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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.78 レミントンのハンティングウェアは “タマ数少なめ”の即捕獲案件。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

ショップが全て入れ替わり、スタートした10シーズン目も後半戦! 第78回目は「メロウ(mellow)」の清水たかやすさんの2巡目。さて、どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


清水たかやす / mellow PR
Vol.78_レミントンのジップジャケット

―今回紹介してもらうニュー・ヴィンテージなアイテムを教えてください!

今回は〈レミントン(Remington)〉を取り挙げたいと思います。

―それって、あのショットガンやライフルで有名な?

そうです。ウィキペディア曰く、1816年に設立された、アメリカでも最古の民間銃器メーカーだそうです。たびたび買収されているものの、同地における狩猟用ショットガン部門において最も売り上げを伸ばしていて、世界的にも有名な銃器製造会社のひとつに数えられます。そんな同社が展開するハンティング用アパレルが面白いのではないかなと。

―同じ銃器メーカーでも、アパレルをたまに見かける〈ベレッタ(BERETTA)〉や〈スミス&ウェッソン(Smith & Wesson)〉に比べて、ちょっと珍しい気がします。

そうですね。新品で購入するにしても、日本で取り使っているのは銃砲店やミリタリーショップになるので、なかなか一般人が触れられるような感じではないですし。ただ古着的視点で言えば、1990年代半ばに〈バブアー(Barbour)〉のオイルドジャケットが流行った際に、“周りとは被りたくない”古着業界の先輩たちが、アメリカ買い付けで見つけてきた〈レミントン〉を着ていたという証言もあるので、日本でも一部では認知されていたようです。先輩からその話を聞き、興味が湧いてディグった結果、見つかったのがこの2着です。

レミントンのジップジャケット ¥14,300(メロウ)

レミントンのジップジャケット ¥16,500(メロウ)

―どこぞのストリートブランドの新作と言われれば、そのようにも思えます。パッと見、すごくいまっぽいですし。

両方とも狩猟用に使われるハンティングカモの中でも、リアルツリーカモと呼ばれる系統ですね。モノトーンの方は、雪山での着用を想定したスノーツリーカモ。柄中に潜んだロゴマークから、〈ネクストカモ(NEXT CAMO)〉製のファブリックであることが分かります。もうひとつは〈ナチュラルルギア(NATURAL GEAR)〉製。オリジナルナチュラルと呼ばれる定番カモで森や沼地から砂漠まで対応し、汎用性の高さが魅力。リアルツリーカモ自体は、〈シュプリーム(Supreme)〉や〈ステューシー(STUSSY)〉からもリリースされていたりとストリートでの支持率が高いことで知られています。その派生型であるスノーツリーカモは〈グレゴリー(GREGORY)〉がバッグに使用していたことも。

―アイテムのディテール的には、どういう部分に面白さを感じますか?

両方とも作りは基本一緒で、両胸にジップポケット、フロント身頃の左右にマチ付きの大型フラップポケットを配置しています。また裏地は、スノーカモがキルティングで、もう片方はメッシュ。キルティングの方は羽織ってみるとかなり暖かく、この辺は着用するシーズンによる違いでしょうね。同じように生地表面の質感もちょっと違っています。後者の方がやや起毛した感じで、〈エルエルビーン(L.L.Bean)〉のシャモアクロスなんかにもちょっと似た風合いです。

―その他にも違いってありますか?

スノーツリーの方はフード一体型ですが、もう一方はフードが取り外し可能な仕様に。年代に関してですが、先輩方の経験則によると、〈レミントン〉でこの辺りのデザインのものは90年代に多いそうです。歴史自体は長いのですが、古着で見つかるのは基本90年代と思ってもらってイイかと。といっても、そもそものタマ数が少ないのか出現率は低め。それもあってか、まだ全然注目されておらず、ニュー・ヴィンテージ的視点でも狙い目だと思います。

―同業他社でもあまり取り扱っていないんですか?

う〜ん、“まだいまは”ってところだと思います。先ほども述べたように需要があまりないため、ネットでディグったりすると結構、安く見つかりますし。あと探す際にポイントとなるのがサイズ感。実際にハンティングで使用されていたということもあってか、出てくるモノの大多数がXLサイズ。これを個人的にはシンプルな黒のナイロンパンツなんかでラフに合わせるのがオススメです。今年はリアルツリーカモを筆頭に、ミリタリーではなくハンティング系のカモフラ柄アイテムを探す人がすごく多いので、まだみんなが注目していないところを狙うなら、この辺りがバッチリじゃないかなって。

清水たかやす / mellow PR/ストアマネージャー/ディレクター
茨城県水戸市出身。高校時代に「渋谷T」のディレクターであった ITOさん(現「伊藤商店」ディレクー)に憧れ、ショップに通い詰める中で、90年代を中心としたレギュラー古着の面白さに目覚める。その後、同店を運営する「mellow」に入社。現在は同店のPRとストアマネージャー/ディレクターを務め、さらに今年10月からは「渋谷T」のプロモーターも兼任する。
公式サイト:feeling-mellow.com
インスタグラム:@mellow_used_clothing

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