:tempo2016.thebase.in
インスタグラム:@tempo.2016

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