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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.79 イナタくて普通、でもそれもまた気分。“じゃない方”のカーハートジーンズ。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。今ではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

新たにショップが全て入れ替わり、スタートした10シーズン目! 第79回目は、「アス(US)」の中村雄貴さんの2周目。どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


中村雄貴 / US プレス
Vol.79_カーハートの5ポケットジーンズ

―今回紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムとは?

「アス(US)」では定番の〈カーハート(Carhartt)〉から、5ポケットのジーンズを用意しました。同ブランドのボトムスの定番といえば、ワークブランドらしいダブルニー仕様のペインターパンツですが、このイナタくて“普通な感じ”が最近の気分なのかなと。

カーハートのジーンズ B17 ¥8,910(アス)

―本当にメチャクチャ普通ですね(笑)。これって現行でも展開されているアイテムなんですか?

展開はされているのですが、日本国内でファッションウェアとして販売されている〈カーハート WIP(Carhartt WIP)〉とは違い、アメリカ本国ではそこらのスーパーやワーク用品で、ガチの作業服として売られているアイテム。ここ日本では、インポートセレクトショップなどで入手可能です。

―なるほど。最近は、いわゆるタテ落ちやヒゲなどのアタリといった、ヴィンテージデニムの魅力とされる“アジ”を好まない人も多いようですし、こういった色合いはいまの時代にマッチしそう。

そうですね。現行品では、ダークストーンウォッシュとストーンウォッシュの2色が展開されていますが、あくまで作業着ということもあって、ガンガン穿き込んで洗濯することで生まれるフラットな色落ちのものが多く、イナタさもありますが、合わせ方次第でクリーンに穿きこなすことも可能なので、若い世代にもオススメしたいですね。

―しっかり厚みのあるデニム生地もまた、ワークテイスト満点で。

現行モデルを調べると15オンスだったので、多分変わっていないと思われます。フラットな色落ちは、デニム好きの基準からすると“安価でクオリティの低いもの”を使っているからでしょうね。とはいえ、だからこそこの雰囲気が出せているので結果オーライ(笑)。ちなみに、ごく稀にブラックも出てきたりするので、そちらは見つけたら即買っておくべきかと。

―〈リーバイス®︎(Levi’s®︎)〉で「501」とか「550」があるように、種類もいろいろあるんでしょうか?

先ほど紹介したのがリラックスフィットの「B17」。それにトラディショナルフィットの「B18」と2種類が存在しています。前者はそれこそ〈リーバイス®︎〉の「550」と似ていて、太ももにゆとりがあって足首に向かってテーパードがかったリラックスシルエットが特徴。もうひとつのトラディショナルフィットは「501」のような王道のストレートシルエットとなっています。今回紹介するのは、どれも90年代以降のものだと思われますが、基本的に年代によってシルエットが大きく変わるってことはないようです。なので、購入時に気を付けたいのがサイズ表記。表記に比べてレングスが短いと感じたら、丈詰めされている可能性大。シルエットも変わってしまうので要注意です。

カーハートのジーンズ B18 ¥8,910(アス)

―ディテール面ではどうですか?

そこもシルエット同様、基本的に変わりません。前面はジップフライでコインポケット付き。背面は両方のバックポケットにステッチが入り、右ポケットには Cロゴが刻まれた正方形のレザーパッチが配されています。コインポケットの脇にはブランド名の織りネームがありますが、赤文字と黒文字の2種類が存在しています。今回用意した個体では、「リラックスフィット」が赤文字、「トラディショナルフィット」が黒文字でしたが、逆のパターンも存在しており、製造時期によるものか製造国や工場、ロットによるものなのかは不明。

同様に、背面のセンターステッチがトリプルステッチになっている個体もあれば、内股のシームのみトリプルステッチの個体もあったりします。ここもまた製造年が古いからとか、製造国によってというわけではない様子。この適当でラフな感じこそがアメリカだなって(笑)。

―製造国の話も出ましたが、これらはアメリカ製なんですか?

いえ、いま古着で多く見つかるのはメキシコ製ですね。アメリカ製も中にはありますが、年代が古い=アメリカ製というわけではないみたいです。なので、ウチではメキシコ製もアメリカ製も値段は一緒。同様に、トリプルステッチもシングルステッチも同じ値段で販売しています。

―「アス」を訪れるお客さんはバイカーやスケーターなど、無骨でアメリカンなファッションを好む人が多いイメージがありますが、いまならどう着こなすのがオススメでしょうか?

ジャストサイズから4インチほどUPして、ウエストをベルトで絞って履くのをオススメしています。オーバーサイズ=子供っぽいという固定観念がありますが、このアイテムに関してはジャストイサイズで着用した方がヤバイ感じになりますからね(笑)。トップスもバランスを合わせるなら、大きめのクルーネックスウェットとかどうでしょうか。カーハートというブランド全体でいえば、どのアイテムも高騰していますが、まだまだリースナブルに手に入るのが、この辺のアイテム。ぜひ手に取ってみてください。

中村雄貴 / US プレス
1981年生まれ、青森県出身。アメカジを中心に、ストリートな匂いのするインポートウェアやユーズドウェアを取り扱い、その優れた選球眼で幅広い層から支持を集めるセレクトショップ「US」のプレスを担当。一見無口で強面、だが実は口下手なだけの優しい野球バカである。
公式サイト:http://shop.us2000.jp
インスタグラム:@us2000_tokyo

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