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ハラダユウコArchive&Style Shop Press1971年2月東京生まれ。アメリカ、ヨーロッパを中心に幅広いジャンルと年代からバイイングされたUSEDやデッドストックを扱う古着屋「アーカイブ&スタイル」のショッププレスとして、古物をこよなく愛する日々を送っています。www.archiveandstyle.com

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ハラダユウコ
Archive&Style Shop Press

1971年2月東京生まれ。アメリカ、ヨーロッパを中心に幅広いジャンルと年代からバイイングされたUSEDやデッドストックを扱う古着屋「アーカイブ&スタイル」のショッププレスとして、古物をこよなく愛する日々を送っています。
www.archiveandstyle.com

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フェアアイルとフェア島のはなし

2010.01.28


フイナムブログをご覧の皆様、こんばんは☆

今日は本当はヨーロッパからの入荷第2弾をお届けしようと思っていたのに、
ドジなハラダはカメラを玄関に置いて出てきてしまった。。。ので、
第1弾でご紹介したフェアアイルのベストについて、
フェアアイルの故郷である、
フェア島の歴史などともに、
少しお話を書きたいと思います。


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フェアアイルニットは、その名の通り、
もともとはスコットランド沿岸から、
遠く離れたシェトランド諸島フェア島がルーツで、
アイルランド諸島の、
フィッシャーマンセーターと同じ様に、
英国を代表する伝統手編みセーターの一つです。

L1050251.JPG

フェア島 は、
シェトランド諸島を構成する島の一つで、
オークニー諸島と、
シェトランド諸島の間に浮かぶ孤島です。
最長4.8キロ、幅2.4キロ、面積5.61平方キロメートルの小さな島で、
オークニー諸島のノース・ロナルドセー島の方に近いのですが、
フェア島は行政上
シェトランド諸島の一部になっています。


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現在の人口は70人ほどで島民のほとんどが、
クロフツと呼ばれる島の南半分に暮らしていて、
北半分は岩がちな荒れ地なため、生活には困難なので住み着く人はいません。
西岸は200メートル以上の高さの切り立った断崖が続くフィヨルド地形で、
人口は、約100年前1900年頃400人を数えて以降、
ゆっくりと減少していますが、近年は70人前後で微妙に増えたりもしているそうです。
島にはパブもレストランもないそうですが、
小学校が1校あり、11歳になったあと、
子供たちはオークニー諸島の州都ラーウィックにある学校へ入学するため、
島を離れなければならないのだそうです。


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今ではそのようなフェア島の草創史は実は、
大昔まで遡り、鉄器時代には既に定住者がいたことが分かっています。
小さな島から産出される資源は欠けているものの、
豊かな漁場が近かったためだろうと、専門家は分析しているそうで、

多くの希少種の渡り鳥が島で見ることができるのも、
渡り鳥たちに欠かせない海からの食料源が豊富である事を物語っています。
このため、
フェア島は渡り鳥の野鳥保護区としても指定されているのです。


L1050254.JPG

しかし、7世紀以降の
フェア島の歴史は、
この地域のその他多くの島のように様々な国の歴史に翻弄されています。
また、皮肉な事に、この歴史に翻弄された事によって、
生まれたのが、今日、ご紹介しているフェアアイル・ニットなのです。


1588年、
スペインの無敵艦隊が英国に侵入しようとして撃滅された時、
一部がフェア島付近で沈没しました。
乗組員たちは島民に助けられ、
このとき、島に住み着いたスペイン人の彼らが、
フェア島の島民に、この柄編みのハンドニットの技術を伝えたといいます。

当時、スペインは8~13世紀までイスラム教徒の支配下だった為、
イスラム世界を思わせる、コロニアル文化の幾何学模様がその主体となっていました。

また、8世紀にはノルウェー領だった事もあり、その名残りからどことなく、
ノルディックな模様(雪柄など)も融合して、
2種の幾何学模様が合わさったような、
フェア島独特の幾何学模様のハンドニットが生まれたのです。

このような歴史をたどったフェア島の家々に、
代々、受け継がれてきたのが、「フェアアイル・ニット」なのです。

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カラフルな毛糸を使って格段ごとに異なった幾何学模様を、
編み込んでいく独特の細かなパターンは、
柄模様の多様さと、鮮やかな色彩がまるで一枚の絵のように美しく、
抽象化された柄でセーターは埋め尽くされています。
華やかな春の野、重厚な石の城、光によって色を変える海の深遠など、
一着ごとにさまざまなイメージを発散していて、
雲が太陽を覆えばたじろぐほど陰鬱な景色になるこの地方で、
これらは別世界の色彩に見えます。

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19世紀初頭、
当時のファッショニスト、
エドワード8世(ウィンザー公)が、
ゴルフウェアーとして愛用したことから世界で一躍有名になり、
それ以来、英国を代表するトラッドなセーターとして地位を築きました。
日本でも、70年代後半のプレッピー・ファッションの流行と共に人気を集めました。

そして今も昔も、
この伝統的な手編みの「フェアアイル・ニット」は、
島の女性たちのの貴重な収入源になっているのです。
ただ、現在では棒編みのハンドで編んでいるフェア島の女性たちは、
殆ど居なくて、時間が掛かりすぎる事を理由に、
手編み機で織られている物が殆どなんだそうです。


今のおばあちゃん達世代が、小さい頃は少しでも手が空くと、
お母さんからフェアアイルの編み方を教わって、
少しでも家計の足しになるようにと、
当たり前の様に皆が手編みで編めたそうですが、
時代の流れなんでしょうね。。。。

ちなみに、島の男性の第一の仕事は農業だそうで、
以外にも他の諸島のように漁業ではないんですね。。。。


さらに、ちなみに、フェアアイル・ニットは、
元々はもちろん、フェア島の漁師たちが、
防寒の為に着ていたセーターです。
ブログの後半ながら、一応書いておきます。。。。(笑)


今日も長くなりましたが、
今回、アーカイブ&スタイルに入荷したものは、
もちろん手編みの推定1930~40年代のものです。
淡い色彩がやわらかく美しいのと、
古い物ながら全く糸が痩せていません。
VINTAGEでは、ニットが一番、コンディションなど厳しく出てきづらいアイテムだと、
長年バイヤーをやっていると思います。
美しい手編みのフェアアイル・ニット、ワードローブにひとつあると、
寒い時期が楽しくなるかも。。。?!(笑)です☆☆☆

明日は第2弾アップしまぁ~~~~す☆

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