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クレール・ドゥニによる、ドニ・ラヴァンの怪演を見よ。映画『美しき仕事』が4Kレストア版で日本初上映中です。

1999年に発表されたクレール・ドゥニ監督作『美しき仕事』は、2022年度発表されたSight & Sound誌の「史上最高の映画」で堂々の7位にランクインするなど、映画史にとっても重大な作品。

日本では長らく劇場未公開でしたが、このたび4Kレストア版で日本初上映が決まりました。つい先日公開がはじまったタイミングですが、あらためてその概要をご紹介しましょう。

STORY
仏・マルセイユの自宅で回想録を執筆しているガルー。かつて外国人部隊所属の上級曹長だった彼は、アフリカのジブチに駐留していた。暑く乾いた土地で過ごすなか、いつしかガルーは上官であるフォレスティエに憧れともつかぬ思いを抱いていく。そこへ新兵のサンタンが部隊へやってくる。サンタンはその社交的な性格でたちまち人気者となり、ガルーは彼に対して嫉妬と羨望の入り混じった感情を募らせ、やがて彼を破滅させたいと願うように。ある時、部隊内のトラブルの原因を作ったサンタンに、遠方から一人で歩いて帰隊するように命じたガルーだったが、サンタンが途中で行方不明となる。ガルーはその責任を負わされ、本国へ送還されたうえで軍法会議にかけられてしまう…。

クレール・ドゥニと言えば、1988年にデビューして以来数々の名作をつくり続けていますが、パリ18区を舞台とした群像劇『パリ、18区、夜。』(1994)で日本のファンを獲得をしたことで知られています。

その後も、ジュリエット・ビノシュ主演の初のラブ・コメディ『レット・ザ・サンシャイン・イン』(2017)、ヴィンセント・ギャロが主演の『ガーゴイル』(2001)、ロバート・パティンソンを迎えた初のSF映画『ハイ・ライフ』(2018)など、ジャンルを横断しながら、自身のスタイルを追求してきました。

どの作品にも共通しているのが、人間の奥深くにある卑しさや欲望を掬いあげている点。目を覆いたくなるほど真っ直ぐに描くこともあれば、鮮烈な切り口で描くこともあり、そこに映画作家クレール・ドゥニとしての個性が宿っています。

今作『美しき仕事』も例外なく。フランス映画界が誇る生きる伝説ドニ・ラヴァンを主演に迎え、アフリカの海岸を背景に、外人部隊とそれを率いる指揮官の訓練の日々を描きました。

水面にきらめく太陽の光と、同じ光に照らされる男たちの肌に見とれてしまう一方で、人工的な光の下で踊る現地の女たち。具体的な言葉で語られずとも、時代や政治が色濃く映る世界を、観客は固唾をのんで見守ることになります。

そして、何と言ってもドニ・ラヴァンの身体性には驚かされるばかり。訓練の先頭を切る強さに関心しながらも、作品の輪郭をいびつに変えてしまうあのシーンは息をするのもするのも忘れてしまうほどです。

それまでドニ・ラヴァンと言えば、レオス・カラックス作品でおなじみの俳優というイメージでしたが、本作はいい意味でそれを覆し、新たに彼の恐ろしい一面を見せてくれました。

映画館で対峙してこそ感じられるものがあるはず。クレール・ドゥニ監督作『美しき仕事 4Kレストア版』、ぜひこの機会にご覧ください。

INFORMATION

『美しき仕事 4Kレストア版』

監督:クレール・ドゥニ 
脚本:クレール・ドゥニ、ジャン=ポール・ファラゴー
撮影:アニエス・ゴダール
振付:ベルナルド・モンテ
出演:ドニ・ラヴァン、グレゴワール・コラン、ミシェル・シュポール、ニコラ・デュヴォシェル
1999 年/フランス/カラー/93 分/ヨーロピアンビスタ/ 
提供:JAIHO
配給: グッチーズ・フリースクール
5月31日(金)より、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下他全国順次ロードショー
ⓒ LA SEPT ARTE – TANAIS COM – SM FILMS – 1998

公式サイト

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