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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.39 リーバイス®の90sデニムシャツは“フツーでイイ”の代表格ってハナシ。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

さて連載開始から5シーズン目に突入し、参加ショップも入れ替わってリスタートした本連載。第39回目は「ヌーク(NOOK)」の木野山 佳之さんの2巡目です。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


木野山 佳之 / NOOK 店主
Vol.39_リーバイス®のブラックデニムシャツ

―さて、2巡目で紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

今回紹介するのは、90年代の〈リーバイス®(Levi’s®)〉のデニムシャツです。古着で〈リーバイス®〉のデニムシャツというと、“ショートホーン”のウエスタンシャツなんかが有名ですが、いわゆる普通のデニムシャツって全然話題に上がらないですよね。ぼくも「90年代のデニムシャツが、いまおもしろい!」なんて話は特に聞いたことないですし(笑)。それだけにいま、注目すべきアイテムなんじゃないかなと。

リーバイス®のブラックデニムシャツ ¥4,290(ヌーク)

―パッと見、「すごく普通」という印象を受けますが、どの辺りが見所でしょうか?

デザインについて語るならば、まずはフロントボタンでしょうね。Gジャンなんかと同タイプのタックボタンを採用しているため、普通のシャツに比べると武骨なワークテイストが色濃く感じられると思いません? ジャケットとシャツのハーフ的な雰囲気もあって、個人的にはこのダサ格好良さが気に入っています。あとはブラックデニムであるというのもポイント。タマ数的にはブルーデニムが優勢ですが、古着市場でのブラックシャツ人気を考えると、このアイテムはまだ比較的見つけやすい気がしています。

―ディテールもかなりシンプルですね。

あとはフロント前立て部分の裾に付けられたタグくらいですからね。とはいえ、シルエットはアームホールが太くて、着丈短め・身幅はたっぷり。その割に首周りは普通なので、外国人に比べて首が細い日本人体型にも合わせやすいんじゃないですかね。着用すると肩がイイ具合に落ちるのもいまっぽいし。何より、最初に言ったように注目している人がいないので、他の人と被らないしサイズもまだまだ選べるのが強みかと。ちなみに90年代〜00年代に存在した〈リーバイス® レッドタブ( Levi’s RED TAB)〉というラインからも、これとほぼ同じデザインのデニムシャツがリリースされていたようです。その辺りの関係性が不明瞭なので、知っている方がいたら教えてください(笑)。

―この辺りのアイテムは、リアルタイムでも見ていらしたんじゃないですか?

これなんかは大学に入ってスケボーにどっぷりハマった頃のアイテムなんですよ。当時はニューヨークスタイルのBボーイ・スケーター全盛期で、〈ポロ ラルフ ローレン(POLO RALHLAUREN)〉や〈エディー・バウアー(Eddie Bauer)〉なんかと一緒に、代官山にあった「ネバーランド(NEVERLAND)」のようなヒップホップ系のインポートセレクトショップに、こういうシャツが置いてあった気がします。ちなみ当時のぼくは、〈ズーヨーク(ZOO YORK)〉に所属していたアンソニー・コリアというライダーが好きで、彼が着ていたバギーデニムやぶっといスエットパンツを真似していました。で、足元は〈ティンバーランド(Timberland)〉や〈ナイキACG(NIKE ACG)〉のブ―ツを履いて、〈アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch)〉のサファリリュックを背負って、頭にはハンチングを被ってみたいな。すごく懐かしいですね。

―こういった当時の“イイ意味で普通”なアイテムは今の気分でもあります。

ですね。若い世代のノリなら、同じく〈リーバイス®〉のスタプレストや〈ラングラー(Wrangler)〉のランチャーのようなブーツカットやスラックスに合わせたりするんでしょうね。70sスタイルだとウエスタンシャツに合わせるところを、オーバーサイズの90sデニムシャツに合わせてみるっていうのはぼくらの世代だと、逆に新鮮なアプローチ。または……先ほど話したように、スエットパンツやナイロンパンツで“あの頃感”を狙うのもアリかと。足元はそれこそ〈アディダス オリジナルス(adidas Originals) 〉のアディマティックで合わせたりすると、より気分。軽くサッと羽織えるので便利だし、ちょうどいまの時期に夜、スケボーする時なんかに調子イイと思います。ぼくも久しぶりに着たくなっちゃいました(笑)。

木野山 佳之 / NOOK 店主
大学卒業後、紆余曲折を経てスケートボードショップ「ホーク(Hawk)原宿」で約2年間働いた後、古着屋「ループ(LOOP)」大宮店、中目黒店で合計7〜8年間勤め、2011年に独立。自身の古着屋「ヌーク(NOOK)」をオープンし、2015年に都立大学駅徒歩5分の場所に移転リニューアル経て、今年11年目に突入。業界関係者にファンが多く、ジャズのフリースタイルセッションのように、誰もが自分のスタイルで自由に合わせることのできるグッドレギュラー古着&セレクトアイテムが店には並ぶ。
公式サイト:ameblo.jp/nooker/
インスタグラム:@nook_toritsudai

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