鯉斗さんにとって、ウイスキーはどういう存在ですか?
師匠たちは、昔からウイスキーのソーダ割りを飲んでいるし、僕も一杯目から飲むくらいハイボールが好きなので、身近なお酒ですね。上質なウイスキーを好む師匠が多いです。
そのなかでも思い出に残っている店はありますか?
小遊三師匠と一緒に行った、浅草の寿司屋かな。前座のころから、今もよく行っているお店です。寿司でも、ハイボールを合わせちゃいますね。
ウイスキーに合わせたい食事と言えば?
食事とお酒はきちんと分けたいので、飲むときはあまり食べないんですよ。でも、ウイスキーを飲むなら、少しつまみたい。そんなときは、チーズの盛り合わせをよく注文しちゃいます。そのなかでも、カマンベールチーズが一番好き。
最高の組み合わせですね。鯉斗さんは普段、料理されますか?
パスタは作ります。刻んだニンニクをオリーブオイルで炒めて、洋酒で香り付けさせて。そして、エリンギとかの具材を入れて、塩で味を整えるだけで完成。簡単ですけど、おいしく仕上がるんですよ。
落語には、お酒に関連した噺が多いですよね。お酒が好きな噺家は多いですか?
確かに、お酒好きの噺家は多いですね。お酒を飲んでいるときも、江戸時代の人たちはこういう生活をしていたんだろうなって想像して落語と向き合い、お客さんに提供するのが僕らの使命だと思っています。
鯉斗さんは、人情噺が得意とのことですが、その中で、お酒が印象深い噺を教えてください。
『妾馬(めかうま)』ですかね。簡単にあらすじを説明すると、八五郎という男に、綺麗な妹がいました。たまたま通りがかった大名に目をかけられ、妹は結婚するんですよ。その後、子どもが産まれ、お屋敷に呼ばれた八五郎が大名と祝い酒を交わすような噺。笑える一席です。
では、食事がおいしそうだなと思った一席は?
みなさん、春にお花見をすると思いますが、江戸時代からお花見の文化があって。そのころは、七輪を持ち寄って、いろいろ焼いて食べるんですよ。『長屋の花見』という一席がありまして、豆腐田楽とかを食べている場面があるんです。その食べている様子がいいんですよね。
Illustration_Kahoko Sodeyama
Text_Shogo Komatsu
Edit_Shun Koda