SS25の〈ロエベ(LOEWE)〉のメンズコレクションは、シンプルに徹することでシルエットやテキスタイルのポテンシャルを引き出していた。
それはここで紹介するハーフジップのスエットシャツも例に漏れない。
レギュラー丈、ハーフジップ、リブ編みの襟、袖、裾、そしてブラックのワントーン。唯一の遊び心は背中にあしらったアナグラムのレザーパッチのみ、というソリッドなデザインワークが浮かび上がらせたのは、リラックスフィットとそのシルエットの魅力がいや増すコットンカシミアだ。
モダンなアップデートというお題において、ジョナサン・アンダーソンほど見事な回答を示したデザイナーは他にいない。それが証拠に、メゾンの客層は大いに若返り、十二分な評価を得た。
〈ロエベ〉のクリエイティブ ディレクターに就任して10年あまり。土台を整えたアンダーソンが新たなエッセンシャルアイテムの確立に動き出してもなんら不思議ではない。そんな目論見を感じさせるSS25であり、スエットシャツだった。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa