維新伝心ジェットシン
2013.06.23
「維新伝心ジェットシン」
猪木はそう言って18年ぶりに参院選出馬を発表した。
恐らく、この言葉自体には何の意味もないのだろうが、やはり、タイガー・ジェット・シンは猪木にとって特別な存在だということが窺える。

そういえば、かの有名な「シン腕折り事件」が起きたのは1974年6月26日の大阪府立体育会館。ちょうど今頃の季節だ。
当時、両者の一騎打ちは東京、大阪の2連戦で、6月20日に東京で行われた試合はシンが火炎攻撃を繰り出して反則負け。大阪の試合も3本勝負の1本目は両者リングアウトであり、ファンをモヤモヤさせておいて2本目で腕をへし折ってしまうというストーリーは、実に見事である。
さて、1973年の初来日から猪木の"正妻"として常に血で血を洗う抗争を演じてきたシンが、馬場の元へと走ったのは1981年。「ドル箱外人」アブドーラ・ザ・ブッチャーを猪木に引き抜かれた馬場の報復として大ニュースとなった。
が、
しかし、馬場が高値をつけて買ったシンが、いかにして全日本プロレスに登場したかを記憶しているファンは少ないはずだ。
シンは熊谷市民体育館で試合中の馬場とジャンボ鶴田に突如として襲いかかって参戦をアピール、翌日に移籍第一戦としてディック・スレーターと闘ったのだが、これらがファンの間で語られることはほとんどない。テレビ中継があったにもかかわらずだ。
猪木が作ったヒット商品を同じように棚に並べてもダメなのである。
結局、シンは馬場と"以心伝心"になることなく、再び猪木を追いかけ続ける。それは猪木の引退後も延々と続いており、最近で言えば、2011年の大晦日の格闘技興行にも猪木を狙って乱入している。従って、選挙期間中にも猪木を付け狙う可能性は十分にあるのだ...。