1960年代、70年代のキャンプ・ブームをキーワードのひとつに掲げた今シーズン、〈ジル サンダー+(JIL SANDER+)〉はアウトドアグッズをラインナップに加えた。ポケットナイフがそれだ。
スイスの名門〈ビクトリノックス(VICTORINOX)〉社製のナイフをカーフレザーのケースで包んだ。ストラップが付いており、ペンダント代わりに首からぶら下げられる。
穏やかなシボを刻むケースはどこまでも柔らかで、用もないのについ手が伸びそうだ。ボディの下部にはロゴが刻印される。
縫製も留め具も使わずに仕立てられているのもいい。プリミティブなコンストラクションは上質なクラフトワークを思わせる。いつか処分するときがきても、このケースなら分別に頭を悩ます必要もない。
カラーバリエーションは写真のブラックとタンの2色。
〈ジル サンダー+〉は山河が遊び場だったというクリエイティブ・ディレクター、ルーシー&ルーク・メイヤーの幼少の記憶を呼び覚ます試みであり、幼かった彼らはきっと、日がな一日山にこもって、〈ビクトリノックス〉で木を削ったり、魚をさばいたりしたのだろう。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa