すっきりしたテーパードシルエットながら、穿けばカーゴパンツならではのドレープがあらわれる。ポリエステルコットンのハリのあるテクスチャーと巧みなパターンが高度な次元で融合した賜物だ。
ウエストバンドとドローストリングのコンビネーション、カーゴポケット、サイドジッパー付きのレッグボトムもいい味を出している。
しかしなんといっても見逃せないのは “壊れて歪んだピクセル” をイメージしたというプリントだ。その濃淡は天の恵みをつかの間浴びた砂漠を思わせる。コロニアルなムードを漂わせつつ、都会的な余韻を残すのはピクセルという素材のなせる技か。“色の魔術師” といわれた色使い、柄使いは健在だ。
デザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンは2025年春夏メンズコレクションを最後に一線を退くが、彼のデザインワークはいよいよ冴えわたっている。かえすがえすもその引退は残念でならない。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa