キャサリン・ヘップバーンはワークウェアやテーラードジャケットをその着こなしに取り入れ、ジェンダーの概念を覆し、新たなエレガンスを生み出した。
なぜ往年の名女優の話をしたかといえば、〈メゾン マルジェラ(Maison Margiela)〉の新作が彼女のプライベートワードローブを彷彿とさせたからだ。
〈メゾン マルジェラ〉は今シーズンのキーワードに “インフォーマル・フォーマリティ” を掲げた。リリースをそのまま引き写せば、そのキーワードが意図するところは――テーラリングとエレベートされたワークウェアを通じて探求したフォーマリティ、となる。
ストーンウォッシュ加工が絶妙なこなれ感を生むインディゴカラー、そしてイエローのステッチ糸がもたらすマリアージュ効果も見逃せないデニムジャケットは、インフォーマルとフォーマルの境界線を引き直した。まさにこれからのフォーマリティに相応しい一着だ。
その袖を無造作にまくりあげ、家のデッキであぐらをかくヘップバーンが目に浮かんだ。
デニムジャケット ¥222,200
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa