春の恒例行事となりつつあります。イラストレーター・dokkoiさんによる個展『THE DOKKOI SHOW -IRIE SMILES-』が、目黒の「ギャラリー月極」で開催中です。
サブカル派の琴線に触れるサンプリングと、心がなごむヘタウマタッチのdokkoi節は今回も健在。誰もが知る大ネタから知る人ぞ知る通ネタまで、色鉛筆とクレヨンを駆使したイラスト作品とアクリルのキャンバス作品が展示会場の壁面を埋め尽くします。
近年は人気ブランドやミュージシャンへのクライアントワークも充実し、ますます勢いに乗るdokkoiさんの現在地が確認できる良い機会でもあります。
……とまあ今回もおもしろそうな内容なので近々観に行かなきゃ、なんて思っていたところ、街中でばったりdokkoiさんと遭遇! せっかくなので少しばかり今回の個展についてお話を聞いてきました。
いかに自分なりに解釈して抽象化するか。
dokkoi
2018年よりイラストレーターとして活動をスタート。その後2020年にスイスのINNEN BOOKSからZINE『Unfinished Sympathy』をリリース。 海外のファッションブランドや、国内のブランド及びセレクトショップにもグラフィックを提供するなどファッションシーンでも精力的に活動している。そのほか電気GROOVE、くるり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONといった音楽グループにイラストを提供して話題に。
Instagram:@dokkoi_active
ー個展の開催おめでとうございます。さっそくですが個展名の「IRIE SMILE」とは、どういった意味でしょうか?
特にテーマを設けずに描いていたのですが、あるとき出来上がった作品たちを並べて見てみたら笑顔のモチーフばかりピックアップしていたんです。
それどちょうど最近よくレゲエを聴いていたので、パトワ語(ジャマイカの方言)で“嬉しい”とか“最高”って意味を持つ「IRIE」と、笑顔の「SMILE」を合わせて「IRIE SMILE」としてみてみました。
―キービジュアルのスマイルマークもIRIEでいい感じですね。
これは60年代後半に巻き起こったヒッピームーブメントの時に散見された、星条旗入りのスマイルマークをモチーフにしています。それをIRIEにかけてラスタカラーにしました。
ーdokkoiさんといえば色鉛筆とクレヨンを駆使した作品がおなじみですが、前回から引き続き今回もアクリルを使ったキャンバス作品も手掛けられていますよね。
今回はアクリルの新作を3点描き下ろしました。アメコミのメジャー作品と日本の人気アニメをモチーフとしたものです。
アクリルでは、いろんな有名モチーフをいかに自分なりに解釈して抽象化するか、という点にチャレンジしています。とくに今回のアメコミモチーフの作品は、自分らしい”ぼやけさせ方”が表現できたし、良い塩梅で抽象化できたと思います。きっと面白いと思ってもらえるんじゃないかなと。
ーアクリル画の難しさはありますか?
アクリルは乾かして固める作業が必要になるので、集中力をキープするのが大変ですね。ですが今回から使いはじめたリキテックス(米国bunny corporation社のアクリル絵具)は割れなくて、乾くのも早いから作業スピードが上がったので、その点はだいぶ解消されました。
余談ですが鉛筆はとにかく描き続けているので、スピードにはそれなりに自信があります。
ーdokkoiさんの作品のおもしろみのひとつに、モチーフとなる元ネタのセレクトがあると思います。どういった基準でモチーフを選んでいるのでしょうか。
自分が好きなカルチャーというのが前提にあります。それと、元ネタを好きな人がぼくの作品を見たときに「これ昔好きだったんだよね」とか、また何か新しい感情が生まれてくれたらなって。それは音楽に限らず、映画にしても。
選定した元ネタを改めて分析して、足りないところとかバランスの悪い部分を整えてアップデートして。詳しい人が見ても唸るような作品にしたい、という気持ちで描いています。
ー展示の作品を見ると、今回はキャッチーなネタが多いですよね。
わかりやすいネタの方が、より多くの方に伝わりやすいので。ただ、みんなが知っているおなじみのモチーフでも、少し違う角度の写真とか、微妙にずらしたものを選んでいます。
ー毎回マーチャンダイズも人気ですが、今回はどんなものがありますか?
キービジュアルのTシャツと、トートバッグ、それとラバーのキーホルダーを用意しました。こういった展示のマーチって、キービジュアルをモチーフにアイテム展開するのが正攻法だと思うのですが、前回までそれをまったく無視してつくっていて。そしたらいろんな人から「まったく展示とカンケーないじゃん!」って突っ込まれて(笑)。
それで今回は反省して、キービジュアルを採用したグッズを作りました。だけどそれ以外にも、自分らしいブートモノを仕込んでいるので、ぜひ会場でチェックしてみてください。
ーでは最後に、読者に向けて一言お願いします。
情報量の多い展示なので、物足りなかったということはないと思います。駅からは少し離れた場所ですが、きっとフイナムの読者が好きそうなものを描いていると思うので、足を運んでもらえたら嬉しいです。
THE DOKKOI SHOW
-IRIE SMILES-
会期:4月12日(土)〜27日(日)*月曜休廊
場所:ギャラリー月極
住所:東京都目黒区中央町1-3-2 B1
時間:14:00〜20:00(火〜土)、13:00〜19:00(日)
入場:無料
instargam:@tsukigime.space
dokkoi
Instagram:@dokkoi_active