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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.77 “ダサジャーなんてもう呼ばせない”。ユーロな匂いのアディダスジャージ。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

新たにショップが全て入れ替わり、スタートした10シーズン目も折り返し! 第77回目は「ドラセナ(Dracaena)」の滝 祐輔さんの2巡目。2023年最後ということで、どんなニュー・ヴィンテージが飛び出すのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


滝 祐輔 / Dracaena PR
Vol.77_アディダスのバイル素材&ベロア素材のトラックジャケット

―早速ですが、今回ご紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

今回は〈アディダス(adidas)〉ベロア素材&パイル素材のトラックジャケットです。独特な切り替えデザインと野暮ったいシルエットも相まって、ひと昔前までは“ダサジャー”なんて呼ばれていたアレです(笑)。昨年まではそうでもなかったんですが、最近になってお客様の中にも探している人もいる位、ジワジワと人気が出てきていまして。ウチでもいちばん目立つ場所にディスプレイしています。

アディダスのトラックジャケット ¥17,600(ドラセナ 吉祥寺本店)

アディダスのトラックジャケット ¥21,450(ドラセナ 吉祥寺本店)

―何とも懐かしい雰囲気がプンプンしていますが、年代的には?

両方とも80年代だと思われます。ヴィンテージのアディダスで話題になる生産国はバラバラで、概ねヨーロッパメイドが多い印象はあります。これは両方ともフランス製ですが、たまに同じデザインでチュニジア製なんかも混じっていたりして。

―今回改めて紹介いただくということは、「ドラセナ」でも以前はあまり評価されていないアイテムだったと?

価値を見出していなかったというよりも、ウチの場合、アメリカやカナダで仕入れをしているので、こういったユーロノリのアイテムの入荷自体が、あまりなかったという感じですね。今回たまたまオーナーがフランスに行った際に買い付けに成功したので、この機会に紹介したいなと。

―先ほど、取り扱いアイテムは基本的にアメリカ古着と仰っていましたが、ユーロ古着の面白さとはやっぱり違うものですか?

このアディダスのトラックジャケットに関して言えば、普段取り扱っている「ATP(the Association of Tennis Professionals=世界プロテニス協会)」のトラックジャケットに比べて、生地の質感が新鮮というのはあります。なんというかクラシカルですよね。汗をあまり吸わなそうなパイルですし、ベロアは柔らかくて高級感があるけれど耐久性に難あり。ということで両方とも実用面ではトレーニングウェアに不向きなんですけどね(笑)。

―その一方で切り替えは、身体の動きに合わせたパターニングがなされていて、デザイン性と機能性を備えている気がします。

そこは仰る通り。あとは長めにデザインされた首のリブもポイントです。トップまで閉めるとハイネックになるので、テーラードジャケットやロングコートなどトラディショナルなアウターのハズしとして重ねる着方もオススメです。存在感があって何にでもマッチすることもあって、ウチではもはや〈チャンピオン(Champion)〉のリバースウィーブ同様のポジションを確立しています。

―同業他店でも同じような状況なんですかね?

元々、ストックしていたのかは定かではありませんが、この1年間で取り扱うショップも大分増えてきていて、認知が広がっているようには感じます。

―ちなみにプライスは?

ATPだとサイズ次第ですが、¥25,000〜¥30,000くらい。こちらは大体¥15,000〜¥17,000くらいで値付けしているので、プライス的には大体半値。なので買いやすいというのも魅力です。ATPは数も減り続けていますが、この辺はまだサイズも色も選べるので狙い目かと。ちなみに人気のカラーリングは、今回取り挙げるようなネイビーベース×ブルー。これは入荷するとすぐに売れていきます。逆に玄人好みなのがレッドベース。古着だけでなくアパレル業界全体で“赤は売れない”という定説もあるくらいですし。難易度こそ高いのですが、よりクラシカルな雰囲気も演出できるので、選択肢としてはアリかなと考えています

―探しているのは、どういう方が多いんですか?

圧倒的に若い世代ですね。あとは女性も。感覚値的にも男女比は半々くらいで、SNSをキッカケに知ったという声が多く聞かれます。

―なるほど。このアイテムを滝さんならどう着こなしますか?

ぼくならボトムスは〈リーバイス〉のスタプレか〈ラングラー〉のランチャーに合わせます。ただ、シルエットも小さめなので、インナーの選択肢は限られてきて、TシャツやロンTが関の山。フロントジップは上まで閉めきると感じの方がシルエットはいいかなと思います。ちょっと派手めのドライバーズニットって感覚でしょうか。2023年の年間ベストセラーのトップ3に入っているので、今のうちに確保しておくことをお勧めします。

滝 祐輔 / Dracaena PR
33歳。大学卒業後、イギリス生まれの某ブランドに約5年間勤めたのち退社。その後、「ドラセナ(Dracaena)」に入社し、カナダで約2年間仕入れを担当。現在は、同社でPRなどの店舗運営とイベント企画などに携わりつつ、積極的に店頭にも立っている。
公式サイト:e-dracaena.com
インスタグラム:@dracaena_kichijoji

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