〈エルメス(HERMÈS)〉が刻む歴史のなかで生まれ、大切に育まれてきた名作たち。
例えばそれはバッグの「オータクロア」やブレスレットの「シェーヌ・ダンクル」、スカーフの「カレ」といった品々。
どれもファッションの流れにおもねることなく、〈エルメス〉はものづくりに向き合ってきた。その受け継がれる伝統が時間軸にとらわれない価値となり、人々を惹きつけることは間違いない。
そんな逸品に続くように近年、注目されはじめているものといえば帽子だ。
当連載でもキャップの「マイルス」やバケットハットの「フレッド」を取り上げてきたが、今シーズン新たに「ヘクター」がその仲間に加わった。
ブラシ研磨された二つのボタンにはさり気なく “HERMÈS PARIS” の刻印。
ご覧の通り、チャイナハットを思わせる、コットンツイル製の一品で、「マイルス」にも付くスナップボタン「クルー・ド・セル」がアクセントに。
ぼくたちの想像の斜め上をいくようなものを突然出してくるところにも〈エルメス〉の面白さがある。
「ヘクター」は長く付き合える存在。手にしたひとのあらゆるカジュアルスタイルによくなじむだろう。
メンズベレー「ヘクター」 ¥102,300
Photo_Hiroyuki Takashima