ドライビングシューズが自他ともに認める〈トッズ(TOD’S)〉の顔とすれば、知る人ぞ知る存在がチェルシーブーツだ。サイドゴアブーツとも呼ばれるこのデザインは1960年代のモッズ・ブームとリンクして火がつく。震源地がロンドンのチェルシー地区だった。
目の肥えたカスタマーのシュークローゼットに並んでいるチェルシーブーツは二つ。
ひとつは艶やかなブラッシュドレザーをまとった一足。ヒールにも配したアイコンのラバーペブル、ミリタリーライクなモノブロックソールと相まって、足元が主役になるブーツである。
もうひとつはレザー本来のしなやかな風合いを生かした一足だ。こちらはレザーソールと見紛うエレガントなラバーソールを履かせており、ウィークデーの相棒としても重宝するだろう。
トップラインのキワには二足とも〈トッズ〉のモノグラムロゴが施される。
チェルシーブーツを俎上に載せて気づいたけれど、メゾンの顔となるモデルはいずれもスリップオン(=素早く履ける)構造となっている。快適を追求する〈トッズ〉の姿勢は筋金入りだ。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa