王道ブランドの定番品はやっぱりいい。定番と言われるだけあって歴史があるし、信頼できるスペックもあって、いくつになっても飽きない。でもこれはちょっと天邪鬼なひとに向けた連載企画。あのブランドの、実は知られていない、けどなんかグッとくるものを紹介します。そんなわけで第1回目は〈リーバイス®〉のマイナーグッド!
Photo_Arata Suzuki
Styling_So Matsukawa
Text&Edit_Yuri Sudo
〈リーバイス®〉の定番は501®。いまや当たり前ですが、三桁の数字が固有名詞になるなんて、よく考えればすごいことです。
創業は1853年。リーバイ・ストラウス氏が、金鉱で働くひとのためにキャンバス生地を用いてワークパンツをつくり、それが後にジーンズとして商品化されたことがきっかけです。
先に述べた501®が大定番として君臨していますが、それに追随する形で505™がファッションとしてのジーンズを提案しました。さらに近年、新たな定番としてスリムフィットの511™やバギーフィットの578™も誕生し、ブランドの顔となる品番が年々増えています。
もちろんどれも疑いようもない傑作だし、〈リーバイス®〉といえばジーンズなんて周知の事実なんですが、せっかくならば “それ以外” にも目を向けてみたい。
〈リーバイス®〉のトラッカージャケットは1936年に誕生した、言わずと知れた定番アイテムのひとつ。“トラッカージャケット” という名前は、1961年に発売されたサードタイプのデニムジャケットの呼称で、いまはアーカイブの復刻モデルだけではなく、さまざまなスタイルのデニムジャケットにその意匠が引き継がれています。
そんな定番の新柄として、今シーズン登場したのがこちら。ストライプ柄のラインに「LEVI’S」の文字がこれでもかとあしらわれていて、さらに赤耳を彷彿とさせるカラーリング。ブランドの歴史を総括するかのような一着です。
ブランドを背負うようで、最初は袖を通すのに緊張感が伴うでしょうが、着たら着たでハマりがいい。デニムジャケット感覚でチノパンやミリタリーなパンツを合わせるもよし、白Tとスエットパンツのシンプルさにピリッとパンチを効かせるのもいい。はたまたタイを締めてもグルービー。
もちろん着用者は選びますが、これを着こなせるひとは無敵な気がします。
ここで思い出されたいのは、冒頭にあった創業のきっかけ。リーバイ・ストラウス氏は、1873年にジーンズを誕生させましたが、その後、働くひとの声を反映したタフで機能的なワークパンツを新たに創りだしました。
こちらは、そんな伝統を受け継ぎ、タフで洗練されたデザインとクオリティをもつ「LEVI’S® WORKWEAR」シリーズの一本。このシリーズは激しい労働に耐えられるようつくられていることもあって、最近はストリートシーンでも知名度がじわじわと広がっているとか。
それもそのはず、丈夫なコットンデニムとキャンバス地を採用。ポケットとベルトループが補強されていて、ダブルニーで深いポケット付き、とスケーターも喜ぶ仕様なんです。
ロットナンバーは568™と、これまたスケーター好みなゆったりしたストレート。ピンピンの新品を育てる楽しさもありますが、現行ですでにフェードしているというのもこれまたオツです。
デニムはデニムでも、こんな小物もあります。
レザーパッチが堂々と鎮座しているカードケースです。ちなみに、レザーパッチはご存知、501®を象徴するアイコニックなディテールのひとつ。正直、ブランドのこんな端っこのアイテムにも関わらず、紙ではなくわざわざレザーを選ぶなんて。しかもデニムを構成するパーツの一部をこんな主役のように扱うなんて。〈リーバイス®〉の余裕というか、遊び心にはぐっときてしまいます。
501®という永世定番がありながら、これほどのプロダクトの振り幅。メジャーでありながらマイナーをも極める姿勢にはあっぱれです。
ロケ地メモ:ある編集部のデスク周り。靴箱の壁、通称シューズウォールは若干傾いていて、ときどき危うい。