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ところで、パタゴニアのアンバサダーって何ですか?

木村大志
1993年秋田県生まれ。長野県木島平村在住。2016年の信越五岳トレイルランニングレース3位、2022年のハセツネCUP4位、同年の甲州アルプスオートルートチャレンジ優勝など、数々のレースで実績を残す。現在はトレイルランニングのツアーやレースの開催に携わるほか、登山道整備や地域振興にも注力。2025年3月、パタゴニアのトレイルランニング・アンバサダーに就任。

〈パタゴニア(Patagonia)〉の新アンバサダーに、トレイルランナーの木村大志さんが就任しました。日本支社としてアンバサダーの新規加入は、実に6年ぶりのことです。

……ん? そもそも、「アンバサダー」って何だろう? ブランドの普及に携わる人? 製品開発のテスト要員? サポートアスリートとの違いは?

あらためて考えてみると、意外と知らない〈パタゴニア〉のアンバサダー像について、新たに就任した木村さん本人と、〈パタゴニア〉マーケティング担当の八木康裕さんに聞いてみました。


アンバサダーは、ブランドの哲学を伝える代弁者。

ーまずは八木さんにお聞きします。アウトドアブランドやスポーツブランドでは契約選手のような存在がいますが、〈パタゴニア〉は「アンバサダー」という呼び方をしていますよね。〈パタゴニア〉にとってアンバサダーとはどのような存在ですか?

八木康裕
パタゴニア日本支社 マーケティング トレイルランニング カテゴリーマーケター

八木:〈パタゴニア〉のアンバサダーは、ブランドの「代弁者」であり「フィールドの代表者」のような存在です。数あるアウトドアアクティビティのなかで、それぞれの精神を体現しながら、独自のライフスタイルを送り、製品デザインのアイデアを提供し、自然環境の保護活動にも積極的に関わります。

また、アンバサダーは製品開発やテストにおいても重要な役割を果たします。彼らからのフィードバックを活用して、製品のデザインや耐久性、機能性を向上させるとともに、スポーツコミュニティとの関係を深めています。

ー単に製品を着用して広告に出るだけでなく、ブランドのメッセージを広める役割も担うということ?

八木:その通りです。〈パタゴニア〉のアンバサダーは、競技成績が優れているだけでなく、自然とともに生きるライフスタイルを大切にすることが求められ、ブランドの哲学を伝える存在です。

とくに最近は、製品開発への貢献をさらに重視していて、製品テストにおけるアンバサダーの役割もますます重要になっています。製品の改良に関わることも、アンバサダーの重要な役割のひとつです。

ー木村さんがアンバサダーに選ばれた経緯を教えてください。

八木:木村くんとのはじめての出会いは、2015年、〈パタゴニア〉が特別協賛している「信越五岳トレイルランニングレース」の会場でした。当時、彼はアウトドア専門学校の学生としてコース整備を手伝ってくれたのですが、私たちはその頃から、彼のアスリートとしての素質、人柄、自然への考え方に光るものを感じていました。

彼はトレイルランニングを中心とした日々の活動において〈パタゴニア〉の製品を好んで使ってくれて、私たちとさまざまな活動をともにするなかで、徐々に関係が深まっていきました。そして時を経て、機が熟したと判断し、アンバサダーとして声をかけさせてもらった次第です。

ー木村さんご自身、アンバサダーに選ばれたときの率直な感想は?

木村:驚き以外の何物でもなかったです。日本におけるトレイルランニングのアンバサダーの新規就任は、この業界のレジェンドである石川弘樹さん以来のこと。「まさか自分が?」というのが正直な気持ちでした。同時に、このうえなく光栄なことと感じ、身が引き締まる思いです。私自身、ずっと〈パタゴニア〉のファンでしたから。

ー〈パタゴニア〉として、木村さんに期待することは?

八木:なにか特定の行動を求めるというよりも、自身のライフスタイルを大切にして活動を続けていってもらえたらと思います。木村くんはアウトドアスポーツへの強い情熱を持ち、年間を通じてトレイルランニングやクロスカントリースキーなど、さまざまなアクティビティに取り組んでいます。

また、地域のフィールドで環境保全活動にも積極的に関わり、その姿勢は〈パタゴニア〉の理念とも深く共鳴しています。今後もそのスタイルを貫きながら、さらなる活動の拡大を期待したいですね。


耐久性が高く、長く使える。使うほどに愛着が湧く。

ー木村さんにとって、〈パタゴニア〉の魅力とは?

