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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.82 “等身大のアメリカ人の日常着”。ランズエンドのジーンズはそこが良い。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。今ではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

新たにショップが全て入れ替わり、この連載も遂に11シーズン目に! 第82回目は、豪徳寺で90’sのアウトドア古着を中心に扱う「ナーディードッグス(Nerdy Dogs™︎)」の秋元亮介さん&大橋佳秀さん。どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


秋元亮介&大橋佳秀 / Nerdy Dogs™︎
Vol.82_LANDS’ ENDのデニムパンツ

―まず、お聞きします。お二人にとってニュー・ヴィンテージとは?

これまでのいわゆるトゥルー・ヴィンテージと呼ばれるアメカジ的な古着って、90年代に日本に定着した際に価値基準が確立されたわけですよね。例えば、〈リーバイス(Levi’s)〉でいったら◯◯年代のXXがいちばんレアで、次が○○で〜みたいに。そんな中にあって、まだ価値基準が定まっていないけれど面白い古着。ですかね。

―ちなみにお二人とも元々はセレクトショップ出身とのことですが、“ならでは”のセレクトの基準や古着に対する見方ってあったりしますか?

たしかに、ウチのように生粋の古着畑出身じゃない店の場合、セレクトショップっぽく古着屋とは違った価値基準で提案するタイプと、昔ながらのオーセンティックな古着屋のスタイルを目指すタイプの2通りありますよね。ぼくたちはどちらかと言えば後者。その上で、90’sのアウトドア物を中心に扱っています。どのジャンルにも言えますが、ある程度名前が知れ渡ったブランドやアイテムの場合、あまり新鮮味がないので、まだその価値が明確に定まっていないジャンルを自分たちは推していこうと考えました。

―では、それらの古着に新しい価値を見出すとしたら、どういった部分がカギを握ると思いますか?

素材、そして色だと思います。たとえばデニム。定番ではありますが、その中でもその時代にしか出せない色って存在するんですよね。それをいま作ろうと思っても、当時の機械や技術などの生産背景があってこそのものなので再現することが不可能だったりして。その“トゥルー・ヴィンテージにも、現行のアイテムにもない魅力”を持っているモノを探すのが、ニュー・ヴィンテージの楽しみ方なのかなと。

―なるほど。で、今回紹介していただくニュー・ヴィンテージなアイテムとは?

ブランドは、ぼくらの好きな〈ランズエンド(LANDS’ END)〉です。オーセンティックなデザインでアイテム数も多く、ラインアップにアメリカをすごく感じますし、〈エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)〉や〈エディー・バウアー(Eddie Bauer)〉なんかとコーディネートした際にすんなりハマるので一体感も出るんじゃないかなと。

―古着業界で再評価されていますが、ランズエンドについて改めて教えていただけますか?

1963年に創業した同社はアメリカ最大手のカジュアルウェアブランドです。創業当初はヨット装備品の販売会社で、その後の1970年代からアパレルも取り扱いはじめ、ビジネスの主軸に据えるようになったのは1980年代前半〜中盤からです。

―なんとなくエル・エル・ビーンとも似たイメージがあります。

販売も同じくカタログ通販がメインですからね。一部では実店舗もありますが、最近はネット販売も人気の模様。ここ日本では1994年に展開をスタートし、世界的にもかなりのシェアを誇っていたみたいです。ただオリジナリティを売りにするブランドではないので、決してオシャレではなく、デザインも他社製品のトレースが多い印象はあります(苦笑)。その中でも今回は、1986年にブランド初のジーンズとして誕生した定番モデル「スクエアリガー」をピックアップしてみました。

LANDS’ ENDのジーンズ ¥11,880〜15,180(ナーディードッグス™️)

ブラウンとブルーは古くて、おそらく時代的には80’s後半〜90’s初頭。この当時は、ワンフィットかつスタイル名も決まっていなかったようですね。で、その後の90’s中期ぐらいからトラディショナル、リラックス、オリジナルという3スタイル展開になります。オフホワイトとブルーグレーは90’s中期以降のモデルで、ともにトラディショナルフィットです。その後は年代によって2フィットの時期もあったりするのですが、レングスは一貫してレギュラーとロングの2種類を展開していました。

―またなんとも絶妙な色合いですね。

ですね。ストーンウォッシュが売りで、中間色のニュアンスカラーの種類が豊富に揃っていたようです。しかも年代によって同じ名称でも色が全然違ったりして、それこそ最初にお話ししたように、ある時期しか展開されていないカラーもあったりします。ディテールに関しては、時代によってマイナーチェンジしているみたいですね。

―たしかに、よく見るともちょっと違います。

いちばん分かりやすいのが、ウエスト背面の革パッチのデザイン。帆船がオーバル型に囲まれているタイプが古く、新しいタイプは船が囲まれていません。

内タグも時代によって変わっていて、品質表示が白くて縫い付けの方が多分古めです。加えて、ポイントとなるのが“基本的にアメリカ製”という点。現行品は多分違うと思いますが、2000年代初頭でもアメリカ製なので、“等身大のアメリカ人の普段着”という意味でも、そこはすごく大きいかなと。

―実際に履いてみるとどんな感じでしょうか?

主役として探す人はあまりいなそうですが、履いてみるとシルエットはすごく良いんですよ。選ぶ際はサイズが重要。いまだとW36×L30の表記で、そこから縮んだレギュラーレングスのタイプがオススメ。色なんかは人それぞれ好みがあると思いますが、一応ぼくらの中で「これはイイ色だなぁ」っていうのはあります。そういった自分たちで評価を決めたり出来るところが、まだ価値基準の定まっていない “ニュー・ビンテージ” の良さだと思います。

秋元亮介&大橋佳秀 / Nerdy Dogs™︎ ディレクター
某大手セレクトショップに同期入社した同い年の秋元さんと大橋さんが、それぞれバイヤー、セールスパーソンとして経験を積んだのち独立。2023年7月、豪徳寺に自身らが好きな90 ‘sのアウトドア古着を中心に取り扱う「ナーディードッグス™︎(Nerdy Dogs™︎)」をオープン。
インスタグラム:@nerdy__dogs

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