スタイリストとしてのみならず、写真に映像制作、はたまたブランドディレクションまで、肩書きにとらわれることなく自由に表現活動を繰り広げる梶雄太。そんな彼が自ら綴った〈サンセ サンセ〉の商品説明を、ランダムに紹介していく連載企画。今回はプラトニックな文体を通して、ベレー帽に“薔薇色”と名付けた理由を明らかにしていきます。
なぜそうしたのかは覚えていないが、少し話をした感じだけで勝手にパリが好きであると思いこんだのはこちらが悪かった。
恵比寿の写真美術館のドアノーの写真の前で待ち合わせしたまでは良かったのだ。
高まる気持ちを抑えて得意げにベレー帽をかぶった時が気持ちとしては最高潮だった。
当分キスは出来ないかもれないなと弱気になった瞬間に、彼女は目の前に現れたのだった。