木村:なにより、「タフに使える」ことです。学生時代にアウトドアの仕事を目指し、いろいろなブランドを試したなかで、〈パタゴニア〉の製品の耐久性の高さに惹かれました。価格的に気軽に買えるものではありませんが、だからこそ、耐久性が高いのは大きな魅力です。

そして長持ちするうえ、使うほどに愛着が湧きます。それは結果的に環境への負荷が少なくなることでもあり、パタゴニアの理念にもつながると思います。

ー最初に使った〈パタゴニア〉の製品はおぼえていますか?

木村:「R1」と「ナノ・パフ」です。買ったのは7、8年前かな。いまでも大切に使っています。

ー木村さん自身の今後の目標について教えてください。

木村:レースに関しては、今年9月から11月にかけて国内の大会に出場予定です。信越五岳やハセツネCUPを視野に入れています。また、セルフチャレンジとしては、毎年夏に新たな挑戦しているので、今年も何かやりたいと考えています。具体的な計画はこれからですが、北アルプスのほか、東北の山々での縦走にも挑戦したいですね。

ー最後に、〈パタゴニア〉のアンバサダーとしての意気込みを聞かせてもらえますか。

木村:誤解を恐れずにいえば、アンバサダーに就任したからといって、自分のライフスタイルがこれまでと大きく変わることはないと思っています。今後もフィールドでの活動を深めながら、〈パタゴニア〉の理念やブランドの価値を伝えていきたいです。

そして、自然のなかで遊ぶことの楽しさを多くの人に知ってもらい、そのフィールドを守るための意識を高める活動にも積極的に関わっていきたいですね。


ぼくが好きなパタゴニア。木村大志の場合。

アンバサダーに就任する前から〈パタゴニア〉の製品を愛用してきた木村さん。日頃のトレイルランニングで活用しているアイテムのなかから、とくに気に入っているものを教えてもらいました。

暑い時期のトレイルランニングの必需品。

(左)ダックビル・キャップ ¥5,280
(中央)ダックビル・ショーティ・トラッカー・ハット¥5,940
(右)ダックビル・トラッカー・ハット(私物)

「自分にとって『ダックビル・キャップ』は暑い時期のトレイルランニングの必需品。通気性が高く、汗をかいてもすぐに乾き、長時間かぶり続けてもストレスを感じません。クシャッと折り畳めてザックに収納できるのも便利。実際に山に持っていくと、その機能性の高さを実感できます」(木村さん)

トップスは季節やシーンに応じて使い分け。

(左)メンズ・ロングスリーブ・キャプリーン・クール・ライトウェイト・シャツ(私物)
(右)メンズ・リッジ・フロー・シャツ ¥8,800

「春や秋の肌寒い時期は、『キャプリーン・クール・ライトウェイト・シャツ』が活躍。フーディーやシェルを重ね着して使います。生地が薄く、重ね着しても不快感が少ないのが特徴です。とりわけ、真夏の暑い時期は、『リッジ・フロー・シャツ』が重宝。汗抜けが良く、乾きが速いので、高温多湿な日本の気候にも向いていると思います」(木村さん)

長時間のトレイルランを快適にする優れモノ。

(左)メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバー ¥19,800
(右)ストライダー・プロ・ショーツ 5インチ ¥12,100

「『エアシェッド・プロ・プルオーバー』と『ストライダー・プロ・ショーツ』も、自分がトレイルランニングを楽しむ際に欠かせないアイテムです。『エアシェッド・プロ・プルオーバー』の魅力は、熱がこもりづらく、着用したままでも体温調整がしやすいこと。ロングレースやセルフチャレンジなど行動が長時間に及ぶ際はとくに重宝しています。

『ストライダー・プロ・ショーツ』は、腰回りに5つのポケットを備えているのが特徴。スマホや鍵、ジェルなどさまざまなものをスマートに収納できます。ブリーフ型のライナーは穿き心地が良く、長時間着用し続けても快適さが持続します」(木村さん)

※今回掲載したアイテムは過去の製品も含まれており、現在は同様の製品が販売されていない場合もございます。

長野県木島平村の自然豊かな地を拠点に、トレイルランニングの普及活動や地域振興など、さまざまな取り組みを続ける木村さん。新たに〈パタゴニア〉のアンバサダーに就任し、ブランドの理念や価値を伝える代弁者としての役割も担います。

その視線の先にどんな未来を見据えているのか。今後の活動から目が離せません。

Photo_Kanta Nakamura
Text_Issey Enomoto

INFORMATION

パタゴニア

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