WEBやSNSがどんどん発達して、情報収集のほとんどをそっち方向で賄う、という人も多いかと思いますが、それでもなおフィジカルで見るべき情報、保存しておくべき知識、知恵というものは存在するのです。
この度、発売された英国を代表するデザイナー、ネヴィル・ブロディ（Neville Brody）のモノグラフ（ある一つの主題に関する研究を記した本や論文）はまさにそれにあたるでしょう。
過去数十年のなかで、最も革新的で変幻自在なグラフィックデザイナーの一人であるネヴィル・ブロディ。
資生堂、コカ・コーラ、サムスン、ニコン、LVMH、ナイキ、ドン・ペリニヨンなどのグローバルクライアントや、BBC、チャンネル4、テート・モダン、タイムズなどの英国クライアントに対して、エディトリアル、ブランドアイデンティティ、タイポグラフィー、デザインシステム、情報、インターフェースデザインなど、比類なき大胆で洗練されたデザインワークを提供し続けてきた、デザイン界の巨匠、生ける伝説といっても過言ではありません。
本書は、30年以上のキャリアから生まれた実験的タイポグラフィー、カルチャーコミュニケーション、デザインシステムなど、独創性高いデザインプロジェクトをテーマに沿って構成されています。
豊富な図版、各プロジェクトの解説、主要ブランドのためのブランディングからカルチャー誌の歴史に残る多数雑誌のエディトリアルデザインまで、6つの章にわたってブロディの活動を定義し、創造テーマやアイデアに対してブロディのデザイン言語がいかに進化してきたかを紐解きます。
グラフィックデザイン、コミュニケーションデザイン、グラフィック、アートの交差点に位置し、アート、デザイン、ファッション、音楽、ローカルチャーとハイカルチャーからの影響を融合させながら、その境界を押し広げ、境界を越えるブロディのデザイン。
グラフィックデザインの進化を読み解くうえで、新世代のデザイナーやアートディレクターにとっては必読の書となること請け合いです。
なお、本書にはフイナムではお馴染みのアートディレクター、平林奈緒美が寄稿しています。平林の視点から描写されたブロディに対する文章に触れることで、彼が成してきたことへの解像度がより高くなるのではないでしょうか。
THE GRAPHIC LANGUAGE OF NEVILLE BRODY///
著者：エイドリアン・ショーネシー、ネヴィル・ブロディ
序文：スティーブン・ヘラー
執筆：ジョアン・ファーニス、平林奈緒美
発行元：Thames&Hudson
発行日：2023年5月25日
製本：ソフトカバー、352ページ、イラストレーション800点、スリップケース付
販売価格：£50
※問い合わせ先
kotokokoya@brody-associates.com
philiprodgers@brody-associates.com
hollyholdcroft@brody-associates.com
ネヴィル・ブロディ
世界で最も影響力のあるクリエイティブ・カルチャーコミュニケーション、デザインシステムなど、独創性高いデザインプロジェクトをテーマに沿って構成。豊富な図版、各プロジェクトの解説、主要ブランドのためのブランディングからカルチャー誌の歴史に残る多数雑誌のエディトリアルデザインまで、6つの章にわたってブロディの活動を定義し、創造テーマやアイデアに対してブロディのデザイン言語がいかに進化してきたかを紐解く。
エイドリアン・ショーネシー
ロンドンを拠点に活動するグラフィックデザイナー、ライター、自身の出版社を持つ。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、ビジュアル・コミュニケーション学部教授。主な著書に『How to be a Graphic Designer Without Losing Your Soul』『Graphic Design：A User’s Manual』等。
スティーブン・ヘラー
グラフィックデザイナー、アートディレクター、美術評論家、作家。30年以上にわたり、New York Times Book ReviewとU&lc誌でシニア・アート・ディレクターを務める。デザインとポップカルチャーに関する200冊以上の本を執筆・共著。
ジョアン・ファーニス
リーオンシーを拠点とする編集者、クリエイティブ・ディレクター、ライターで、The Face、i-D、Arena Homme+など多くの主要タイトルを手がけている。
平林奈緒美
東京を拠点に、アパレルブランド、店舗、ミュージシャンなど、様々な分野のクリエイティブディレクション、ブランディング、ビジュアルアイデンティティ、CIシステム、デザインに携わるグラフィックデザイナー、アートディレクター。
