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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.46 どこかで見たことあるような・ないような “たまたまいまに合ってる”アイ ブランド。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

なんだかんだ6シーズン目に突入した本連載。というワケで、第46回目は「喜楽」の真喜志&小池さんの2巡目です。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


真喜志&小池 / 喜楽 オーナー
Vol.46_アイ ブランドのTシャツ&キャップ

―さて、今回紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムとは?

真喜志:前回同様、今回もTシャツを中心に紹介しようと思っていて……テーマはコレです。

―なんですか、このロゴマーク!? “I(アイ)”……ですかね?

小池:正解です! アメリカに〈ion Television(アイオン テレビジョン)〉というテレビネットワークの企業がありまして、そこのスポーツ部門が作ったと思われるアイテムですね。まずはTシャツから。

―あぁ、4大ネットワーク以外の独立系(ローカル・チャンネルやケーブル・チャンネル)ということですね。かの地では膨大な数のチャンネルが存在するとか。

真喜志:みたいですね。設立は90年代後半。チャンネルとしてはスポーツ以外にもビューティー、キャンパス、ファミリー、ヘルスなどかなりの数があって、どうやらいまも存在するようです。調べてみたところウィキペディアも英語版のみですし、YouTubeで探しても10年位前の動画が数本見つかる程度。しかもその内容もローカルなイベントにスポットを当てたものだったりで、そんなに有名な会社ではないのかなって。

―ここで見る限り、スポーツでもかなりジャンルが広かったようですね。

小池:そうなんですよ。先程のTシャツからも分かるように、run(マラソン)、swim(水泳)、golf(ゴルフ)などなど多岐にわたっています。このhikeっていうのは、登山を中心とした多分アウトドア系のプログラムでしょうね。もう売れてしまいましたが、中にはkickとかも。

真喜志:「よく分からないけどサッカーじゃないか?」って話してました(笑)。自分らが集めたものの中ではrunが圧倒的に多かったかな。あとはfishing(釣り)もありましたね。

アイ ブランドのTシャツ 各¥8,000(すべて喜楽)

―でも、何用のTシャツだったんですかね?

真喜志:おそらく番組スタッフのユニフォーム兼イベント販売用のマーチャンダイズだったと思うんですが、よく見ると〈I BRAND(アイ ブランド)〉と商標が入っているモノもあるので、一応はブランド展開もしていたんじゃないでしょうか。

アイ ブランドのTシャツ ¥8,000(喜楽)

小池:“I”ロゴに各スポーツ名を組み合わせたのが基本デザインですが、それも年代ごとにちょっとずつデザインが違ったりして。一番新しいバージョンが、この斜めになったラウンド型のツートーン。それまではオーバル型が主流だったようです。

アイ ブランドのTシャツ ¥8,000(喜楽)

―Tシャツ以外のアイテムも?

小池:他にスウェットもありましたが、ぼくらが見た中ではやはりTシャツが多かったですね。しかも、どれもボディメーカーはバラバラ。基本は白ですが、カラーものやタイダイ染めもあったりして、そのつど用意出来たボディで作っていたというのが実情ではないかなと。

真喜志:あとはキャップも。runは定番だとして、rideは……自転車もしくはモータースポーツかもしれないですね。アメリカでは非常に人気ですし。ただ、ちょっと分からないのがJump。走り幅跳びか高跳びか、もしくは高飛び込みか…なんのスポーツを指しているのか謎です(笑)。

アイ ブランドのキャップ 各¥6,800(すべて喜楽)

―たしかに(笑)。しかし、どれもデザインが90年代らしさもありつつ、なんとなく雰囲気がイイ感じで。

真喜志:そこがポイントです! ロゴにスポーツ名をデザインした直球のグラフィックで、感覚的には企業モノに近いといいますか。何も考えていないのが、たまたま良い方向に転がって、我々日本人には格好良く感じられるっていうユルさ。

―初見で「どこの?」って聞かれる率も高そうです。

小池:〈アイ ブランド〉なんて、恐らく誰も知らないと思いますからね。最初は、あまりにも色んなロゴが見つかるから全部別モノかなと思ったくらいで、ぼくらも今回買い付けるまで存在を知らなかった位ですし(笑)。ただ取り入れやすいとは思いますよ。

真喜志:そうそう、いまだったら普通にショーツで合わせればいいんじゃないかなって。このデザインなら時代を問わず着れますし。ですが問題は、読者の皆さんがネットで探そうと検索しても、全然違う会社がヒットしたりして、ほぼ辿り着けないっていうところ(苦笑)。なので、わざわざ探すのではなく、たまたま古着屋で見かけたら「何だ、コレ?」って手に取ってみるくらいでイイと思います。そういった偶然の出会いを楽しむっていうのも、古着の魅力ですし、前回も話したように、“ユルく自分らしく楽しめる”のがニュー・ヴィンテージだと思うので。

真喜志&小池 / 喜楽 オーナー
十数年来の友人2人が、2017年11月、東京・代田橋の沖縄タウン内にオープンした「喜楽」。レギュラーからヴィンテージまでアメリカンカジュアルを中心に様々なラインナップを展開し、営業時間は17時〜24時。仕事帰りにちょっとディグ、飲んだ帰りにちょっとディグも可能。2号店の「楽喜」も下北沢にて営業中。
公式サイト:kiraku-store.com
インスタグラム:@kiraku_store

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